歌詞&雑記

歌詞や解説をアルバムごとに分けて置いておきます。お暇なときにでも。

飽き性

加速する!

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

また同じようなこと している気がしてる
また同じようなとこ 落ちてく気がしてる

無い物ねだりだけ 繰り返し続けて
このまま死ぬまでを 出かけて過ごすのか

どこか遠くへ帰りたい
落ち着く場所を見つけたい
ここら近くも探したい
ちゃちな誤魔化しじゃ意味もない

諦めたつもりの
逃げ道の途中で
孤独と真夜中が
忍びよる 忍びよる 忍びよる

諦めたつもりで
もう追いつかれてる
孤独と真夜中は
加速する 加速する 加速する!


グレンマトロックが神戸Varit.に来たとき、The howlin' dogsという大阪の同年代バンドが前座をやっていたのだが(グレンマトロックより全然かっこよかった)
ベースが途中で加速してBad Brainsみたいなツービートになる曲をやっていたので、ベースが途中で加速してBad Brainsみたいなツービートになる曲が欲しくて作った曲。
途中で加速してツービートになる曲ができたので良かった。
はっきり言ってパクリである。ごめんなさい。

レコーディングはボーカル抜きの一発どりで、あとから家で左チャンネルのギターをLINE撮りで入れた。右chのギターは一発撮りテイクのもの。
はじめは左chのギターにCubaseのアンシミュを通していたのだが、どうやってもいい音にならないのでLINE生の音にイコライジング+若干ルームリバーブで体裁を整えた。
以降の曲もだいたいそんな感じ。

熱帯夜

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

ざらついた机の上に安物の時計がひとつ
散らかった一人部屋は虚しさの裏表
でたらめの生活はでまかせと嘘だらけ

湿ったあつさにのまれ踊れば
火照りと渇きが焼き付くばかり

湿ったあつさに任せ踊れば
ボヤケた期待が焼き付くばかり
この部屋だけが今夜は熱帯夜
本性妄想混ざり合い過熱する


このバンドの中でも3曲めくらいに作った曲。
当時Tom Mischのコピバンをやっていたのだが、エレキギターのクリーンでコードを指弾きするのがめちゃくちゃ楽しかったので、エレキギターのクリーンでコードを指弾きする曲を作ろうと思って作った曲。

エレキギターのクリーンでコードを指弾きする曲ができたので良かった。
中盤のシャウトはカナだが、カナはノッていないとシャウトはできない本物のパンクロッカーなので、スタジオ練習やリハーサルでは絶対にやってくれない。

これも歌ぬきの一発撮り。しかもファーストテイクでOKだった。
「虚しさの~」あたりのギターは、アドリブを入れた挙げ句トチっている。
折角なので歌もぶっ通しのファーストテイクをそのまま収録した。

錆びついている

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作詞:田村晴信 カナ 作曲:田村晴信  編曲:171

昨夜から降り出した  この雨はまだ
夜明けまでつづくらしい タバコも尽きた

君の手の冷たさを 覚えてるような
この部屋は気だるくて 逃げ出す場所を探してる

君の傷も君の嘘も 見ないふりをして
明かり消して髪に触れて口づけをした
あの夜の2人のロマンスのまねごとは
今もこのベッドの上に錆びついている

熱いもやが頭にかかって いつからか
俺の脳が感じとれるのは 渇きだけ 渇きだけ
熱いもやが頭にかかって いつからか
この視界が見つけられるのは 霞だけ

内に疼くこの衝動をさらけだすほどに
俺の傷も俺の嘘も混ざりあってゆく 
耳障りに音を立てる雨粒のせいで
記憶の底に埋めた面影が流れ出してゆく ああ
雨に隠れる君の 熱を帯びた横顔を
見つけたあの日から 俺は錆びついてる


この曲は実は171を結成する2年くらい前に個人的に作っていた曲で、1番サビまではほぼ歌詞も完成していたし、なんなら3ピースを組むなんて思っていなかったのでリズムギターパートが本来は存在した。
大学の部活の友人が組んでいたNadackというバンドのライブを見に行ったとき、なんだかとても難しそうなオシャレコードをロック調の曲に使っていて、「自分は難しいコードの曲を作れるのか」というチャレンジで作った曲であった。
なのでサビのコード進行から作るという、中々ヘンな作り方をした記憶がある。
サビはD△7→D7→F♯m9→F♯7-9→D△7→D7→F♯m9→F♯7。
ジャズとかポップスをやってる人からすれば、別に難しいとは言わんやろそんなもんと思うかもしれないが、パンクロッカー的に言うとこれはウザいくらいの超インテリコード進行である。

そんなこんなで、スマホのガレージバンドの中で眠っていた曲だったのだが、このバンドを組んだあとで発掘してきて、少し言葉選びにカナのセンスをお借りして完成させた。
このバンドで合わせた2曲めの曲である。
加速パートの途中で裏拍ハイハット四つ打ちになるのはモリモリの発案。バカっぽくて好き。

これも歌ぬきの一発撮り。というか私達の音源は特に何も書いてない場合歌抜きの一発どり、左chが家で撮ったLINE撮りのギターである。

懐古

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

窓をそめてゆく 明け方のにぶい色
けだるさと眠気 心地いい冷たさ

街をそめてゆく 明け方のにぶい色
まぶしさと眠気 懐かしいあたたかさ

ぼんやりといまよぎる いつかの誰か
あなたの温度 どうしてかまた

思い出した/思い出せない
思い出した/思い出せない
思い出した/思い出せない
思い出した/思い出せない

忘れてく 忘れてく


せっかくだからデュエットをしよう、と作った曲。
デュエットができたので良かった。
いわゆる、「男」が「女」の感情を推察して書いた歌詞というのが私は本当に嫌いなので、カナのボーカルパートはカナが歌詞を書いたということにしたいところだが、残念ながら全て私の書いた歌詞である。
そもそも「男」と「女」みたいな分け方が前時代的だし、普通にちょっとイラッとするので、「男」と「女」のデュエットというより、「そういうタイプの人」と「そういうタイプの人」のデュエットだと思ってほしい。
「女」という呼び方はやめたほうがいい、という苦情を最近頂いた。いろいろ考えてみたが、返す言葉もない。すみませんでした。そういう苦情もドシドシお寄せください。

まあ、このアルバムの中で一番好きな曲だ。
もともとは3カポCメジャーの曲だったし、From 408にもそれで収録したのだが、カナが歌いにくそうだったのでレコーディングの直前に0カポAメジャーに変えた。

この曲も一発撮りだが、バンド側から見たパン振りにしているので、カナが右、私のボーカルが左、という位相にしてある。その都合でギターも一発撮りテイクが左、LINEが右。
ただしギターソロは左右どちらもLINEでとりなおした。
一発撮りのときのアドリブソロもドラムマイクで拾ってしまっているので、よく聞くとギターソロの裏にところどころ微かに別のメロディが聞こえる笑
プロなら絶対にこういうことはやらないだろうが、そこはアマチュアの強み。

ダンス

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

ダンスダンスダンスダンスダンスダンス
不安定なダンス不安定なダンス
ダンスダンスダンスダンスダンスダンス


TMGEのシスコとか9mmのマーベラスみたいな、半分インスト的な曲を作ろうと思った曲。
なのだが、なんだか自分でもよくわからない曲ができたので爆音ミックスにしてみました。
いかがでしたか?

エネルギー不足

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

多分俺はそう ちょっと計画不足
多分俺はそう ちょっと計画不足
レシートで財布を太らせて明日の気分は風まかせ
気まぐれが積み重なって計画不足 計画不足

冷たい寝床に埋まれば 地面の底まで沈んでく
不安もタバコで煙に巻けば 灰皿の中に消えていく

多分あの子はそう いつも睡眠不足
多分あの子はそう いつも睡眠不足
現実逃避を買い集め 床にばらまいた1人部屋
どれかひとつをてにとって睡眠不足 睡眠不足

凍てついた窓の向こうでは 乾いた夜風がふきすさぶ
今夜もまた人恋しさに うっかり抱かれて夜が明ける

多分俺はそう エネルギー不足
多分あの子もそう エネルギー不足

多分俺はそう 徹底的にそう
多分あの子もそう 根本的にそう

エネルギー不足!


バンドを組んで、一番初めにデモとして持っていった曲。
モリモリとは高校時代にもバンドを組んでいたし、その時も結構私も曲を作っていたが、当時は私もモリモリも9mm大好き人間だったし、みんながノりやすいようにABサビギターソロ的な曲を努めて作っていた。
なので、「お前がこんな挑戦的な構成の曲を作ってくるなんて」と笑われたのを覚えている。
蓋を開けてみれば、この曲はテンポも変わらないし、このアルバムの中では割と普通の曲になってしまったが

この曲と煙のみ、一発撮りではなくオーバーダビングで録音している。
というのも、このアルバムのレコーディングがこの曲と煙から始まったからだ。
そのへんの詳細は後述するが、オーバーダビングゆえにこの曲のベースはベーアンキャビネットに私のMarshall 1959を繋いで録っている。通りでいい音するでしょう?
逆にギターは(スタジオまで撮りに行くのが面倒だったので)全てLINE撮り。
この曲は珍しく全編ストラトでレコーディングしているし、変に生っぽい処理もかけず逆にLINE入力のギター感を強調してミックスした。
そのへんのギターのミックスと質感に関しては、梨本うい氏の曲をかなり意識している。

コロナで暇だったので私が勝手にPVも作ったが、PV版のギターはPVを録ったときに弾いているテイクをそのまま入れている。のでPV版のラストのみ片方chがレスポール。

自己解決

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

まとわりつくような 熱気にやられて
脳もとろけそうさ いつもにも増して
あいつの言葉が 癪に障るのは
あいつが自分に どこか似てるから

くだらない時間
くだらない時間

まとわりつくような 熱気にやられて
街の景色すら とろけはじめてる
あいつの姿が 癪に障るのは
あいつが自分に 透けて見えるから

くだらない自分
くだらない時間


TMGEみたいな曲を作ってくれ、とモリモリに言われて作った曲。
だからカッティングソロが入っているというわけではないが……笑 
レコーディングしている時期によくライブでやっていた曲。
その時期は迷走してバンド衣装をスーツ(というか喪服)にしていたので、「絶対アベフトシ好きでしょ!」と毎回言われてしまった。
私はそこまでちゃんとミッシェルを聞いていないので、なんだか少し申し訳ない。
当時この曲のシンプルな熱量にはかなり助けられたのだが、今後は多分ライブでやることもないだろう…。

後述するが、この曲は記念すべき初めての一発撮りレコーディングでもあった。
歌もチープな感じにしたかったのでSM57とSM58で録っている。

くらげのブルース

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

ゆらゆらゆれて日々をゆく
今日も一人きり
昼間の海は荒れすぎて
うまく泳げない

ふらふら浮かび日々をゆく
今日も一人きり
眩しい日差しに怯えては
岩間へ逃げこもる

真夜中太陽も 眠りこけた頃
静まりきった海の中
泳ぐ 泳ぐ 泳ぐ

ゆらゆら揺れて日々をゆく
今日も一人きり
昼間の波は強すぎて
どこかへ流される

ふらふら浮かび日々をゆく
今日も一人きり
青く濁った海の底
這うように進む

愛してくれる誰か
抱きしめてくれる誰か
暗い海を見渡しても
いない いない いない

波にのまれて どこへ行くのか
わからないまま 息をする 息をする

波にのまれる 俺はくらげさ
いつかいた場所も 少しずつ忘れてく
波にのまれて ここにきた意味も
わからないまま 息を吸う 生き延びる
生き延びる


この曲もかなり初期に作った曲。
ワーミーとBOSS VB-2wのギターソロのために作った曲だが、コロコロ変わるリズムといい加速していくシャッフルといいシメのFUZZ&ツービートといい、バンドを組んだときに私がやりたかったことを全部詰め込みました的な曲だ。

本当はこのアルバムに入れるつもりもなく、From 408を廃盤にしてこの世から消し去ろうと思っていたのだが、レコーディングの最後の最後に余った時間で軽く録ってみたところ存外にかっこいいテイクがとれたので勢いで収録してしまった。
殴りつけるようなベースと暴走列車のようなドラムがかっこいい。このバンドは私のワンマンバンドになってしまったら終わりなので、このくらいの無茶は定期的にさせていこうと思う。結果的にこのアルバムの中で一番勢いのあるトラックになった。

終演です

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作詞 : カナ 作曲:田村晴信  編曲:171

起きたら今日も昼過ぎで
べたつく体で床を蹴散らすの
携帯電話を壊したい
楽しいことを考えられない

遊んでも 満たされない
壊しても 満たされない
営んでも 満たされない
離れても 満たされない


起きたら今日も昼過ぎで
重たい視線で陽を射竦めるの
今日は一体何曜日?
明日のことを考えられない


酒なんか つまらない
友達も つまらない
朝も夜も つまらない
恋なんか まだ早い

希望がない 楽しくない
希望がない 楽しくない
希望がない 楽しくない
希望がない 楽しくない

楽しくない 楽しくない
楽しくない 楽しくない


レコーディングの本当に直前にアレンジが固まり、レコーディング中に練りながら録音した曲。
カナが書いてきた歌詞に私が合わせる形で曲をつけた。
tricotやナンバガみたいなコード感の曲を作ろう、と思って作った。
作ってから指摘されたのだが、自信満々で開発したコードがtricotのPOOLのコードと被ってしまった。てへへ
この曲の歌と歌詞はこのアルバムで一番いいと思うのだが、カナは最近歌詞を書き直したいとぼやいている。
そのうち別歌詞バージョンができるかもしれない。

この曲はベースとギターではなくベースギターとギターというか、カナに目立ってほしかったのでオーバーダブでギターとかは入れずに一発撮りのテイクのみで構成した。
ギターとベースのツインソロはレコーディングの前日くらいに私が無理やり作ったので、このややこしい音使いのソロにはかなり苦戦して何度もはじめから取り直す羽目になった。
1番サビ以降はレスポールで一発撮りしているが、1番Aメロのみストラトで弾いたものを差し込んだ。
カナの強い希望で、ボーカルを深めに歪ませている。
Aメロのラジオボイスに至っては普通のディストーションでモリモリが納得せず、ギリギリ歌詞が聞き取れる限界までCubaseのアンシミュをかけている。

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

立ち昇るGOLDEN BATの匂い
目にしみるGOLDEN BATの煙
深夜2時過ぎ 眠気も覚めて
鉄色の街を見下ろす

立ち昇るGOLDEN BATの匂い
目にしみるGOLDEN BATの煙
思考の海の はるか深くに
誰かの面影をみる 

ゆらりゆらり漂って
じわりじわり消えてゆく

灰皿の中 くすぶる光
汚れた部屋を照らしだして 
青い煙の 昇る分だけ
思考はどこかへ沈んでく

瞳をとじたら 見えてくるのは
どこか忘れた場所
この部屋にうかぶ 煙のように
記憶はとけて
またひとつ 忘れて あとに残るのは
こべりついた煤だけ

灰皿の中 くすぶる光
俺の孤独を照らし出して
青い煙の 登る分だけ
夜の終わりが近づいてくる

立ち昇るGOLDEN BATの匂い
目にしみるGOLDEN BATの煙



レコーディング途中でGOLDEN BATは廃盤になってしまった。惜しいことだ。

Franz Ferdinandみたいな曲を作ろうと思って作った曲。どこがやねんという感じだが、多分一番アレンジが変遷している曲だと思う。From 408バージョンの1サビ前ではギターとベースでハモっているし、サビのギターも裏ウチにしていた。
このへんが個人的なフランツポイント笑 
飽き性バージョンではフランツポイントは全撤去となってしまった。
こうやって聴くと私の歌も中々上達したものである。

この曲はエネルギー不足と同じくオーバーダビング。
ベースをギーアンから出して、ギターはLINE撮りというのも一緒だ。
From 408ではストラトで録音したが、今回はフレーズも新たに変えて全てレスポール。
ネチネチ絡みつくヤケクソドラムと、巨大な生き物が這いずり回るようなベースが結構お気に入り。

なお、「烟」という表記をつかうときもある。
カナは文学少女故か椎名林檎にアてられてか、煙より烟のほうが漢字として好きらしい。
私は「煙」という漢字が書けず(←オィイイイイ!)、これ幸いと烟表記を毎回つかっていた。

飽き性の関連PVと、スペシャルサンクス

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誰が読んでいるんだよという感じのアルバム解説だが、
私達が有名になった日のために、もう少し書かせていただこうと思う。

リリースに先立って、アルバム自体のPV、トレーラーというべきかもしれないが、全曲ちょっとずつ紹介する動画を制作した。

あと、リリースが完全に終わってからコロナ期間でMVを3本シコシコ作った。
エネルギー不足
終演です


アルバムPVというもの、そこまで珍しくもないが、あまり真剣にやってる人もいない。
何を隠そう、これは私の敬愛するボカロpの梨本うい氏が自身のアルバムのリリースの度に作っているアルバムトレーラーの丸パクリである。
単にアルバム内の曲を紹介するに留まらず、一つの映像作品としてセンスが散りばめられているのがわかるだろう。
これは、音源というより動画配信ベースで活動を行ってきた彼の感性の成すものだ。
実際私は彼のアルバムデモを見てアルバムを購入したし、アルバムデモはこれ以上ないリリース告知のスタイルであると身を持って知っていた。

このサブスクの時代に…と思うかもしれないが、私の曲は見せ場が後半に来るようなシンドイものばかりなので、「最後まで聞いてくれたらこういう見せ場もありますよ」ということを単純に紹介する動画はそういう意味でも必要不可欠なのだ。
これからもこれは新譜の度にルーチンにするつもりである。


曲ごとのMVに関してだが、謝辞をひとつ。

実は本来、映画製作の勉強中の大学生で、私の中高の友人である寺谷千穂氏に、懐古のPVを撮ってもらうという構想が一番はじめにあった。
この↑アルバムデモのライブ動画や、「終演です」「煙」のPVに使っているライブ動画を撮影してくれたのも彼女なのだが、以前から彼女の制作する映画のBGMを私が作ったり、ライブを事あるごとに(なんと静岡県から)撮りに来てくれたりと、このアルバム制作において言及しないわけにはいかない人物である。
というかこのアルバム自体、「懐古のPVを録るためにしっかりした音源として再録しよう」という企画がそもそもの根っ子にあった。

彼女の大学が(具体的な言及は避けるが、超難関かつ超多忙な大学である)忙しくなったことと、レコーディングスケジュールが遅延してしまったことで懐古PVの企画は流れてしまったのだが、実は絵コンテまで書いてロケハンすら完了し、あとは撮るだけ、というところまで企画は進行していた。これからどんどん多忙になる寺谷氏なのだが、機会があればリベンジを!

と、いうわけで、本当は懐古のPVが撮れたらレコーディング風景でも寺谷氏に撮影してもらって、加速するあたりのPVと一緒にリリースしよう、という計画で当初はレコーディングが進んでいた。
まあしかしスケジュールというものはそんなに甘くは行かないもので、

寺谷氏が撮ってくれたライブ動画などから映像をいただいて(←これ以外にも公開していない映像をいくつも撮ってくれていた)、アルバムPVやMVに使わせていただいたという次第だ。
なお、煙のPVの右端の動画は、モリモリの大学の後輩である日向真宥子さんに撮影してもらっている。直前に突然依頼したのに、快く引き受けていただいた。

両名ともに、本当に感謝の念しかない。
寺谷氏に関しては、レコーディングの遅延で一番迷惑を被ったにも関わらず、そのへんの我々の諸々なトラブルに際して非常に親身に助言をくれ、当時の我々にとって大きな精神的支えになってくれた。
多忙な寺谷氏だが交流は途切れていないし。今後もハードワークの合間を縫って映像制作を続けていきたいようなので機会があればぜひ彼女の作品もチェックしてほしい。

PV制作にあたっては色々たくさんのMVを参考にしたが、なんといってもアメリカのファンクバンド・VulfpeckのDIYビデオが与えてくれた勇気と「やられた感」は本当に動画制作の原動力となった。音楽的には結構真逆のバンドだが、171のDIY精神と反骨心の根っ子にはVulfpeckの活動が大きく影響を及ぼしているのは間違いない。
ヤツらについての愉快な話は少しこのスペースに書ききれないので、また今度、「暮らし」や「六甲CITY」の小話として詳しく紹介しようと思う。

アルバム制作にあたって

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レコーディングはほぼ全てSTUDIO 246WESTと私の自宅。
アルバムに書き忘れたが、六甲道ハイダウェイも自己解決の歌録りに使った。
先程のPVの項では個人的な謝辞も書いたが、録音に使ったスタジオ、特に246WESTの皆さんへの感謝は計り知れない。
セルフレックのときも練習のときも、はたまた大学の部活時代から凄まじい量の迷惑をかけているし、様々なめんどくさいお願いにもいつも笑顔で対応して頂いた。
本当にありがとうございます。

ところで、生バンドのレコーディングをDIYする人間向けの情報というのは本当に落ちていないので、参考までに使用した機材を余すところなく書いてしまおうと思う。
ただし、「この機材でこのくらいの音は最低撮れるんだ~」という指標で見てほしい。
はっきり言って、SM57とMarshall 1960Aの組み合わせなら本来はもっといい音で録れる笑
間違っても、これらの機材の限界がこのアルバムだとは思わないでほしい。

ドラムは246の8スタに置いてあるやつと、PAISTEのチャイナ、チャドスミスモデルのスネア。
ドラムのマイキングはバスドラにオンマイクでSM57、オフでBETA52A、スネアはトップからSM57、エネルギーと煙と自己解決のみ裏からもSM57、タムもSM57、フロアタムはAudix D2、ライドとチャイナにSM57、ハイハットとLRトップに合計3本のAKG C391B。


ベースはレコーディング直前に3~4万で買ったYAMAHA SBVと、メインの音はJOYO DYNACOMPとJOYO SWEET BABY、ここぞというときにProco RAT2、アンプは基本246のHARTKE、マイキングは確かAKG D112とSM57、たまに57の代わりにSM58、全てアンプの表側からオンマイク。一応LINE出力の音も録ってはいたが、殆どミックスしていない。
 
ギターはP-90のGibson Les Paul StudioとたまーにメキシコのStratocaster、ジミヘンモデル。
メインの歪みはMarshall 1959か宅録時はBoss ST-2で、ちょっと上げたいときにFUZZ FACE MINIのジミヘンモデル、ここぞというときにBIG MUFF、懐古のキメとクラゲのラストのみBEHRINGER SF300。あとは所々にBOSSのVB-2wとTR-2とWHAMMY 5。
マイキングは246の1960AにSM57とSENNHEISER E609、半分くらいの曲はBETA52Aでも録っている。全て表側からオンマイク。

ボーカルは一部SM57やSM58が混ざっているが、ほぼ全てオーテックのAT4050(246のレンタル品 1回600円)、これ以外の上記のマイクは全て246WESTのセルフレコーディングサービスのデフォルト付属品(レコーディング当時)。あ、セルフレックルームのアイマックとFocusrite Scarlett OctoPre Dynamicも。
歌撮りと宅録ギターは全て私のRolandのDUO-CAPTURE EX。
マイクプリアンプなんてないし、制作当時はプラグインエフェクトすら持っていなかったので、あとは全てCubase Proの内蔵エフェクト。
モニターヘッドホンは当初はPanasonicの1000円イヤホン笑。
マスタリング作業からはClassic ProのCPH 7000を泣く泣く購入した。

全体的なミキシング/マスタリングのレファレンスとしては、質感の「ヤバさ」は銀杏BOYZやNumber Girlの色々、音圧感はRATMのRenegadesやピノキオPのObscure Question、ドラムのミキシングに関してはTMGEやSOADなんかとも比較しながら作業を進めた。
比較しながら作業をしただけであって、彼らのCDみたいな感じにはあまりできなかったが笑

特筆したいのは、梨本うい氏の「まどのそと」と「手も足も出るのに」だ。サブスクにないので、アルバムデモの動画を貼っておく。
この、巨大な蛇が洞窟でのたうち回っているようなベース、LINE撮りの耳障りな高音域をそのままにミックスされた、ボーカルをかき消す勢いのギター。このバーチャルに再現された四畳半アパートのような非現実的なミキシング…。私の青春時代はこの2枚のアルバムに構成されていたのかもしれない。


ここからは本当の本当に雑記。チラシの裏にでも書けよという内容だ。

前述した通り、レコーディング開始当初は3~4曲入りのデモを予定していた。
From 408のリリース後にアレンジの変わった煙と、収録漏れしていたエネルギー不足を音源化しよう、というのが当初の目標。
フルアルバムを制作してサブスクに流すなんて考えずにレコーディング作業に入った。

From 408はドラムと歌のみ246でセルフレコーディングし、ギターとベースは私の下宿でLINE録音したのだが、私がMarshall 1959を買ったこともあり、今回のレコーディングは全てアンプから撮ってエネルギッシュなものにしよう、という計画であった。
しかしオーバーダブの録音というのはほとほと時間がかかる。
下手に何度でもとりなおせるとなると完璧なテイクを求めてしまう。
しかし私達は完璧なテイクを創造するにはあまりにスキル不足であり、思うようにレコーディングは進まなかった。

そんな折、私のマーシャルが壊れて2ヶ月ほど修理に取られる、メンバーが3週間ほど監禁されるなどの諸事情が重なり、レコーディングはストップ、「このライブまでに仕上げよう」と言っていたライブには到底間に合わないという事態に陥った。
それならいっそ今ある持ち曲を全部音源化してしまおう、という目論見でレコーディングを再開したわけだが、几帳面なオーバーダビング・レコーディングにほとほと嫌気が指したことにより、ドラムトラックの撮り直しのついでで「自己解決」の一曲のみセルフレコーディングでの一発撮りをしてみることにした。

演奏者としても宅録愛好家としても、私自身一発撮りというのは未経験だった。
「試しに録って何とかなったら改めてとりなおそう」くらいの気持ちだったし、ドラムの適当なマルチマイクと、ベーアンとギーアンに至っては適当にSM57を前に置いただけの、レコーディングと呼んで良いのかも分からない至極適当なノリである。
しかしこれが何ともあわせやすく、ストレスも薄く、味のある撮れ方であったため、急遽予定を変更してそれ以降の全ての曲を一発撮りでレコーディングすることとした。

残りの曲は5~6時間ずつ2日に分けて246のセルフレコーディングスタジオを借り、一日目に3曲、2日めに5曲という超ハードワークによって驚異のスピードでレコーディングが進んだ。
というか、本来熱帯夜とクラゲはこのアルバムに入れるつもりではなかったが、2日目のラスト30分間で「折角だから合わせてみるか」というテンションで録った。

そこからはデスクトップPCとモニターを246までせっせとリトルカブで運び、一人で歌を録ってせっせと帰るという地獄のボーカルレコーディングと、一介の素人DTMerには荷が重すぎる生バンド一発撮りミックスとの戦いを2~3ヶ月間続けた。

これについて。
手塚治虫のブラック・ジャックで、開業したての若きブラック・ジャックが重度の白血病(しかも原爆症)患者を診察する回がある。

「できるかぎりのことはやってみた だが なにしろ学校を出たばかりのわたしにとって 
相手は原爆というあまりに大きな敵すぎた
それはまるで風車に向かうドン・キホーテのようなものだった(『やり残しの家』より引用)」

以前に数枚宅録でCDを作ったことがあるとは言え、アルバム制作開始時にはモニターヘッドホンすら持っていなかった私が、10曲入りのフルアルバムをミックス&マスタリングするというのは、まさにこのブラック・ジャックの独白そのものであった。(『やり残しの家』はブラック・ジャックの中でも1,2を争う好きな回なのでぜひ読んでほしい)
この回想のコマでは巨大な注射器ひとつを抱えたブラック・ジャックが古ぼけた石造りの風車に立ち向かっているイメージが描かれているが、このコマを私はミックス中何度も思い浮かべた。

ブラック・ジャックは国家試験こそ受けていないがちゃんと(3流の)医大を出ているものの、私はミックスの学校に6年通っていないし、ミックスの基礎すら独学だ。
私が懐に抱えるのはClassic Proのモニターヘッドホンと、DellのデスクトップPC。
2000円の中古モニターの向こうから、ミキシングという巨大な存在が高慢に私を睨みつけていた。
片手に収まるShure SM57が、私には霧のかかった巨大な風車にしか見えなかった。

リリースから半年たった今あらためて聞き返してみたが、なかなかいいミックスだと思う笑
鼻も高くなってきたところで、セルフレコーディングになんの意味があるのか、という話を最後に書こう。
実際のところ、数曲とるくらいならプロに頼んでもそこまで高くない。
はっきり言って安すぎる。
音源制作に必要不可欠な、高価な機材・豊富な知識・潤沢な経験・磨かれた音感・確かなセンス。
世のアマチュア向けレコスタはその、「レコーディング」という5文字半に収めるにはあまりにも巨大な技術を、完全に冒涜した値段設定をつけている。そうはっきり断言できる。
自分で機材を揃える値段も考えれば、アマチュアが軽々しく手を出すには厳しい世界なのだ。これも確かに言えることである。

でも、まともな音源である必要なんかないと思う。
「僕がBig Muffを踏むタイミングで2マスターにディストーションをかけてください」
なんてプロのエンジニアに頼む勇気は私にはない。
それにそんなこと1日や2日では思いつかないし、きっとプロのもとでレコーディングしていたらこのアルバムの半分の曲はボツになっていたと思う。
プロのエンジニアたちには多大なる経緯を払いつつも、私はここに、バンドマンが自力で音源を制作する価値をしっかりと提示していきたい。
ブレイクで無音処理はしない。
マイクの録音ノイズもアンプのノイズもハウリングも切らない。むしろアピールする。
ベーアンをSM58で録る。
シンバルをSM57で録る。
ギターは爆音でミックスする。たまには0dbも割る。
私達のバンドの思想と音楽に掛ける情熱、現代音楽シーンに向けた反骨心を、余すところなく音源に注ぎ込みたい。そのためには、マスタリング段階に至るまで己らで全てを管理する以外の方法は思いつかなかった。

シドヴィシャスはとっくに死んだ。
ジョニーロットンはおじいちゃんになった。
社会不適合者が救いを求めるのは、今やエレキギターではなくヒップホップシーンだ。
こんな時代に許された唯一の反抗が、素人の粗雑なミキシングではなかろうか。
型を知らないと型破りはできない、と人は言う。紛れもない事実だと思う。
だがそんな時間も金もない。
私達の世代が世界を変えよう、なけなしの機材たちを脇にかかえて、音楽業界とかいうあの、古ぼけた風車を取り壊しにかかろう、今すぐに!

2020年10月5日 文責 : 171 田村晴信

飽き性のあとYouTubeに上げたビデオたち

暮らし PV

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作詞/作曲:田村晴信  編曲:171


酔いどれこの街でふらつき歩きだす
何かまたもう少しで忘れてく気がして

ときたま何もかも壊したい日もあるもんで
どれだけ悩んでもついてないときもあって
通りすがりにすれちがう場所で
永遠ばかり求めつづけて

ビル風どこか遠くこの街を吹き抜ける
時はすぎゆき暮しに紛れ
景色も色も連れ去り逃げる

ときたま何もかも無茶苦茶な日があるもんで
どれだけもがいても逃げきれないコトもあって

通りすがりにすれ違う人と
束の間の日々を分かち合ったり

コンビニネオンサインこの街を染め上げる
夢はすぎゆき暮らしに紛れ
吐く息ごとにとけてながれる

道端ビル風吹き抜けて人々がこの街を染め上げる
時はすぎゆき霞と消えて
面影だけが瞼にやどる
夢はすぎゆき彼方へ散って
残り香だけが暮らしにやどる

酔いどれこの街でふらつき立ち止まる
何かまたもう少しで思い出す気がして


撮影は蛍。さん (蛍。さんのTwitterはこちら
この春からカメラの専門学校に行っていて、2月か1月くらいのライブのときに知り合った。
このウェブサイトの写真もだいたい彼女に撮ってもらっている。かっこいい。
ろくな説明もせずに246に呼びつけたのだが、想像以上にかっこいい動画ができた。
はじめに映る🎬←カチンコは、懐古のPVを撮ろうというプロジェクトの際に私がウッキウキで購入したもの。
普通に、動画と音声を合わせるのに非常に役に立つ。

これと六甲CITYのPVは、246の動画コンテストとeo Music Tryに応募する用途で作った。
歌も合わせた一発撮りにしてあるのは、そのへんのコンテストのレギュレーションの関係なのだが、中々スリルのある演奏でいいと思う笑

飽き性のレコーディングなど、私達の音源全てを作っているのがこの246WEST 8stである。
いつもは歌は別撮りだが、いつもこんな感じでレコーディングしている。
私がヘッドホンをしているが、これは歌のモニター用。いつもはしていない。
けして広くはないスタジオだが、ちょっとアンプを壁の方向に気持ちむけてるぐらいで、音かぶりに関しては特になんの努力もしていない笑
私のギターアンプは「音量を調節する」という機能が存在しないとんでもないアンプで、並のギターアンプでは対抗できないくらいの爆音が常に出ているし、ベーアンもそれに負けないくらいの音量をガンガンに出しているのだが、意外にちゃんとした音源にできるものだ。

Black Sabbathとかツェッペリンとか昔のボーカリストが複数個のボーカルマイクをぐるぐる巻にして使っているのが好きなので、SM57とSM58をどっちも立ててみた。
まあ58にはシンバルとギターアンプの音がかなり入ってしまっていたので、ごく小さくしかミックスしていないが。

カナが新しく購入したMark Bass SD800も今回からお目見えしている。
三宮の島村楽器で2~4万だった気がする。
Mark Bassにしては大きく重いアンプで、結構前に廃盤になったさほど人気のないモデルだがかなりいい音がするし、ソリッドステートで余計な気を使わなくていいこともカナの性にあっていると思う。

このPVに関してはナンバガの映像制作をかなり参考にした。
クソデカ白字ロゴがバコーンと出てくる感じとか、向井秀徳氏は映像系の学校出身なので彼のセンスなのだろうが、シンプルながらかっこいい。
一発撮りのテイクをそのままPVにするという手法も、ZEGEN VS UNDERCOVERのPVでいち早く(?)行っている。
このPVを見たときは、「PVで声が裏返るとかアリなんだ」とかなり衝撃を受けた。

この良い意味で古臭いと言うか映画っぽいと言うか、この質感をそのままパクるのも違うかなと思ったので、暮らしのPVに関しては「YouTubeっぽさ」と「2020年っぽさ」ということも結構意識した。
ていうか、蛍ちゃんの撮影した動画が(危うく私の手には負えないほど)オシャレで高画質だったので、それに沿って作っていったところ、ちゃんと現代っぽさが出てくれたというのが本当のところだ。
デジタル一眼でグイグイ揺れ動く動画というのは、竹内道宏氏が撮るうみのて神聖かまってちゃんのライブ動画がとても印象的で、このPV制作の際もかなりこれらを念頭に入れて制作を行った。
まあだいたい全部蛍ちゃんに丸投げしたのだが。

リハスタの狭い空間でパキパキ画面を動かしてもらったら流石に酔う動画になってしまったので、真ん中に歌詞と歌詞の出る帯?笑を配置することで安定して見れるように工夫した。
我ながらセンスあると思う。
私の制作物は基本的にいろんな人のアイデアの丸パクリを組み合わせたものだが、この歌詞の出る帯?に関してだけは自分で生み出した笑 
まあ普通によくあるような気もする。よくあるな。よくあるか。

モリモリの顔が一部映ってしまったので、画面全体をボカして「ピントが合っていない風」にして誤魔化した。

次のアルバムに入れる曲なので、曲のウンタラはそのときに書くことにする。

六甲CITY PV

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

横風煽られる2号線
霞んで流れてく街影
どこかで見たような気がして
忘れているような気がして
あぁいつもこれ
またどうせ

きっと寂しいだけ
寂しいだけ
ちょっと虚しいだけ
虚しいだけ

たいして酔う気もないままで
安酒流し込んで胸焼け
この街で昔いつかみた夢
暮らしへとけこんでピンボケ

霞んで流れてく街影
ぼやけて流れてく面影
夕暮れぶらつく新在家
広くて狭すぎる六甲city
横風煽られる2号線
初めて来たような気もして

結局こうやって日々が過ぎて
忘れてってなるようになって
それが寂しいだけ


撮影は暮らしと同じく蛍。さん
暮らしのPVと同日に撮った。
この動画は情報量が多すぎて、YouTubeのデフォルト設定では結構な低画質で再生されてしまうので、動画の右下か右上にある画質設定を変更してぜひ1080pで見てほしい。

ちなみに車載動画もこのPV撮影からの帰り道を、原付にスマホをつけて録画したもの。
画面がグラグラ揺れるのは私の愛車ホンダ・リトルカブの鼓動だ。
何箇所か前の車のナンバーが映ってしまったので編集で消している。
適当に走って適当に曲に合わせただけなのに、「新在家」の歌詞のところで本当に新在家に到着した。
本当に家に着くまでの道のりをPVで公開するのは流石に怖いので、最後は松屋六甲道店の前で映像が終わるようにしてある(こだわりポイント)。
もともとの映像自体は私の下宿先に到着するまで撮っていたのだが、道中に家の近所のマンションで火災警報器が鳴っており(結局火事ではなくて誤作動だった)、集まってきた近隣住民と「消防署に連絡しました?」みたいな会話をしているシーンが本来なら存在する笑

動画にオリジナリティやかっこよさを加えるのは字幕だと思っているし、歌詞は曲と一緒に見たいタイプなので、アップする動画には必ず歌詞の字幕を入れるようにしている。
結局、クソデカいゴシック体が世界で一番かっこいいし、クソデカいポップ体が世界で一番かわいい。
バンドの現在のロゴにも使わせていただいているこの「チェックポイントフォント」というフォントだが、アメリカ横断ウルトラクイズのフォントを再現したものらしい。

このフォントは別に可愛いから選んだわけではなくて、「道路標識っぽいフォント」を探した結果たどり着いたものだ。
有識者の方なら、「あれ? じゃあ高速道路ゴシックは?」と思うだろう。
実際それも試したのだが、残念ながら収録漢字数の関係と、デカデカと表示したときに何故かあまりかっこよくできなかったので使用を断念した。
フォントの制作思想としてこれ以上ないくらい好きなフォントなので、ぜひ機会があれば使っていきたい。

次のアルバムに入れる曲なので、曲のウンタラはそのときに書くことにする。
寺谷氏をはじめ結構いろんな人に、「歌詞がありきたり」との苦情を頂戴したことと笑、私自身様々なことがあり心境も変わったので、現在レコーディングしているバージョンではかなりガッツリ歌詞を書き直している。

みたり PV

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

リアリズムと趣の合間
走ってみたり立ち止まってみたり
今日はこんな柄にない歌を
歌ってみたりバカにしてみたり

道すがら 自暴自棄
やけくそな歌うたい
なるようになってたり

 

あちこち見渡してみても分からないことばかり
何気なく拾ったものを捨てれなくなってみたり 


昔ずっと眺めてた写真
スマホ壊れて消えてしまったな
合理主義と衝動の合間
今日もつまり何もしないまま

道すがら 歩むたび 
また何か 見つけたり
また何か 忘れたり


どいつもこいつもみんな嘘くさいセリフばかり
なじんでたいつもの場所もしっくりこなくなってみたり 


道すがらこの街も寂しさに輝いて
おれはまた懲りもせずアホくさい夢をみたり

今更ずいぶん前の探しモノ見つけたり
見下してたやつの気持ちも今更分かってきたり
今日はウソくさいセリフも信じたくなってみたり


実は結構古い曲で、飽き性のリリースの頃にできた曲である。
これと暮らしと六甲CITYは個人的に六甲三部作。

この動画は京都MOJOの配信イベントに参加した際のもので、MOJOのツイキャスの動画をPCで画面収録したものを編集してある。
音源もいかにもLINE撮りという感じのドライさだったので、全体的にガッツリコンプで潰したうえでルームリバーブをかけている。
本当はこのくらいの音圧ではじめから配信してほしい笑

私達の音楽に、このゆっくりな映像の切り替わりはPVとしては少し退屈だったので、もう思いついた悪ふざけを全部投入した笑
分かる人にはわかると思うが、クソ画質の極大ズームとか悪ふざけのテンションとかは、アメリカのミニマルファンクバンドVulfpeckのPVそのままである。

というか、正直私の活動指針は全てVulfpeckとナンバーガールの活動形態をかなり意識している。
ナンバガはともかく、Vulfpeckについては知らない人も多いと思うので軽く解説しておくが、彼らはミシガン大学音楽学部の同級生を中心に形作られたプロジェクトである。

「カバー曲をリリースしない」「会場がソールドアウトできるまでライブはしない」「レーベルと絶対に契約しない」をモットーにマネジメントからミックスから動画編集から全てを手配し、2019年にはアメリカ版武道館とでも言うべきMSGでのライブをSNSとYouTube内での宣伝のみで完売させ、大成功させた異色中の異色バンドだ。

「YouTubeと配信サービスのみでの音源制作」「自分の曲の弾き方解説動画を自分で上げる」「手元に持ちたいファン向けに、クラウドファウンディングで資金を集めてレコードを制作」「Spotifyが再生回数で収益をカウントしていることに目をつけ、無音かつ数秒の曲しか入っていないアルバム『Sleepify』をリリース、ファンに寝てる間にエンドレスで流させて4万ドルをゲット、その資金で無料ツアーを行う」「『Vulfpeckのニューアルバムの10曲目に自分の曲を入れる権利』をオークションに出品」など、彼らのユーモラスかつ反抗的なエピソードは数え切れないほどある。

そして何よりも彼らのバンドを特徴づけているのが、その映像制作だ。
PVはほぼ全てスマホで撮ったレコーディングセッションを編集したもので、極大ズームや字幕などをアーティスティックかつユーモラスに取り入れ、低予算ながら見飽きない動画を作っている。

長すぎるので残りの解説はこのサイトにおまかせするが、とにかくこのバンドの斬新な活動スタイルは私の思想にかなり影響を及ぼした。
彼らは小音量・超技能のマルチプレイヤーだらけファンクバンドという、私達とはかけ離れた存在だが……。
だからこそ、彼らのスピリットには憧憬を持ちつつ、彼らとはまた違う新しい風を私達が吹かせなければ、と強く思う。

本当に長くなったが、このPVは彼らへのオマージュと言うか、パロディくらいの気持ちで「Vulfpeckの極大ズーム」を丸まるパクらせてもらっている。
実際やってみると、これが楽しい。今後も使うかもしれない。ごめんなさい。

2020年10月5日 文責:田村晴信

171 - Live at 京都GROWLY 2020/10/09

Created with Sketch.

横浜のフェスに出るオーディション(結局最終で落ちた)で、ライブ映像審査があったことと、eo Music Tryの投票促進も兼ねて、10月9日に京都GROWLYで行われた配信ライブの模様を全編まるまるアップロードした。

この日のセットリストは エネルギー不足 / 熱帯夜 / 懐古 / 終演です / 暮らし / みたり
私は個人的にライブ音源・ライブ映像というものがもう大好きで、Bohemian Rhapsodyのベストアクトは結局どのライブなのかとか、SOADのライブは結局初期がいいのか後期がいいのかとか、Sex Pistolsの再結成はアリなのかナシなのかとか、そんなことばかり毎日考えている人間である。

一人のリスナーとしてライブ映像をdigりながらこういうことを考えたとき、いつでも突き当たる問題がある。
「バンド初期が一番パッションがあるのに、売れてない頃の映像と音源はロクなものが残っていない」という話だ。
これはライブ映像に限らずCDのミキシングなんかにも言えることなのだが、要素として感じ取る熱量と、音源や映像としての純粋な聞きやすさ・見やすさというのは、お金の問題で反比例してしまうことが多い。

自分のバンドがこの先熱量を失っていく未来はあまり考えたくないが、「その曲が作られた当時」のライブにしかない熱量が存在するのは確かだろう。

年を取れば考えも変わる。音楽性も変わる。曲に込めたい思いも変わる。
別に初期が至高であるとか、後期は糞だとか、そういう話ではなくて、アプローチが全然変わってくるのだ。

わかりやすく例えを上げるなら、Number Girlの『SHIBUYA ROCK TRANSFORMED 状態』と『OMOIDE IN MY HEAD状態』の違いと言おうか。

オリジナルメンバーの銀杏と、今の峯田と言おうか。

P-MODELの1~2枚目の頃と、後期のライブの違いと言おうか。

System Of A Downの初期後期もそう。

有名どころなら、Sex Pistolsの現役時代再結成とか、AC/DCのボン・スコット時代80年代のブライアン最近のブライアンとか、Seattle 1989のメタリカ21世紀のメタリカとか。

全然わかり易くない例えで申し訳ない。違法UPの動画もあってすまないが、一応これでも「体裁の整った映像」だけ選んだつもりである。

売れてないバンドのライブ映像なんて、こんな映像こんなブートレグがあればいいもので、ほとんどはジャリジャリの隠し撮り音声や個人ブログのライブレポートで当時の空気感を想像するくらいしかできないのが関の山だ。

長くなったが、初期の空気感をなるべくダイレクトに知るうえで、後期の味付けの変化を分析するうえで、音質やミックスなんかが障壁になってくるわけだ。

私は自分のバンドでそんなものを許したくないし、その障壁を取り除くためにできる限りのことをしたい。
幸いコロナで今は配信ライブばかりなので、それなりのライブ映像と音声が手に入りやすい。

しかしまあ、どうせ誰も見ない文章なので悪口を書くが、ライブハウスが出す配信映像と音声は、基本客を舐めきった品質のものばかりだ。正直、家で普通に聞いて楽しくはないし、もっとはっきり言うなら金を取っていいクオリティではない。

(その問題を、今回のライブ映像を撮ってくれた京都グローリーさん(以下敬称略)は本当によく考えているようで、映像も音源もハイクオリティだし、いつも注文の多い私達に親身に寄り添ってくれている。)

それをなんとかするのが私の役目。
本当は毎回のライブをMTRで録りたいものだが、最悪LINE録音と映像だけ貰えれば後からゆっくりリマスターできる。

個人的に、そのやり方を解説した自己満足の動画まで制作した。
ちょっとしたコンプとパンニングとルームリバーブをかけるだけで品質が全く別物になることが、いつかライブハウスの皆さんにも伝わるかもしれない。
まあ前述したとおりグローリーの配信は非常に優秀なので、そこまでいじらずに済んでいるのだが。

私はライブ映像オタクだし、音楽オタクだし、宅録愛好家でもあるので、「音楽のかっこよさ」というのは9割ミキシングの品質でできていることを身にしみて実感している。
バンドマンや一部の熱狂的音楽マニアは置いといて、普通のリスナーは低品質ミキシングの音楽を「演奏力のない音楽」と誤認してしまうのだ。

映像に関してもそう、味気ない固定カメラでも、ちょっとした編集で動画としての見やすさや面白さを添加できるのはVulfpeckが証明している。
私は滑舌が悪いが、歌詞字幕を真ん中に付けておけばライブ映像を見ながら自然に歌詞も追えるし。

今回はグローリーの神がかり的映像センスのおかげで無理やり見どころを作る必要もなかったし、30分の映像と音声に対して使えた編集期間が1日という超突貫工事だったので歌詞とタイトルとサムネイル制作くらいの最低限の編集しかしていないが。

といっても、ここまでやってるアマチュアの音楽家というのはまあいない。
この映像を出したライブ審査でも、スマホでライブを撮っただけの映像を出しているバンドばかりだったし。

しかしまぁ、これからの時代、私達も意識を変えないといけないと思う。
インターネットとコロナの時代に、ロックバンドが戦わなければいけないのはライブハウスの対バン相手ではないのだ。
昔のレジェンドミュージシャンでも、レコード会社でも、ヒップホップミュージックでもない。

私達が戦わなければならないのはYouTuberだ。

Roland創業者の故・梯郁太郎氏が生前、シンセサイザー雑誌のコラムに面白いことを書いていた。
「音楽が映像と切り離されて存在するという概念は、レコードという媒体が生み出した幻想だ。レコードが発明されるまで、音楽とは自明にライブであり、映像と一体のものであった。私は自分の会社を使って、音楽をそういう元あった姿に戻したい。」要約すればだいたいこんな感じ。

こと暇つぶしにかけてYouTuberに勝てる音楽家は中々いない。
その点VulfpeckやLouis Cole、ボーカロイド全般を代表とするインターネットミュージックの人々はそこを身にしみて分かっている。

自分たちがYouTubeにPVをアップロードするとき、サブスクで曲を配信するとき、CDを作るとき、私達はもっとYouTuberを意識するべきかもしれない。
極端な話リスナーは、それがYouTuberの動画より面白くないなら、娯楽として選択しないのだ。

ライブそのものもそうだろう。わざわざ金を払って、電車に乗って、ライブを見に行くという行為、これに相当な価値がないと、「家でYouTubeでもみてたほうがいいな」となる。
TV局なんかはYouTuberを舐めていたせいで息も絶え絶えじゃないか。

サブスク時代、曲開始6秒で客を引き込めない音楽は売れなくなっている、なんて言われるが、YouTuberは当たり前に皆そういう世界でやっている。
わざとらしいサムネイルで客を呼び込み、スピード感以外を切り捨てた極端な編集で視聴者を逃さない。
そういう思考で、マーケティングにオールインしているYouTuberやTikTokerたちに、古い感性の我々が勝てるわけがない。

ただし、別にPV自体をYouTuberの動画みたいにする必要はない。
多分YouTuberオタクでも音楽を聴く気分のときはあるだろう、好きなバンドもあるかもしれない。
ましてどこぞの6秒理論に脅かされて、音自体にYouTuber的な詰め込みをしようとかは思わない。
が、動画をYouTubeにアップロードするのであれば、それなりの意識と工夫は必要だ。

その工夫、娯楽のマーケティングと、表現者としてのこだわり、この2つのバランスを常に私達は意識せねばならないと思う。

私は今後、今回のライブ映像以下のクオリティの映像を自分のYouTubeチャンネルにアップロードしたくない。
編集技術も上がってきて、このくらいの映像なら5~6時間で編集できるようになってきた。
字幕、サムネイル、ちょっとした編集、細部へのこだわり。これらと音楽性との掛け合わせをこれからもっと模索したい。もっとインターネットのことを考えたい。

なぜなら私はインターネットで生きてきたから。
インターネットがなかったらとっくに私は自殺していたかもしれない。

虐められっ子だった私に居場所を与えてくれたインターネット、眠れぬ夜を支えてくれたインターネット、思春期の悩みを笑い飛ばしてくれたインターネット、私を堕落させたのもインターネット、責任を押し付けたのもインターネット。

私が思想と情熱をつぎこむバンド活動を、インターネットでやらずに、どこでやるというのだ!!

2020年12月15日 文責:田村晴信

シングル「みたり」

みたり

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村晴信  編曲:171

リアリズムと趣の合間
走ってみたり振り返ってみたり
今日はこんな柄にない歌を
歌ってみたりバカにしてみたり

道すがら 自暴自棄
やけくそな夜を明かし
なるようになってたり

 

どいつもこいつもみんな嘘くさいセリフばかり
なじんでたいつもの場所もしっくりこなくなってみたり 


昔ずっと眺めてた写真
スマホ壊れて消えてしまったな
合理主義と衝動の合間
今日もつまり何もしないまま

道すがら 歩むたび 
また何か 見つけたり
また何か 忘れたり


あちこち見渡してみても分からないことばかり
何気なく拾ったモノを捨てれなくなってみたり 


道すがらこの街も寂しさに色づいて
オレはまた懲りもせずアホくさい夢をみたり

今更ずいぶん前の探しモノ見つけたり
見下してたやつの気持ちも今更分かってきたり
今日はウソくさいセリフも信じたくなってみたり


曲の製作時の話や、PVなんかについては上記の「みたり PV」を参照されたし。
私達がサブスクの配信に利用しているサービス・Tunecoreがシングル無料配信キャンペーンをやっていたので、レコーディングに時間がかかっている負い目もあって先にこの曲だけを配信することにした。リンクはこちら

Tunecoreのシステム上「シングル」とは一曲だけしか配信できないので、カップリング等をつけれなかったのは残念。タダだから文句は言わない。

PVを3曲あげてから結構時間たったけど、現時点でちゃんと歌までレコーディングが完了していたのは「暮らし」「六甲CITY」「みたり」と「???(まだヒミツ ライブでもまだやってない 追記:ピストルズです)」の4曲だけ。

eo Music Tryには「暮らし」を出していたので、もし受かってたら「暮らし」を配信する予定だったのだが、落ちたので(怒)、バンド内で話し合った結果「みたり」を出すことにした。
「六甲CITY」と「みたり」はサブスクに出してくれとの要望が特に多く、ワタシ的にも結構迷ったのだが、六甲CITYはアルバムリリースまで取っておくことにした。

レコーディングはいつも通り246WESTさんの8stでセルフRECサービスを利用した一発ドリ。
「飽き性」と「暮らし」「六甲CITY」のギターレコーディングに非常に不満が残っていたので、今回は結構ギターのトーンにこだわって録ってみた。

右チャンネルのギターが一発ドリ時のテイクだが、今回は試験的にギターアンプをAudio-technicaのAT4050で録って、SM57と混ぜている。
前回まではShure SM57とBETA52A、Sennheiserのe906を使っていた。が、マイクの音質もそうなのだが、どうも246WESTさんの8st常設キャビネットは音量を上げたときに音が割れやすいし、変な音になる。

今回は妥協したくなかったので、別の1960Aと交換してもらった。そしたら、57だけでもめちゃくちゃいい音で録れてしまったので、AT4050は実はちょっとだけしかミックスしていない笑

右チャンネルはGibson Les Paul StudioのフロントPUのボリュームを絞って作ったクランチなのだが、なんだか生で聴いているよりジャキジャキ感に欠けていたので、前半部は左チャンネルにテレキャスターをオーバーダビングした。

テレキャスター、と言っても、大学の友人からタダで貰い受けたプレイテックのテレキャス(新品7000円)をベリンガーで歪ませて家でLINE録音しただけだ笑 
アンシミュすら通していないが、ハッキリ言ってGibson×ビンテージマーシャルの右チャンネルより良い音で録れている。それはそれで悔しい。

実はこの曲、できたての頃のライブではこのプレテクで演奏していた。その時期は「エネルギー不足」なんかもコレでやっていたのだが、BIG MUFFを踏んだときのパワフルさが足りないのと、低音がボワつくのとでいつものレスポールに戻した。

これは別にプレテクだからどうという話ではなくて、私はへんてこなセッティングのへんてこなレスポールを長年使ってきたせいで、他のギターでうまく音作りができないというだけの話……。
メキシコの上位ラインのストラトや、90年代のギブソンのフライングVなんかも偶にサブギターで持っていくのだが、同じ問題が起こる。というか、正直今までサブで持っていったギターの中ではこのプレイテックがダントツで使いやすかった笑

まぁ安ギターを持ってる人にしかわからない「安ギターの音」はガンガンにするし、「安ギターの弾きにくさ」はある。手放しに他人にオススメはできないけれど、でも、なんていうか、安ギターの音って「生まれて初めてギターを買ったときの衝動」をほんの少しだけ残している。と思う。
「生まれて初めて100Wのマーシャルにプラグインしたときの衝動」を手応えとして両腕に感じる。
目を瞑ってヘッドホンに耳を傾ければ、中学をサボって母親のPCで見たモンタレーポップフェスのJimi Hendrixが、フジロック'98のTMGEが、眼前に蘇る。

エレキギターって、それが全てだと思う。
そういう、安ギターの魔力に取り憑かれた人間からすると、ステージ上で輝く「Playtech」のロゴマークは、そこらのハイエンドメーカーなんか塵と消し飛ばす威圧感を放っているのだ。パンクロックの輝き、ここにあり!

何の話やねん。まあ、レコーディングがんばります!



2020年12月26日 文責:田村晴信

そのあとの追加ビデオ

まどのそと PV

Created with Sketch.

歌詞は割愛。
曲自体に関しても、『近況報告』の方の雑記で詳しく書こうと思う。
今回は有名なフリーソフト、Blenderを使って3DCGに挑戦してみた。
と、いうのも。
私(田村)の大学の先輩が3DCGを使ったPVを昨年末にアップロードしていて、私はこのビデオと音楽に凄まじい衝撃を受けた笑 
この、なんとも言えないB級感、類まれなる歌唱力と絶妙なセンスによって織りなされたコミカルでポップな曲調と、ミスマッチなほど攻撃的なリリック。
ひと目見たときから私はこのビデオに惚れ込んでしまい、その日一日で何十回もリピート再生したせいで、夢にまで出てきたほどだ笑
まぁとにかく、このビデオをみて私は圧倒的な敗北を感じた。

生兵法で大怪我しっぱなしのDIY王(自称)こと私だが、ビデオメイキングに関しては自分のセンスと技術にある程度の自信を持っていた。
自信とプライドは砂上の楼閣と崩れ去り、闘志に火がついた私はBlenderをダウンロードし、穀潰しの身分を生かしてレコーディング作業の合間に地獄のような修業の日々を送った。。。

まず習作として制作したのは実は後述の20th Century Foxのパロディビデオの方。
まだその段階ではなにもない背景に171のロゴをおいただけの簡素なビデオだったが、バンドメンバーに見せてみたところ、得意の爆音ミックスも相まって評判は上々。

勢いに乗ってBlenderの制覇を目指した私は、3DCGで一曲フルのPVを作成するというハードルを自らに課し、2月頭くらいから制作に取り掛かった。
PVにする曲は別になんでもよかったのだが、『近況報告』(ちょうどこの頃アルバムタイトルが決定した)収録曲のうち、当時公開していた『暮らし』『六甲CITY』『みたり』はどれもメジャーキーの明るめのナンバーだったため、そろそろマイナーキーのカッコいい系、要するに『飽き性』っぽい曲を出しておきたいということで、レコーディングの進捗状況を鑑みて『まどのそと』に白羽の矢がたった。

数日間バイト中などに瞑想し、大体の構想とカット割、ストーリーなどを頭の中に作成した私だったが、はじめはキャラだけ自分で作って背景素材や車、舞台などはネット上のフリー素材を活用するつもりだった。
しかしどうにも丁度いい素材がないというか、どうやら自分である程度イジる前提で作られている素材ばかりだったので、ソフトの練習も兼ねてとりあえずパッソくんをフルスクラッチした。
これがなかなかの難作業で、当時の私は本当に何度挫折したくなったことかわからない笑
結局なんかユルい仕上がりになってしまったのだが、オリジナルのパッソくん(我々の機材車、というかモリモリの車)の小キズも再現できて実に満足。

171のメンバー役として登場してもらった3人について。

171のPVで大もりあがりくん : モリモリ
イマイチよくわからない概念解決ちゃん : 田村晴信
卓設営丸わかりくん : カナ 
とクレジットしてある。 

なぜか私は昔から1つ目のキャラを描くのが好きだったので、彼らの原型は私の幼少期にまで遡るのだが、一部の人はご存知のように、解決ちゃんと丸わかりくんに関しては、私が大学の軽音部で作成した機材教育用冊子において、解説役として登場させたキャラクターだ。ちなみに当時の丸わかりくんはスーツを着ていて、下半身が履帯だった。

そんな経緯で初出はおそらく4年ほど前なのだが、いつの間にか私のマスコットキャラ化していき、色んなところに彼らのイラストを書いていくうちにデフォルメが重ねられ、大体「うさぎ(解決ちゃん)」と「ネコ(丸わかりくん)」と「クマ」の3匹が定常メンバーになっていったのだが、 友人たちからも熱い人気を誇っていた?ので、今回3Dモデル化することにした。
 

パッソくんよりは幾分か簡単なモデリングだったので、プロトタイプの解決ちゃんをもとに色々弄って、171のメンバーっぽい役作りをしてもらった。
長らく名前のなかったクマくんにも名前をつけることになったのだが、ココは解決ちゃんと丸わかりくんの命名ルールに従って、めでたく『171のPVで大もりあがりくん』、略してもりあがりくんがこの度爆誕したという次第である。

なかなか良い感じに各々の性格を反映している、なかなか満足な仕上がりだ。

なんだかんだでユルいキャラクターを量産してしまい、巷のフリー素材ではなんだかミスマッチな感じになりそうだったので、結局ビル街、高架道路、ビッグマフ&ラットに至るまで全部1からフルスクラッチする羽目になった笑

現実の国道171号線にも片側2車線の高架道路区間はあるが、この高架道路のモデルは完全に国道43号上を走る阪神高速である。どうでもいいけど。
ビッグマフとラットに関しては、暗くて結局ビデオではよく見えないのだが、ちゃんと私とカナのレコーディング時のセッティングに合わせてノブを回してある笑 

長くなってしまったが、何を伝えたいかというと、ニート生活がどうこうという以前に私はとんでもない暇人で、暇人と呼ばれるためならいかなる努力も惜しまない、ということだ。

基本的にDIY技術というものは、金欠と暇の相互作用によって培われていくのである。

近況報告 PV

Created with Sketch.

前述したように、制作に取り掛かったのは「まどのそと」のPVよりこちらが先で、プロトタイプは実は1月には既に出来上がっていた。

というか、このビデオの構想を私は『飽き性』リリース時くらいから練り始めていた笑
アルバムPVのためにアルバムをつくったようなものである。

序盤の3DCGは言わずもがな、20th Century Foxのアレ。
1月にほぼ完成形まで作ったビデオをこの度再編集するにあたって、171th Century Foxビルは「まどのそと」のバーチャル六甲CITYに配置し、例の3人とパッソくんにも登場してもらった。

よく楽器の試奏動画なんかをみていると、有名な曲のフレーズをちょっともじったみたいなフレーズを奏者が弾いている。
というのも、Fuzz Faceの試奏となれば視聴者は「ジミヘンの音が出るかどうか」を確認するために見ているし、パッド系のシンセを前にしたキーボディストは皆、Van Halenの「JUMP」を弾きたいのだ。
でもちょっと著作権的に気になる、という感じで、出だしこそ原曲通りだが途中からちょっとヘンテコな方向に行ってしまう、「名曲のパチもん」が試奏動画においてはよく生み出されている。
私はB級音楽というものを愛してやまない。そのうちの一つがこの、「ジェネリック名曲」だ。
ワタシがわざわざ一曲打ち込んでまで20th Century Foxのパチもんを作った背景には、実はこういう思想があったりする。

お次はレコーディングの背景と我々の思想について語るセクション。我々、というかほぼ私個人だが、、、。
このインストは私が昨年末にヒップホップにハマりはじめて作ったループ。なかなかいいでしょ。ここで『近況報告』の収録曲ではなく、この曲を採用したのには実はバンドとしての目論見があるのだが、、、それは3rdアルバムくらいまでお預けとさせていただきたい。

ここのビデオの質感とイギリス英語だが、これは何を隠そう、Sex Pistolsのドキュメンタリー映画、『No Future』の冒頭からかなり着想を得た。
イギリス英語は彼らへの餞というか、敬愛の印というか、、、。
本当はNatural Readersというソフトウェアに、年をとってからのジョン・ライドンのこの語り口に非常にそっくり な「John」という声が、収録されていたのでそれを使いたかったのだが、ライセンス関係の問題で断念した。

ビデオ内で私が使った女声は、Balabolkaというフリーソフトを使って抽出した、マイクロソフトにデフォルトで入っている合成音声である。要は、視覚障害の人とかのための読み上げ機能用音声だ。
まぁイギリス英語音声はデフォでは入ってなかったから新しくダウンロードしたけど。

私は気が向いたときに171のビデオに自己満足の英語字幕をつけているが、これがなかなか面倒くさい。ならハナから入れてしまおう、という目論見もあった。
冒頭で流れる演奏シーンは『六甲CITY』PV撮影時のもの、つづいて流れる車窓は、私の当時の彼女(破局済み★)に会いに行った帰りの高速バス、確か多摩川を越えて神奈川県に入ったあたりの街並み。

お次のかわいいお魚は、尼崎toraの近くの商店街にある謎のマスコット笑
私とカナはこの哀れなオサカナくんを痛く気に入って、ずっとパシャパシャ写真を撮っていた。
お次の暗い映像、実はeo Music Tryのパンフレットを炭火コンロに入れて燃やしている。もちろん、二次審査に落ちたことへの逆恨みだ。この翌日、隣人から苦情が殺到する。

そこからの数カットはすべてレコーディング時のもの。ちなみにカナが歌っているのは『梔子のミルク』。
『まどのそと』のBlender編集画面を挟んで、この『極左100番』という強烈な該当広告も、阪神尼崎駅前のものだ。これは2020年の12月30日、toraに行った日に撮ったもので、当時結構コロナ感染者数が絶望的に右肩上がりな時期だったのだが、行政が出してる広告にも関わらず、マジでコロナとなんの関係もない不穏なメッセージばっかり表示していて面白かった。

お次は同じく、12月に高校の後輩が企画してくれた、私とモリモリの出身高校軽音楽部の身内ライブ的なやつの映像。アンコールまでもらってしまって、感無量のライブであった。

『梔子のミルク』のレコーディング風景を挟んで、この美しい六甲の朝焼けは私の下宿先からの眺めだ。その気になればマジで住所が特定できるので、私が退去してからにしてね。
実はこの映像は一昨年の10月くらい、懐古のPVを撮影する企画が進行していた際、こういうシーンが欲しかったのでそのロケハンというか、試しに撮ってみた映像。なので全然このアルバムとは関係がない笑
まぁしかし、この時期の私はすべての人間関係に絶望しており、かつてないほど壊滅的な精神状態であったことを克明に記憶している。当時の苦しみから今作の曲を書いたと言っても過言ではないので、あながち無関係ではないかもしれない。
別に早起きしてとりなおしても良かったのだが、精神状態が壊滅的な人間が撮影した映像というのは、精神状態が壊滅的な人間が撮影した映像にしかない’’貫禄’’がある。あえてこのままにしておいた。

ここからの曲ダイジェスト部分、これはもう完全に、梨本うい氏のアルバム『まどのそと』のデモ動画のパクリである。くそかっけえなこれ
何を隠そう『まどのそと』の『まどのそと』はこの『まどのそと』だし。。。

長くなってしまったしいい加減眠いのでここからは流すが、最後に出てくる英語字幕、無茶苦茶だから間違い探ししてみてね。ではおやすみなさい

2021年4月14日 文責:田村晴信

近況報告

俺の見たピストルズはスマホの中

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

夜も更けて惰性で流してるYouTube
流れ着いて何の気なしに見たあの動画
低画質で低音質なその衝動は
まるごと視界を2つに割ってしまった!

遠い国の遠い昔の幻想
俺と何も無関係な偶像
ヘロインなんてもん俺は見たこともない
俺の見たピストルズはスマホの中

あの熱量に憧れてたはずの俺自身
潔癖症に甘んじて侵されてくばかり
この街の底か路地の裏か溜まってるはずの
歪みを誰もマイクに乗せてくれやしない!

俺のリアルをジョニー・ロットンは歌わない
俺は英語もロンドンの空気も分からない
167.8cm スキニーは似合わない
俺の見たピストルズはスマホの中

夜も更けて惰性で流してるYouTube
昨日までは興味すらなかったような曲が
わざとらしくてウソだらけのあの衝動は
まるごと視界にもう焼き付いてしまった!

夜も更けて力任せに踏み込むファズペダル
俺の思考をこのビッグマフが塗りつぶす
小部屋の隅に点きっぱなしのピーク・ランプ
俺の見たピストルズはスマホの中


『みたり』と一緒に9月のレコーディングで録音し、実はかなり序盤に完成していた曲。
結構今までの171っぽくない曲を作ってしまったことが恥ずかしかったのもあるが、半年強の間はライブでもやらなかったし、かなり暖めていた曲という感じ。

題名及び、サビの最後のメロディは斉藤和義氏の「僕の見たビートルズはTVの中」のパロディである。
彼の曲は正直あまり知らないのだが(オイイイイイイ)、この曲は昔からよく聞いていた。
メディアの中のロックスターたちと、現実の生活との乖離。素晴らしいテーマだ。
等身大の斉藤和義という感じがしていい。いいんだけど、それだけに、この曲を聞くたびにどうにもむず痒い気持ちを抱えている私がいた。

要するに、問題点として、私はビートルズを聴いていないのである笑
ビートルズを聴いていない洋ロックファンというのはビートルズ及びビートルズファンに対して鬱屈したコンプレックスと逆恨みを抱えている、、、、。なら私が作るしかないだろう❗

美学として、このタイトルをつけたからには、セックス・ピストルズっぽさは1mmも曲中に出したくなかった。。ピストルズは絶対にロックンロール讃歌なんか書かないし。

代わりに、この曲には私の好きないろんな音楽讃歌のオマージュというか、スピリットをばらまいておいた。まぁ要は、色んなところからパクってつぎはぎで作った曲なのだ。

最近久しぶりに身長を測ったら、166.6cmだった。夜中に測ったからか?
朝に測ったら167.8cmだと信じたい。

六甲シティ

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

明け暮れ行き慣れた2号線
霞んで流れてく街影
どこかでみたような気がして
どこかへ続いてる気がして
あぁー、いつもこれ またどうせ

きっと寂しいだけ、寂しいだけ
ちょっと虚しいだけ、虚しいだけ

こうして抱えこんだ物全て
にじんで色あせてゆくだけ
この街で君といつかみた夢
そうして失くしていくようで、あぁ!

霞んで流れてく面影
日毎で変わりゆく街影
気まぐれぶらつく新在家
夕暮れ君のいない六甲シティ
明け暮れ行き慣れた2号線
今はまるで違う場所に思えて

結局こうやって、日々が過ぎて
忘れてって、なるようになって
それが寂しいだけ


モリモリ:テイク・シックス!
田村:カチン!
何を隠そう、今作のレコーディングは2020年6月19日、この曲のPV撮影から始まった。
6回目がOKテイクになったのはタダの偶然で、別にわざと六甲とカケた訳ではない笑

この日に撮った六甲CITYと暮らしは、1発ドリの音声を使ってPVとしてアップロードしているが、正直言って歌詞がイマイチだなぁと歌いながらずっと思っていた笑

去年一年で私の中に様々な心境変化が起こったこともあって、ドラムとベースは1発ドリの音声を使用したまま、歌とギターは撮り直して大幅に改変を試みた。
その証として、CITYをカタカナにしてあるというわけ。

ただ、結局こうやって!!のところの歌と、ギターソロの右ch、途中のフィードバックなんかはPVのときのテイクをそのまま採用している。粋でしょ!

この曲を作った当時私は、日本人の押韻のぎこちなさに憤慨しており笑、「もっと気楽に踏んでいこうよ! 韻なんか最後の1音だけでいいんだよ!」という気持ちで歌詞を書き始めた。
のだが、途中でストイックなモードに切り替わってしまい、結局曲全体のフレーズを全てe音で終わらせる、という狂気の歌詞を書くことになってしまった…。

リリース直前になって、新たにカナのコーラスをCメロに入れてもらった。
ラジオボイスの歌の上にオク上で重ねたコーラスは、現在私がドハマリしているASOBの1-800-me-alermのアウトロのパクリである。

このカナのコーラスを録音したのが、2021年4月6日夜のこと。アルバムPVのナレーションと一緒に録音したのだが、結果的にこのコーラス録音が本作最後のレコーディングとなった。

『近況報告』は六甲シティをもってクランクインし、六甲シティをもってクランクアップした。
捨て曲なし、をコンセプトに制作した今作だが、その中でもこの曲は私にとって特別な一曲だ。

みたり

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

リアリズムと趣の合間
走ってみたり振り返ってみたり
今日はこんな柄にない歌を
歌ってみたりバカにしてみたり

道すがら 自暴自棄
ヤケクソな夜を明かし
なるようになってたり

どいつもこいつもみんな
ウソくさいセリフばかり
馴染んでたいつもの場所も
しっくりこなくなってみたり

昔ずっと眺めてた写真
スマホ壊れて消えてしまったな
合理主義と衝動の合間
今日もつまり何もしないまま

道すがら 歩むたび 
また何か 見つけたり
また何か 忘れたり

あちこち見渡してみても
分からないことばかり
何気なく拾ったモノを
捨てれなくなってみたり

道すがらこの街も
寂しさに色づいて
俺はまた懲りもせず
アホくさい夢をみたり

今更ずいぶん前の
探し物見つけたり
見下してたヤツの気持ちも
今更分かってきたり
今日はウソくさいセリフも
信じたくなってみたり?


実はこのアルバムで一番初めに書いた曲。飽き性リリース時には既にライブのセットリストに入っていた。
飽き性のミックスをしながら、私は飽き性の音楽性と、自分の作る曲の下らなさに心底飽き飽きしていて…。新たな方向性の模索として去年の1月ごろに作成した曲だ。結果的にこの曲が、171にとって大きなターニングポイントになった。

個人的に、この曲は結構ストレートなラブソングとして書いた。まぁ、音楽は全てラブソングな気もするし、ラブソングなんかこの世に一曲もない気もする。

シングルから少しミックスを変えている。あと何気に歌は全編撮り直した。別にシングル盤が気に入ってなかったわけではないけど、まぁ折角なので。

この曲、カナ的には、ピノキオピーって感じ、らしい。鋭い!
そうです。

個人的な元ネタは、eastern youthの「青すぎる空」である。

まどのそと

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

夜の冷たい空気に漂って
ポツリとここに小部屋がひとつ
寝静まった街にふわり
浮かんでポツリとふたり

らーんらーんらーんらーん
眩しく歪む まどのそとの声
わーんわーんわーん
耳元残る まどのそとの夢
こんなところはふたり飛び出して
今夜どこかへ行こうか
誰にも気づかれないうちに

壊れていくモノが怖いのならば
全て捨ててしまおうか
腐っていくモノが嫌なのならば
少し気づかぬフリをしようか

ぷーんぷーんぷーん
くさい匂いは はてなどこからか
ぶーんぶーんぶーん
飛び交う羽虫 暗い部屋の隅
こんな暮らしはふたり抜け出して
今夜遠く逃げようか
誰も起きてこないうちに

ここはもうだめだ だめだ
それは誰より分かっているから

ぐーるぐーるぐーるぐーる
こんな気持ちは はてないつからか
知ったこっちゃないものごとは
もうここで捨てていこう
ずっと望んできたモノ なにもかも
ハナから無理なこと
どうせ どーでもいいこと
どーでもいいこと

夜の冷たい空気に漂って
ポツリとそこに小部屋がひとつ
寝静まった街の底
鈍く光る まどのそと

『まどのそと』というのは、私の敬愛する梨本うい氏のセカンド・アルバムの題名だ。
この曲はかなり梨本うい氏を意識して作った。
本当はもっと梨本ういっぽい歌詞にするつもりだったのだが…。

飽き性ではかっこいい曲にはかっこいい歌詞をつけないと、と思って空回りしている感じがあった。
それをここらで克服しておきたかったのだが、どうにも、マイナーキーの曲に合わせて自分の悩みを書いてしまうと、なんかちょっとわざとらしいというか押し付けがましいというか、独特の臭さが出てしまう。

なのでちょっと寓話的というか、物語性のある歌詞に逃げて、バランスを取るためにアンバランスなかわいい歌詞にしておいた(矛盾)
うん、多分私にできる今の限界はこんな感じ。

明るい曲調で暗い歌詞、暗い曲調でポップな歌詞、オタクはそういうのが好きなんです!

ルーチン・トラブル!

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

身近なモノから 選んで壊して
どーでもいいような モノだけ守って
そんなことばかり 繰り返して毎日
とっくに過ぎた話思い出して 夜をまた遠回り

こんな時に限って なにも見えなくなって
雨足は強まるばかり 君の目が見れない毎日

身近なモノから 選んで隠して
どーでもいいような モノだけ暴いて
そんなことばかり 繰り返して毎日
ありきたりな悩み思い出して 朝がまた遠ざかり

こんな人に限って なにも言えなくなって
俺はただ眺めるばかり 人の目に怯える毎日

こんな時に限って なにも見えなくなって
雨足は強まるばかり 気が散ってしょーがない
いつもこんな人に限って なにも言えなくなって
俺はまた眺めるばかり 今までとおんなじ毎日

今までとおんなじ毎日
いつも通りの毎日


最後の最後までタイトルに悩んでいた曲。
考えた末がルーチン・トラブル!ってなんやねん
多分、英語の文法的にちょっと違和感がある気がする。カタカナ語として違和感はないのでセーフ?

ファンキーな曲が欲しくて作ったのだが、モリモリはあまりこういう四つ打ちのビートが好きではないので当初難色を示していた笑

私がギタリストとして1番得意なのはこの手のカッティングと、この手の十六分のブリッジミュートなのだが、歌いながらやるのが面倒いのもあって、今まで171ではマトモに披露してこなかった。
それにカッティングやるとすぐミッシェル好きでしょって言われるし…… そりゃ好きやけどさ!

結果的に、今までの171の中でもトップクラスにギターが難しい曲になってしまった……1発撮りで録音できたのが奇跡的だ。

ドラムが入った瞬間からどんどん走っていく感じが堪らない。
はじめのところはドラムがガンガンに走って、ベースはちょっと置いて行かれてくれ、と2人にお願いしてレコーディングした。ので、これはモリモリの責任ではない。

知恵熱

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作詞:カナ 作曲:田村晴信 編曲:171

今僕がなんの不思議もなく
ここで息をしている訳を教えて
君がこっそり教えてくれた
救世主の音楽は僕を救わない

オレンジ色に揺られて
優しさに押されて
悲しみは深くなるばかり
どんどん黒くなるばかり

今僕がなんの不思議もなく
雨の日に傘をさす訳を教えて
君は何も言えなかった
ごめん その優しさには
いまいちピンと来ないんだ

オレンジ色に揺られて
優しさに押されて
悲しみは深くなるばかり
どんどん黒くなるばかり

オレンジ色に揺られて
優しさに押されて
悲しみは深くなるばかり
どんどん黒くなるばかり

今僕がなんの不思議もなく
ここで息をしている訳を教えて
君が確かに唱えてくれた
優しい言葉は全部耳を掠めてった


紆余曲折あって10月頭くらいまでカナの曲は一曲もできていなかった。
当時私はデュエット曲の制作に行き詰まっていたため、とりあえずカナ単体のやつを歌詞先で一曲書いてみてくれとカナに頼んでみたところ、なんと一晩の間に3曲も送られてきた笑 
それが知恵熱と、薄暮と、梔子のミルクである。

当時カナは9mmのinterceptorにドハマりしていて、interceptorみたいな曲を作ってくれと言われた。
全体的なコードワークの雰囲気や、特徴的な+6のテンションなんかはinterceptorから拝借している。

私は結構、歌詞も曲も、「○○みたいな曲を作ろう」で作るのだが、この曲に関してはカナがinterceptorのどの要素を気に入っているのか分からなかったので、まぁ歌が女声になれば雰囲気も変わるだろうしと、全体的にかなり危ういラインまで似せて作った笑

そんな経緯で作ったので、オマージュというかパクリというか、イントロのカウントとフィルインはinterceptorのモノをそのまま拝借している。

このバンドにおいて懐古以降ハモリは封印していたのだが、この曲を更に9mmっぽくさせたかったのでこの度解禁した笑
やっぱ私はメインボーカルよりコーラスの方が上手い。

個人的に今回のカナ曲の中で1番のお気に入り。
最終的に、ドラムとベースのミックスの質感に関しても、9mmのギャラルホルンをかなり参考にミックスしている。

薄暮

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作詞:カナ 作曲:田村晴信 編曲:171

街の若者は皆発狂してる
叫ぶのを我慢してる
悲しみは消えない
時代が流れても

地下鉄の風に吹かれ
錆びた鉄を見つめる
酸化した眼が
近道を見た、気がした

まだ遠いいつかの話
いつか必ず辿り着く場所

街の若者は皆 孤立してる
繋がりを求めてる
群れなしても孤独
愛とかほざいても

街並みの灯りは消え
青い光に沈む
酸化した眼が
近道を見た、気がした

まだ遠いいつかの話
いつか必ず辿り着く場所

街の若者は皆 孤立してる
繋がりを求めてる
群れなしても孤独
愛とかほざいても


知恵熱と梔子のミルクに関しては小一時間程度で原型が完成したのだが、対照的に薄暮はアルバ_Lfh中でも1番完成までに時間がかかった。

当初は、「銀杏みたいな感じで」とカナから注文を受けていたので、駆け抜けて性春とか若者たちとか(ゴイステじゃねーか!)みたいなんを想定していた。
しかし11月半ば、京都GROWLYで対バンしたSuperBackという同い年のバンドに我々は衝撃を受け、帰りの車で話し合った結果、やっぱSuperBackみたいな曲にしよう!と路線を大きく変更した笑

マイナーキーで重めのベースリフ、というテーマでAメロくらいまでの流れはすぐ作れたのだが、そこからどうにも歌詞と雰囲気を合わせるのに苦労して、デモの完成は1月半ばまでもつれこんだ。

その頃になると私はSuperBackをテーマに設定したのを忘れていて、途中からはFranz Ferdinandの曲を色々研究していた覚えがある笑 
今思うと結果的にちょっと銀杏っぽい曲になった気もする。

この曲のデモをメンバーに送ったとき私は非常に自信を失くしており、こんな駄曲はボツになってしまうだろうと考えていた笑
しかし予想外にカナとモリモリが気に入ってくれたので、この曲はレコーディング直後からライブセトリに入りはじめている。

このバンドのコンセプトとして、曲作りにしてもミックスにしてもそうなのだが、ベースを裏方にしたくないというテーマがある。ベースに隠れてほしくないのだ。
我々はカナをギターヒーローにしなければいけないので。
結果的に171の曲は大概はじめから終わりまでずっとカナのギターソロ状態ではあるのだが、この曲ではギターとベースのツインワーミーソロを入れた。

カナは『飽き性』のレコーディング途中くらいにベースワーミーを購入し、ずっとボードには入っていたのだが、良い使い方が思いつかずにいた。今回つかえて、良かったです❗ 

暮らし

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

酔いどれこの街でふらつき歩き出す
何かまたもう少しで忘れてく気がして

ときたま何もかもメチャクチャな日があるもんで
どれだけもがいても逃げきれないコトもあって

通りすがりにすれ違う場所で
永遠ばかり求めつづけて

ビル風どこか遠く
この街を吹き抜ける
時はすぎゆき暮らしに紛れ
記憶も色も溶けて流れる

こうして去りし日を求めてみたところで
この街はまた今日も変わらず日々をゆく

通りすがりにすれ違う人と
束の間の日々を分かち続けて

コンビニ ネオンサイン
この街を染め上げる
夢はすぎゆき暮らしに紛れ
吐く息ごとに溶けて流れる

道端ビル風吹き抜けて
人々がこの街を染め上げる
時はすぎゆき霞と消えて
面影だけがまぶたに宿る
夢はすぎゆき彼方へ散って
残り香だけが暮らしに宿る

酔いどれこの街でふらつき立ち止まる
何かまたもう少しで思い出す気がして


eo Music Tryのエントリー曲。
アルバム制作初期の自信作であった。

この曲を作ったのは去年の5月くらい、朝食を食べながらアマプラで見たドラマ『相棒』のあるエピソードに感激して朝っぱらから作った曲である笑
曲の雰囲気は、その回のジャズ喫茶のシーンで流れていたピアノワルツから着想をもらった。

私は基本的に夜にしか曲を作らないので、朝に作れたのは非常に新鮮。
そんなこんなで元々はギターじゃなくてピアノを弾こうと思って作った曲であった。
最終的に、ピアノで弾くには些か激しすぎる曲になってしまったが……
最初の弾き語り部のF△を妙なボイシングで押さえているのは、ピアノを意識して作曲した名残である。曲自体はギターで作ったが。

PV版から歌詞は若干書き直し、ギターも録音しなおした。六甲シティ同様、ベースとドラムはPVのときの1発録音テイクそのままである。
eo Music Tryに出した音源はギターも歌も全て再録したものを使用していたが、今回のミックスでは六甲シティ同様ギターソロのみPVのときのテイクをそのまま使うことにした。
ちなみに、大サビの「吹き抜けーてー」も実は1発録音の際のボーカルテイクをパンチインしている。

ギターを後付録音する際はいつもBOSSのST-2からオーディオインターフェースに直差ししているのだが、この曲と六甲シティに関してはマイクの実験も兼ねて、珍しくスタジオでアンプからマイク録音している。ここら辺は使用機材の項で詳しく書くことにする。

衣替え

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

部屋を片付けよう 布団も干そう
ゴミ出しをして みそ汁を作ろう
何日かぶりに風呂に入って
切れてた洗剤を買いにいこう

青春なんて曖昧な言葉で
僕らの日々を片付けないで

タバコはやめよう お酒も減らそう
服を洗ったら 歯医者にいこう
何日かぶりに街を歩いて
切れてたゼンマイを巻きにいこう

青春なんて曖昧な言葉で
僕らの時は戻せないさ

青春なんて曖昧な言葉で
僕らの意味は残せないな
あの日の君は塗りつぶせないな

もういいだろ こんな暮らしは
もういいだろ 君を忘れても
朝に起きて日を浴びればそう思うもの
髪を切って人に会えばそう思うもの
そういう暮らしも本当はできるだろ

明日からはそうしよう
明日の街で息を吸おう
だから今日は早めに寝よう


そろそろブルースでもやってみよう、と思って作った曲だが、後半部には「みたり」のセルフサンプリングを入れて激しめに整えた。

ギターソロのだんだん盛り上がっていく感じは、ジミヘンとか、ジョンメイヤーとか、エリッククラプトンとかを意識したのだが、アドリブでレコーディングしたせいで非常に時間がかかった笑
12月に一度レコーディングしたのだが、付け焼き刃で撮ったこともあって、2月にまるまる撮り直す羽目になった。

この曲はシンプルなブルースから作りはじめたぶん実験的な試みを入れようと思い、曲の最後の「早めに寝よー」を弾くためだけにギターは全編ドロップDでチューニングしている。マジでめんどくさい。

ベースに関しても、2番まで指弾き、ギターソロからはピックに持ち替えてもらっている。
指弾きとピックを持ち替えるのは私の得意技なので、ギターでは一々説明もしてないくらい持ち替えているのだが、カナにも前作の「懐古」とかでやってもらったりしている。

実際カナは指弾きも非常に上手いので、そのうち指弾きでファンキーな奴もやってほしいな、vulfpeckみたいなやつ。

歌詞に関してだが、この曲を書いた当時私は、「青春だったなぁ〜〜w」とか「あの頃は若かったなぁ〜〜w」で昔の思い出や悪事を片付ける行為に対して異常に憎悪を燃やしており、自分の友達にはやって欲しくないなぁと思って書いた。
しかしそのせいで今後私は「青春」という言葉を歌詞に使えなくなってしまった笑 
なかなか困りものである。

梔子のミルク

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作詞:カナ 作曲:田村晴信 編曲:171

六畳一間に水を満たして
底で眠っている僕です
静かなのに
濁っていてうるさいのは
明け方の窓に
完全な真空が
押し寄せるからです
青くて遅い
遠くて親しい
きらめいている
きらめいている

水を飲み込み酸素を吐き
それを呼吸とする僕です
愚かなのに
光っていて揺れないのは
真夜中の窓に
終末の爆音が
届いているからです
青くて鋭い
遠くて親しい
きらめいている
きらめいている


前述の通り、カナが一晩で書いてきたシリーズの内の一曲。

バンドが成熟したり売れたりしてから、取ってつけたように作りはじめたピアノバラードが私は大嫌いだ。

しかしながら、爆音ギターロックだけではそのうち飽きが来るのも確かだろう。
どうせいつかやるのなら、今のうちに手を出しておけば、こういう方向性も「171」の枠組みに入れておくことができると思い、この曲は綺麗なバラードをコンセプトに制作した。
ピアノを弾きたいとカナはかねてから言っていたので、今回ピアノでの作曲に初挑戦してみた。
最終的には尖った曲になってしまったが……。

かなり実験的なミックスをしているが、近況報告のPVでそれとなく挿入しているように、-これは私の大学の友人のアイデアによるもの。
アイデア、というか、「飽き性」をリリースした直後に酒の席で、「はやく171も、ドラムが左チャンネルで、ボーカルが右チャンネルで、ベースレスの曲作って欲しいなぁ」と彼がふざけて言っていたのだが、そのときから私は密かに「なら絶対次のアルバムで入れてやるぞ」と心に決めていた笑

彼も近況報告のPVを見てくれたらしく、先日LINEで「サビになったら一人称が『小職』になる曲か、早く作ってほしい 文京区Oさん」
「途中で耳かきのASMRが入る曲作ってほしい 文京区Oさん」と次のお題が送られてきていた。
流石に無理がある。

2月に幻像と薄暮と衣替えをレコーディングし、梔子だけが最後に一曲だけ残ってしまったので、この曲に関しては246のセルフレックシステムを使わずに、自前の機材だけでレコーディングすることにした。

171の曲は基本的に全ての楽器をせーので同時録音しているが、この曲は当初私の実家のアップライトピアノをカナに弾いてもらって、すべての楽器を分けて録ろうと思っていた。(というか普通レコーディングというのはそういうものだ。)

しかしながら❤️緊急事態宣言発令❤️の影響もあり生ピアノのレコーディングは断念し、結局246JUSOに私の機材を持ち込んで、ドラムと電子ピアノで同時にレコーディングすることにした。
自前の機材のみで撮るとなると使える配線の数も限られるので、この曲では前々からやりたかったマイク一本でのドラム録音に挑戦してみた。
モリモリもこの曲では本当に最低限のセットで叩いてくれたので、かなり良いマイキングができたと思う。

ピアノに関しては、電子ピアノのoutputとは別に、オーディオインターフェイスにMIDIケーブルを繋いで、演奏データも同時に録音している。
結局最終的にピアノに関しては、実機で鳴らした音源は使用せずに、MIDIデータでCubaseの内蔵音源を鳴らしている。要するに、スタジオの電子ピアノはMIDIキーボードとしてしか使わなかった、というわけ。

後に私が諸用で帰省した際、ついでに実家のピアノをオーバーダビングしてみたのだが、重ねてしまうとイマイチだったので今回は使わなかった。
生ピアノのレコーディングは、次のアルバムで是非ともリベンジしたい。
電子ピアノはどうしても攻撃的なタッチになってしまうし……。

幻像と重力

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作詞:田村晴信/カナ 作曲:田村晴信/カナ 編曲:171

君の夢を見た
潤む目のワケが
思い出せぬまま
僕は目が覚めた

君と夢を見て
潤む目のワケが
見つめきれぬまま
俺は目を開けた

日々は水の中
髪も黒くした
静かな愛を聴き
それでも消えない

弱き生命を
殺す代わりの
安らかな爆音を
子守唄にして 眠る

夕暮れの最中
 暗い部屋の中
君の影をみた
 僕を覗き込んだ
朝もやの彼方
 青い箱の中
 君の影をみた

ここは夢の果て
 誰もいなくなった
みんな目が覚めて
 僕さえ
この街の色は
 この先の温度を
忘れきれぬまま
 知らずに行く

このアルバム内でも最後に制作した曲。
歌詞が固まったのも3月に入ってからだった。

前回の「懐古」ではカナパートの歌詞も私が書いてしまったので、今回のアルバムでは2人で歌詞を書いたデュエットを作ろうと決めていた。

まず私が曲の伴奏と自分のパートだけ完成させて、カナのパートは参考程度にだけメロディをつけて送ったのだが、最終的にはカナが自分でつけたメロディをほぼ採用している。

私はサブボーカリストやツインボーカルが結構好きだ。SAODのDaron、ASOBのJT TurretとDave、グループ魂のバイトくん/港カヲルとか。クソバンドばっかりやんけ❗

その中でも、モールルのツインボーカルシステムは結構面白い。システムオブアダウンも結構そうだけど、2人のボーカリストが、一見関係ない話を別々に進行させていくシステムなのである。

この曲はそんな感じにしたかったので、カナには、私の書いたものは気にせずに、全く関係のない話をしてくれていい、とオーダーした。
最終的に、「ここは夢の果て〜」以降の歌詞は繋がった一文のような形になっているが、ここは私も何も考えずに歌詞を書き直したりしていたら、偶然こうなった。

狙ってやったわけではないのだが、この、同じ話をしているようで、その実2人は別の話をしている感じ。気があっているように見えて、実は言葉のあやで一致して見えただけな感じ。そして最終的は真逆の方向性を向く、というのが実に、人生だなぁと思った……。ポコチンポ!

クレジット&使用機材

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制作内訳


ドラムス:モリモリ
ギター(大):カナ
ギター(中):田村晴信
歌:田村晴信、カナ
バンドの切り盛り:モリモリ
運転:モリモリ
レコーディング:171
ミキシング/マスタリング:田村晴信
ジャケット/歌詞カードデザイン:カナ
写真撮影:カナ、田村晴信
レーベルデザイン:田村晴信
映像制作:田村晴信
配信:Tunecore
印刷:SOUND PRESS
HP:JIMDO
プロデュース:171

スペシャルサンクスは『アルバム制作にあたって』にて!

スケジュール

2020年
2/19 『みたり』デモ完成
3/16 『飽き性』リリース
4/13 『六甲シティ』デモ完成
5/19 『暮らし』デモ完成
6/19 『六甲シティ』『暮らし』レコーディング&PV撮影 with蛍ちゃん
6/24 『暮らし』PVアップロード
6/27 『六甲CITY』PVアップロード
7/8 『俺の見たピストルズはスマホの中』デモ完成
9/6 『みたり』PVアップロード
9/18 『まどのそと』デモ完成
9/19 『みたり』『俺の見たピストルズはスマホの中』レコーディング
10/18 『知恵熱』『衣替え』『梔子のミルク』デモ完成
11/19 『ルーチン・トラブル!』デモ完成
12/19 『まどのそと』『知恵熱』『ルーチン・トラブル!』『衣替え』レコーディング
合間合間でボーカルレコーディング及び、ギターのオーバーダブ録音

2021年
1/4 『幻像と重力』デモ完成
1/27 『薄暮』デモ完成
2/12 『幻像と重力』『薄暮』レコーディング 『衣替え』再録
2/21 『梔子のミルク』レコーディング
合間合間でボーカル…(以下略
3/6 『まどのそと』PVアップロード
4/5 ジャケット撮影
4/6 『六甲シティ』コーラス録音 クランクアップ
4/7 ジャケット完成
4/9 全トラックマスタリング終了 サブスク配信審査手続き
4/11 『近況報告 PV』アップロード
4/13 印刷所に入稿完了
4/17 サブスクの審査手続きに不備があったことに気づく
4/20~21 各種サブスクで配信開始
4/22 完成したCDが到着、本リリース開始!!

使用機材

ドラム

バスドラ・タム: 246WEST 8stに備え付けのPearl Masters (梔子以外)
246WEST 8スタに備え付けのPearl Masters Custom (梔子)

クラッシュ・ライド: スタジオに備え付けのジルジャン

ハイハット: 六甲・暮らし・みたり・ピストルズ は備え付けのもの、それ以外はPAISTE
2002 SOUND EDGE HI-HATS 15" PAIR

チャイナ: PAISTE 2002-18 NOVA CHINA

スネア: 全曲、Pearlのチャドスミスモデル
かれこれ6〜7年くらい使っているので、リム・スナッピー等色々カスタムしているらしい

マイク: BETA52A (バスドラ)
SM57(スネア表裏/ハイタム/バスドラ)
SM58 (六甲と暮らし以外のハイハット)
AUDIX D2(フロアタム)
SE300B (トップ用 六甲と暮らしのみハイハットにも使用)
AT4040 (梔子はこの一本のみ)

ちなみに、みたりとピストルズのレコーディングではBETA52Aのチャンネルを付け忘れており、バスドラは57で撮った音しか使っていない笑

ベース

ベース本体 : YAMAHA SBV500

エフェクタ : Digitech Bass Whammy (薄暮 2oct classic) → Joyo JF10 (気分でON)→ Joyo JF-36 (基本歪み)→ Proco RAT2 (ここぞというとき)

アンプ : Markbass SD800 → Hartkey SVT-410HE

マイク : SM58 (全曲)、D112 Mk2 (六甲・暮らし・みたり・ピストルズ)、AT4040 (それ以外)

カナの手持ち機材は、ベースからアンプまで合わせて10万いくか行かないかくらい。かっこいい。

ギター


ギター本体 : 2011年製 Gibson Les Paul Studio (知恵熱、梔子以外の全曲)
2017年製? Playtech TL250 Maple (みたり、薄暮、衣替えの左チャンネル)
2015年製 Fender Mexico Stratocaster ジミヘンモデル (知恵熱)
1997年製 Gibson Flying V (梔子のミルク)

エフェクタ : KORG DT-10 (全曲) → BOSS VB-2W(六甲、梔子) → BOSS TR-2 (梔子) → Degitech Whammy 5 (六甲・梔子: 1oct 薄暮・幻像:2oct いずれもclassicモード) → Behringer SF300 (Boostモード ちょい歪みのとき) → Dunrop FFM-3 (結構歪みのとき) → BIG MUFF (ここぞというとき) → Behringer SF300 (FUZZ2モード 本当にここぞというとき 今作は薄暮くらいでしか踏んでないかも?)

アンプ : 1976年製 Marshall 1959 → 246の1960A (梔子以外の全曲)
Boss ST-2 (LINE録音の際に使用 みたり・知恵熱・薄暮・衣替えの左chギター、梔子のギター)

マイク : SM57
AT4050 (単一指向性or双指向性) BETA52A & e609 (六甲と暮らしのギターソロ)

自分の機材だけ長くなるの恥ずかしい。

その他

ピアノ: YAMAHA CP-40 (内蔵音源は不使用)
音源: Cubaseに入ってるやつ……

ボーカルマイク : AT4050 (暮らし、六甲、ピストルズ)
AT4040 (それ以外の全曲)
SM57、58 (ごく一部) 
ポップガード : 246で借りた布製のものを暮らし・六甲・ピストルズでは使用。それ以降は自前のSTEADMAN Pro Screen。

PC : Dell Inspiron(メイン)、Apple iMac Retina 4K(セルフレック時)

AI : Roland Duo-Capture EX、Focusrite Scarlett OctoPre Dynamic (セルフレック時)

Software : Cubase Pro(ミックス、マスタリング)、AviUtl(動画制作、ジャケット画像編集)、Blender(PV制作)procreate(歌詞カード制作)、MediaBang paint(歌詞カード制作)、ペイント(CDレーベル制作)、GIMP(各種画像処理)
 

レコーディング・ミックスについて

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この項は、生バンドのレコーディングをDIYでやろうという狂人にむけての覚書という側面が強いので、全体的に少々専門的な話になる。長くなるので、興味のない方はしばらく飛ばしていただきたい。

バンドのレコーディングは『梔子のミルク』以外は全てスタジオ246WESTの8スタ(セルフレック)でバンド一斉録音である(結構色んなテイクから切り貼りはしてるけど)。

前述のように梔子のミルクのみ、246JUSOの8スタに自分のパソコンとマイクを持ち込んでレコーディングした。
歌撮りは全て246WESTに、これまた私の機材を持ち込んで5〜6回に分けて録音した。部分的な手直しは自宅でも行っている。

「飽き性」と同じスタジオ、ほぼ同じ環境でレコーディングしているが、機材に関しては「飽き性」から少し変化があった。

1番大きな変化は、間違いなくモリモリが車を購入したことだ笑
青色のTOYOTA・PASSO 2016年式、めちゃくちゃかわいい。まどのそとのPVにも登場してもらった。

自家用車という概念!!
どこでもいけるって凄い。
私とカナも原付を持っているし、モリモリに関しては大学時代から中型に乗っていたが、やっぱ車って凄い!
私がアンプを購入して以降は、よくモリモリにレンタカーを出してもらって(私とカナは免許がない……)いたのだが、パッソくんの登場によってバンドの移動スタイルは革新的に変化した。
この場を借りて、会社員とバンドマンを兼業しながら、運転任務までも一身に引き受けてくれているモリモリに多大なる謝辞を送りたい……。

サウンド面での大きな変化は、カナがアンプヘッドを購入したことだろう。
確か中古29000円くらいで売っていた、マークベースのSD800である。
設定が細かすぎて少し扱いにくさはあるものの、(マークベースにしては結構大型だが)軽くて丈夫で運びやすいし、攻撃的なソリッドステート感も、カナの性格にあっていると思う。

実はこのアンプの前に、marshallのorigin50をベースアンプとして使おうと購入していたのだが、残念ながら爆音バンドでベースが使うにはパワー不足だった。メルカリで売っちゃった!

ドラムに関しては、モリモリの社会人パワーで機材が増えていき、1年弱のレコーディング期間の間に色々とカスタムされた。
特に9月から12月の間にハイハットを購入したこと、2月のレコーディング前に、グレッチの極太スナッピーをスネアに張ったことで、だいぶバンドとしての出音が変わった。
ハイハットの音は私のミックスのさじ加減も大きいが、2月にレコーディングした『薄暮』『衣替え』『幻像と重力』では、ギターとベースに共鳴してスナッピーが唸りまくっているのがわかると思う。

実は今作の楽器撮りが全て終了してからライドシンバルも購入しているのだが、音源でのお披露目は次回作になるだろう。

ギターに関してだが、私は『飽き性』と暮らし・六甲CITYのPVのギタートーンに関して非常に不満があったので、今作では妥協したくなかった。試しにオーテックのAT4050を246でレンタルしてこの2曲を撮ってみたところ存外に良い音で録れたので、今作は全曲AT4050とSM57の2本体制で録音した。

というか、前作からこの2PVまでのギタートーンに関しては、246WEST 8stの1960Aのスピーカが割れていたことが大きい笑
スタッフさんに言うのが面倒くさくて、ずっと割れたキャビで録音していた笑
意を決してスタッフさんに相談してみたら即座に別のキャビを持ってきてくれたし、現在は当キャビも修理されているので安心して欲しい。

前作では歌レコにしか使用していなかったAT4050をバンドのレコーディングでも使用するようになってから、ラージダイアフラムのコンデンサマイクを一本持っておきたくなってきたので、12月に下位機種のAT4040を購入した。

それ以降のレコーディングではベースと歌はほぼこれでとっているほか、梔子のドラムはAT4040一本で録音している。

ミックスに関しても、WAVES AUDIOのプラグインエフェクトをいくつか購入したことで、格段に作業効率とクオリティが上がったように思う。
特にコンプレッサに関しては、WavesのCLA-3aと1176しかほぼ使っていない。

バンドとしての演奏力が上がったことと、私のミキシング技術・レコーディング技術も上がったことで、「こうせざるを得ない」という音作りから「こうしたい」というミックスにシフトすることができた。

ドラムの質感を曲ごとに変えてみたり、ルーチン・トラブルなんかはちょっと汚めにミックスしてみたり、セルフミキシングならではの遊び心は色々入れられたと思う。まぁ時間はかかったけど。

全体的なミキシング において、今作で意識したのは『普通のミックス』だった。
前作で少し尖りすぎて技術不足を露呈した感は否めなかったし、いくらなんでもボーカルがちっちゃすぎる気もしてきたので笑、今作は普通に飲食店とかで流れてても大丈夫そうなミックスを心がけようとした……。

前作でボーカルをかなり弱くミックスしたのは、皆さんご想像の通り、最後までボーカル・トラックを前に押し出す自信が持てなかったからである。
この辺のアレが最終的な音源に深く影響してしまうのは、セルフミキシングの難点かもしれない。

しかしバンドも3年目に入れば歌にも慣れるし、前作とは違って良い歌詞も書けるようになったので笑、今作はボーカルを主軸においてミックスをしていった。

今作のボーカルトラックは、Number GirlのTOKYO FREEZEという曲のミックスをかなり参考にした。

私は、ロングリバーブやオートチューンなどのクソウンコ系エフェクトを破茶滅茶に憎んでいる。
なるべくソリッドで、コンプだけがバチコリにかかったボーカル、Tokyo Freezeの、アタック音がパッコンパコンいう感じなんかもう大好物なのだが、まぁ全曲これだと疲れてしまうので、アタック感はもう少し薄めにした。

カナは結構ダブリングとかディレイとかが好きなので、カナの声には積極的に導入する予定……だったのだが、ミックスしてるうちに全部オミットされてしまった笑
オミットされたというか、全箇所ラジオボイスで置き換えられたというか……。
その分ラジオボイスだとか、ルームリバーブのオンオフだとかそういうおもしろエフェクトはカナ曲の色んなところに登場させている。

六甲シティでは私の声にもラジオボイスをかけているし、今後の作品ではもっと遊びを入れていくことになるかもしれない。バラードにロングリバーブだけは絶対にかけへんけどな。あれはクソウンコやから。クソウンコ、ポコチンポ。クソウンコ、ポコチンポ!

アルバム制作にあたって

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『飽き性』は我々の初期衝動の集大成だったが、それ故にリリース時から音楽性に対する不満というか、自分たちの音楽性がまだ未完成であるという反省も大きく残ったアルバムであった。

飽き性では「171に必要な曲」を意識して制作していたが、打って変わって今作は『今までの171にはありえないような曲』を意識して制作した。
衣替えや梔子のミルクなんかは分かりやすいが、実のところ一曲一曲の制作が自分の中の『171』の固定概念を壊していく実感があった。

個人的に特にテコ入れしたのは自分の曲の歌詞だが、飽き性の制作当時はロックやパンクの体裁にまとめようとしすぎて自分自身が混迷していたように思う。
『171』という枠組みを曲調から破壊できたことで、私自身パンクの呪縛から逃れることができ、歌詞も伸び伸びとかけるようになった。

しかしながらなんやかんやで、完成してみればむしろ『飽き性』よりも衝動的でパンキッシュなアルバムに仕上がった気もする。やはり、ロックとかパンクとかそういうのは、目指そうとして目指すもんじゃないんだなあ。あれ、名盤、できちゃった?w

前作同様、レコーディング・ミキシング・マスタリングは全て私が主導して行い、デザイン面はカナにほぼ任せた。CDの盤面のみ私が制作している。

ジャケットも、私とカナで六甲の公園を回って、私のフィルム一眼で撮影した。
何故か昔から私はカナの写真が綺麗に撮れないのだが、今回は36枚撮りを2本回した甲斐もあって、いいジャケットになったと思う。

本当は2020年内にリリースするつもりだったのが、1月に延び、3月に延び、とうとう完成は4月終わりにまでもつれ込んでしまった。
スケジュールが破壊されていく中で結構焦りも生まれていたのだが、どうせ待たせるのなら絶対に妥協なしの作品に仕上げよう、という共通認識も存在した。待たせただけあって、なかなか自信作になったと思う。
おまたせ続きで、どうもサーセンっした!!

そう考えると、171の根本的な活動指針を定める土台として『飽き性』の存在は、今作の制作において実に大きな意味を持っていた。バンドが自由な音楽性を持つためには、『飽き性』で錨を下ろす必要があったのだと思う。 

帰る場所が定まった状態で、ちょっと散歩する感覚というか。一人旅をする感覚というか。
自由の舌触りを堪能するためには、きっと自分にとってなにか不変なものが必要なんだと思う。
地に足をつけていない自由には、油の海を泳ぐような息苦しさがつきまとう。

溢れんばかりの衝動とフラストレーションを詰め込んだ『飽き性』から1年、『近況報告』には今の私達の等身大を余すことなく詰め込めたように思う。良いアルバムタイトルだ。私が考えた(エッヘン)

これからの171にとって、今作もまた錨の役割を果たしてくれるだろう。
きっと次のアルバムはもっと自由になれる。その次はもっと? 

結局先のことはわからないものだ。
現在、現在の話。みなさんは最近どうしてましたか?
246のみなさん、ライブハウスのみなさん、動画とアー写を撮ってくれたカメラマンの見尾くんと蛍ちゃん、たくさんの激励とアドバイスをくれる友人たち・仲間たち・近しいみなさん、そして、私達の音楽を手にとってくれたみなさん!
平素は格別のご高配を賜り、心からの御礼を申し上げます。
近頃は、マジでクッッッッッソみたいな時代ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私たちはと言いますと―――――

171 セカンドフルアルバム『近況報告』ここに堂々完成!!!!!!

わーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!


2021年4月23日 文責:田村晴信

近況報告リリーズ後のビデオ

俺の見たピストルズはスマホの中

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歌詞はすぐ上に書いているので割愛。
僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもう、シド・ヴィシャスは死んでいて、音楽を聞きはじめたときにはもう、ナンバガもミッシェルもブランキーも解散していたという、私達の世代のこの感覚をどうにか表現したかった。

はじめにわかりきったことを白状してしまうが、このPVは完全に神聖かまってちゃんの『ロックンロールは鳴り止まないっ』のインディーズ時代?のPVの丸パクリである。

無断で色々拝借しておいて敬意もクソもないのだが、せめてものリスペクトとして、一個目の動画は神聖かまってちゃんにした。(ギター叩き壊して破片を客席に投げてるやつ)

使った動画を前から列挙していくような野暮なことはしないが、『ロックンロールは鳴り止まないっ』で使われているロックスター達の映像の中で私が個人的に一番印象的だった動画は、そのまま同じ動画の同じ部分を使用している。同じアングルの映像を見つけるのに苦労した笑
探してみてね。編集もちょっとだけ似せておいた。

なんだかんだで、メンバーにすら分からないようなニッチな映像を結構入れてしまった。
まぁ、『ロックンロールは鳴り止まないっ』にGGアリンが入ってたり、『Dani California』のPVにミスフィッツ?が出てきたりするのは結構エモくて好きなのだが、このPVにはマジでもっとマイナーな人たちが結構出てくる笑

有名なバンドなんかの動画でも、みんなにとっての『あの動画』の最大公約数的映像を使わずに、ちょっとニッチなヤツを引っ張ってきている場面も多い。
その分まぁ私が全力を以っておすすめできるモノばかりなので、ネットサーフィンの合間にすれ違った日には是非見てみてほしいと思う。

このPVの裏話をすること自体野暮なのだが、野暮ついでに、「めちゃくちゃ迷って入れなかった動画」を紹介したい。

一番迷ったのは、ナンバガとミッシェルからどの動画を持ってくるのかということ笑 SAPPORO OMOIDE IN MY HEAD状態なのか、ROCK IN JAPAN 2002なのか、ライジングサンなのか。。。
なによりも、Mステのミッドナイトクラクションベイビーを抜くのはかなり苦渋の決断であった笑

あとは『入れなかったバンド』だが、候補に入っていたものの最終的にいれなかったのはエリック・クラプトンチャック・ベリーSRVトリプルファイヤーthe coopeezゲスバンドビリー・アイリッシュアラン・ウォーカーフランツ・フェルディナンドメタリカ電気グルーヴブルーハーツYMOクリトリック・リスFugazi憂歌団レディオヘッドをめちゃくちゃ情熱的にカバーする韓国人、etc。。。きりが無いな。

結局、山のようにおすすめ動画を貼ってしまった。まあ要するに、そういうPVだという話。なかなか「分かってる」動画チョイスだと思うので、知ってるアーティストがいたらリンクに飛んでみてね。


なぜビートルズやストーンズは候補にすら入っていないんだ、とか、クラプトンやチャック・ベリーが外れてなぜグループ魂や凛として時雨が入っているんだ、と思う人もいるだろう。

うるせーーーーーーー!!!

 B級音楽を愛してしまった人間の苦悩が貴様らに分かるか!??

音楽なんて所詮B級芸術、ロックンロールなんてなんて所詮B級音楽、パンクロックに至ってはB級の中のB級音楽!
 レディオヘッドをめちゃくちゃ情熱的にカバーする韓国人(2:20くらいからみてください)の良さがわからんようなヤツは、俺の前でセックス・ピストルズを語るんじゃねぇーーーーー!!!!


2021年5月26日 文責:田村晴信

六甲シティ

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六甲シティは、近況報告のリリース前に出していたPVから一番手をかけて作り直した曲だったので、この機会にPVも作り直すことにした。
特に書くこともないのだが、、、、このロゴ、かわいくない?なんかホラーテイストになってしまったが、これは実はこれから出していく動画の伏線だったりするので、是非楽しみにしていてほしい。


2021年5月26日 文責:田村晴信

初期のイナイチ(LIVE)

エネルギー不足 (Live At 京都GROWRY 2020/11/14)

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配信映像からの切り抜き。
エネルギー不足はかなりライブ音源が残っていたのでどれにするか本当に迷ったのだが、もう分かんなくなって最終的にはシャウトのクオリティで判断した笑
この音源、Aメロの歌い方がウザイのでかなり最後まで悩んではいたが…。

 対バンはabout a ROOM / Slimcat / SuperBack
盟友スーパーバックとはこのときが最初

ちなみにセトリは
1. エネルギー不足
2. 熱帯夜
3. まどのそと
4. くらげのブルース
5.暮らし
6.みたり
7.煙
この日は確か持ち時間が35分~40分だった。

くらげのブルース (Live At 京都GROWRY 2020/11/14)

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初期にはマストでやっていた曲だが、探してみるとマトモな音源が意外に残っていなかった。歌詞はメチャクチャである。

懐古 (Live At 京都GROWRY 2020/10/9)

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この曲もほぼ毎回のライブでやっていたので音源は多かった。246の配信ライブのときの録音と迷ったのだが、モリモリがツインペダルを使っていた時代の記録を残しておきたかったので少し前のライブをチョイスした。

対バンは The Papaya Collections / Noranekoguts / おとなりアイ二ー

この日のセトリは
1. エネルギー不足
2. 熱帯夜
3. 懐古
4. 終演です
5.暮らし
6.みたり 

終演です (Live At 京都GROWRY 2020/10/9)

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この日のライブの模様は、eo Music Tryの投票促進も兼ねて全編YouTubeで期間限定公開していた。中でもこの終演ですは結構お気に入りだったのでチョイス。
この曲は『飽き性』発売前の結構いいライブ映像が残っているので、そちらもまたの機会に出したいところ。

錆びついている (Live At 神戸VARIT. 2020/2/5)

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今回のCDでは唯一『飽き性』発売前のライブ。神戸VARIT.は我々のバンドが初ライブをしたライブハウスでもある。

本当はその頃の音源ももっと入れようと思っていたのだが、この頃の我々の音源はとにかく歌が聞けたものではないので、かなり割愛した。
本当はこれも削ってしまおうかと思っていたのだが、新バンド名『イナイチ』を初発表している瞬間のMCが残っていたので、入れざるを得なくなってしまった笑

なにげにコロナ禍が日本全土に波及する直前。何も気にしなくてよかった時代最後のライブだと思う。

 対バンはタバティー田畑 / 天(Dict.) / 近石涼 / THE MAD GENTLES

セトリは
1.熱帯夜
2.エネルギー不足
3.錆びついている
4.終演です
5.煙 

煙 (Live At 京都GROWLY 2021/4/23)

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この前週にでたGROWLYで店長さんから「のびのびライブやりたいなら、一回セトリ決めずにステージ上のノリで曲決めてライブしてみたら?」とアドバイスを頂いて、この日は1曲め以外セトリを決めずにのぞんだライブ。

やると思っていなかった曲をカナがいきなり弾き始めたので、開始3~4秒ほどのところで、「おお!」と驚くモリモリの声が入っている笑 

メンバーを驚かせるほどの意外な曲選が災いし、本来Fマイナーのこの曲をカナはF♯マイナーで弾き始めてしまった笑 
似たようなベースリフの曲が多い上、私の作る曲はF♯マイナーが本当に多いので私のせいでもある。

キーの間違いにすぐに私もカナも気付いたのだが、まぁ私とカナならいけるだろうと半音高いキーのママ最後まで通してしまった。ところどころ混乱してるのはご愛嬌。
この曲は原キーで私の声域ギリギリなのだが、この日はなぜか喉が絶好調だったのでなんとか乗り切れた笑

対バンは Marie Louise / LEEVE ROSELYN / eureka / blondy 
この前月に出会ったMarie Louiseさんから有り難くお誘いを頂いて、自主企画イベントに呼んでもらった形である。

ちなみにこの3週間前の尼崎toraで煙をやったあと私はギターを床に放り投げて折ってしまったのだが、このライブは狂気の自家修理にて復活した愛機の復帰ライブでもあった。
ギターを折った回の煙もなかなか良いテイクだったので、いつか映像で出そうと思う。

セトリは
1. ルーチン・トラブル!
2. 熱帯夜
3. 終演です
4. 煙
5. 俺の見たピストルズはスマホの中 

熱帯夜 (Live At 京都GROWLY 2021/7/23)

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前述の煙からちょうど3ヶ月後のライブ。
京都GROWLYさんはライブのたびにCDでライン撮りをもらっていたので、今回のアルバムはグローリーの音源ばかりになってしまったが、本当はもっと色々お世話になっているライブハウスさんはたくさんあるので、今後もそういったところでの映像や音源も精力的に出していきたい。

対バンはNoranekoguts/あの娘はウォンバット/水平線

セトリは

1. 俺の見たピストルズはスマホの中
2. 熱帯夜
3. 六甲シティ
4. 懐古
5. 知恵熱
6. ルーチン・トラブル! 

知恵熱 (Live At 京都GROWLY 2021/7/23)

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曲の前につけているイントロはこの日はじめてお披露目。
この翌日のファイアーループでは面白いくらいに大失敗したので、機会があれば公開します

俺の見たピストルズはスマホの中 (Live At 尼崎tora 2021/8/9)

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私が予てから崇拝しておりましたところのボカロP梨本うい氏率いるあらいやかしことの対バンイベント。尼崎toraはあらいやかしこのドラム、taroOさんが店長を務めてらっしゃるライブハウスである。その節は大変お世話になりました。

曲の冒頭で一回リフを止めているのは、カナが機材トラブルでエフェクターの電源が落ちてしまったため。ついでに私もギターのPUの音量設定を調整し直して再度弾き直している。

対バンは あらいやかしこ/べーしょー/ALLTIMEDRANKER/ゆーき/ぼうっきれ
ちなみに、当日会場には私に梨本うい氏を布教した張本人であり、あらいやかしこの大ファンでもある、私の姉が見に来ていた。恥ずかしかった。

セトリは

1. 俺の見たピストルズはスマホの中

2. ルーチン・トラブル!

3. 熱帯夜

4. まどのそと

5. 終演です

6. わるつ(あらいやかしこ) 

このわるつのカバーはかなり楽しかったので、いつか音源化したいなあ…。

ルーチン・トラブル! (Live At 尼崎tora 2021/8/9)

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本番前に「ピストルズとルーチンの間でMCすることにするわ」とメンバーには言っていたのだが、カナが忘却して曲をはじめてしまっている笑

うっとおしいくらいのリバーブがかかっているが、これはtoraさんが配信用MIXで薄~くかけていたリバーブが、私が無理やり音圧を出すために音源を潰した結果爆増して跋扈しているだけであって、toraの配信がこんな感じの音質だったわけではない笑

本当はソロがもう少しキマってる音源を使おうと思っていたが、なんかこの音源が楽しそうだったので使ってみた。

まどのそと (Live At 尼崎tora 2021/8/9)

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この前日まで私は過去のライブ音源を漁っており、ピストルズの大サビのシャウトがキレイに録れてるライブ音源と、まどのそとをまともな歌詞で歌えているライブ音源が存在していないことに絶望していた笑

なので絶対に今日キメてそれを使ってやるぞという気持ちで上記2曲は意識してライブに臨んでいる。まぁまどのそとは結局結構間違えてるけど…。ま、ご愛嬌!

六甲シティ (Live At 三宮246WEST 2021/6/26)

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ここからは6月に行った自主企画スタジオ配信ライブの音源である。

YouTubeにほぼ全編アップしている(こちら)ので成るべく使いたくなかったと言うか、折角なら未発表のライブを配信したかったのでなるべく他のライブから取ってきたのだが、いかんせんこの配信ライブはマルチチャンネルでレコーディングして後日私がゆっくりリミックスしているので一番聞き心地もよく、なんだかんだでかなりの曲数を入れることになってしまった。


なんか皆見てくれててエモかったし笑 
まあ最近はモリモリの勤務地の都合上、神戸のライブハウスにあまり出ていなかったこともあり、「六甲」と呼べる地でこの曲をやってるのはこのときくらいしかなかった。

薄暮 (Live At 三宮246WEST 2021/6/26)

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同じく自主企画スタジオ配信ライブの音源。
この曲はライブでも結構やっていたのだが、その割に意外と音源として手元に残っているのが少なかった気がする。

この曲の2番A~ソロのギターはちょっと神経を使う。まぁ及第点かなぁ。

暮らし (Live At 三宮246WEST 2021/6/26)

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歌詞間違えすぎ音源。ちゃんとそのまま文字起こしして歌詞配信に回しているので、歌詞を見ながら聴いてください。

イントロ部でギターが一瞬途切れるのは、私がケーブルを踏んで転んでいるから。カナの小悪魔的笑い声がしっかりとレコーディングされている。

衣替え (Live At 三宮246WEST 2021/6/26)

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この曲をライブでやったのは今の所この一回だけである。
大事なところでやはり歌詞を間違えているものの、まぁソロのアドリブは近況報告のやつより良いんじゃない?

幻像と重力 (Live At 三宮246WEST 2021/6/26)

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結構私がトチっている音源ではあるが、エモいからいっかな! 書くことなくなってきたわ

みたり (Live At 三宮246WEST 2021/6/26)

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この曲はお気に入り。本当に書くことがない。

アルバム制作にあたって

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前述の通りサブスク無料配信キャンペーンに乗っかって2週間ほどで作ったアルバムだったが、ライブ盤を作りたいというのは私達の予てからの願いであった。

本当は飽き性・近況報告の全曲を網羅するアルバムにしたかったのだが、飽き性は聴くに耐える音源が残っていない曲も多かったし、「梔子のミルク」に関してはまだ一度もライブでやっていないので、諦めた。

私はライブ・アルバムが好きなのでいろんなミュージシャンのライブ盤を無意識下で参考にしてはいるのだが、特に意識したのは銀杏BOYZのBEACHと9mm Parabellum BulletのGreatest Hits初回限定版Disc2、Number Girlの記録シリーズである。

ライブ・アルバムでありつつコンセルトアルバム、という点はBEACHにあやかりたかったし、メチャクチャな音源をなんの臆面もなく入れてる感じは9mmにあやかりたかったし、ファンが聞いて嬉しい掘り出し物感はナンバガにあやかろうと思った。

本当はもっとアイフォーンで適当に撮っただけのライブ映像から引っ張ってきたりして、いろんなライブ会場のやつを入れるつもりだったのだが、アマチュアが作る一枚目のライブアルバムでそれをすると単に技術不足による低品質のように思われそうだったので、今回は私の中で最低限、を保っている音源だけを選んで(当社比)収録している。

アルバムタイトルに関しては、台風クラブの丸パクリである。しかも私達はちゃんと台風クラブを聴いていません。本当にごめんなさい。
でも「初期の台風クラブ」というアルバムタイトルに関しては心からのリスペクトを持っているので、許してください。

「初期の台風クラブ」を友人からおすすめされたとき、ヤラレタ!という悔しさを感じてしまった。そのときにはすでに私たちは飽き性も近況報告も出してしまっていたし、もう使える機会はないなぁ…と思っていたのだが、ライブアルバムの話が俄に持ち上がったので、これがラストチャンスと使わせてもらった…。台風クラブはスタジオ・アルバム、171はライブアルバムなので意味合いも結構違うし、という言い訳。
『売れる前のイナイチ』というもっとヤバい案もあったのだが、逆張りオタク感がでかすぎるので却下されることとなった。
(追記:台風クラブに関しても、RCサクセションの1stアルバム『初期のRCサクセション』が元ネタではないかとのご指摘をいただきました。じゃあパブリックドメインってことでいいでしょうか?笑 ご教示いただいたminceさん、ありがとうございます!)

本当はジャケットも「初期の台風クラブ」のオマージュっぽいやつにするつもりだったのだが、ライブ写真を使ったほうが素直にかっこよかったのでそうさせてもらった。
この写真は2020年3月の今は亡き神戸StarClubでのライブで、暮らしや六甲CITYのPVでもお世話になったカメラマンの蛍ちゃんに撮ってもらったもの。
私が無能なせいでジャケット使用も配信開始してからの事後報告になってしまった(←オイ)のだが快く承諾していただいて、ほんと、ありがとうございます!

後ろに(LIVE)とついているのは、TuneCoreの配信規約の関係。ライブアルバムにはこれをつけないと審査に通らない笑 
どうかと思うが…まぁタダで配信させてもらってる以上文句を言っても仕方ない。本当は曲のタイトルも『エネルギー不足 @京都GROWLY 2020/11/14』みたいな短い形にしたかったのだが、これも審査で一度落とされてしまった。


さて、ライブアルバム、ライブアルバムや記録映像はこれからも精力的に出していきたいと思っている。ロックバンドのライブを小さめの箱で見たことがある人ならわかると思うが、生でライブを見るというのは、イヤホンで聴くのとは全く違った体験だ。

そもそも私はロックバンドはライブがカッコよくてなんぼだと思っているし、イナイチの曲はライブ感を最も重視してミックスしてはいる。
音を割ったり、ファズを踏む部分で全体を歪ませたり、ギターがデカかったり、ミスをそのままスタジオ盤で収録したり、そういう試みは全て「生で171を見る感覚」に近いものを2MIXに落とし込もうとしてやっている試行錯誤ではあるし、このアルバムもそういう思想のもと、それなりに汚いアルバムとして小綺麗には仕立て上げなかった。

それでも、どんなに臨場感のあるスピーカーでも、どんなに生っぽいミックスだろうと、マーシャルキャビネットから直接耳に振動が飛び込んでくるあの感覚を再現することはできない。これはもうわかりきった話、手を伸ばしても解散したバンドのライブには行けないし、失った青春と衝動がそのままの形で蘇ることなど有りはしない。

「ライブ感」をレコーディングというフォーマットに落とし込むことに私は人生をかけたいと思っているし、360°カメラで撮ってVRで見れるライブ映像を作るとか、パートごとに演奏データを作って別々のスピーカーで鳴らすとか、今後やっていきたいと思っていることは色々あるのだが、まずは目下いいライブをして、なるべくあとからミックスしやすい形で残していくことかなあと思う。

満足いく音源がまた溜まってきたら、ナンバーガールの記録シリーズのような莫大なライブアルバムも集大成として作っていきたい。MTR買わんとあかんなぁ。京大熊野寮や京都工芸繊維大学に呼んでもらったときの記録や、我々の初ライブの記録なんかは、またそのときまで取っておこうと思う。

我々は時代遅れの泥臭いロックバンドだが、これからも現代を生きていきたいとは思っている。
我々にはデジタルネイティブとしての知識と経験があり、仲間がおり、パソコンが有り、スマホがあり、インターネットがある。
単なるアマチュアでも少しの労力をかければ2週間の準備期間でライブアルバムを世界中に配信できるのだ。
古臭い音楽をやっているからこそ我々は情報発信の方法や、ミックスの傍若無人さ、活動内容、思想、様々な点で開拓者でありたいし、こうした裏話も含めて作品そのものがいつか先人の轍の擦りの一つとなってくれたらいいなと思っている。
まぁ実際我々はそこまで言うほど特別なことをやってきたわけではないのだが、、、

そういえば、今回私が思想上の理由で行った小さなことが一つあるので自慢しておこう。

サブスクの歌詞の配信には歌詞の間違いやMCなんかも同期させて『歌詞』として流れるようにしたのだが、これも実はガイドライン違反笑 ただこっちは審査をすり抜けつつあるらしい。
MCまで文字起こししたのは、まぁウケ狙いという意味も大きいものの、日本語話者ではないリスナーへの配慮をしたかったから。
私が洋楽のライブ盤やライブ映像で一番気に入らないのが「MCが聞き取れない」という問題である。

文字にさえしておけば今の時代なんとかしてDeepLにでも突っ込める。
少なくとも私は、セックス・ピストルズのライブMCを英語の音声認識ソフトに聞き取らせて文字起こしを試みたことがあるくらいなので、いくらか労力をへらすことができるだろう。
 

投げ入れる川にも届かないような弱々しい一石ではあるが、非英語圏に生まれた人間の意地として、非母語話者の存在の認知、非母語話者へのかすかな蜘蛛の糸は、私ができる限り垂らしてやりたいと思っている。
曲のPVに英語で字幕をつけているのも、英語圏の人間だけではなく、非英語話者へも配慮をしたいから。残念ながら世界中の言語でまともな翻訳を構築することは今の私には不可能だ。

例えば日本人が韓国語の曲を聴いて、歌詞を理解したいと思ったとき、文法も単語も知らない韓国語を翻訳ソフトで訳した日本語を読むよりも、歌詞を書いた本人が監修して作った英訳を四苦八苦して読むほうがまだ誤訳が起こりにくいのだ。
そういう意味において世界共通語としての英語を使わざるを得ないのは悔しいわけで、 アメリカとかの人間に聴いてもらえる気でいるの?笑みたいな目で見られるのも分かっているのだが、これは欧米への私のささやかな反抗なのである。ほうっておいてくれ。

いつかこの小さな火種たちが数多の屍とともに積み重なって積み重なって積み重なって、ホワイトハウスを、BBCを、日本政府を、カリフォルニアを、ロックフェスティバルを、法律を、大火となって脅かす日を心待ちにしている。


これからも我々は我々の思想をもっと見つめ直して、凝縮させて、様々な形で情報媒体に詰め込んで、現代の世界に放流しまくって行きたいと思う。
その破壊工作の重要なステップ、171の初期の活動におけるセーブポイントとして、いつの日かこのアルバムは我々の振り返る足跡になるだろうし、いつの日か、どこかの誰かにとっての道標となってくれることを心から願っている。

2021年8月24日 文責:田村晴信

lovecall

グレーゾーンの私たち

Created with Sketch.

作詞作曲:田村晴信 編曲171

ここんとこぼんやりなんだか
感情が遅くなってきた感覚
どうにも鈍くなった
夢の中にいるよーな?
上の空って錯覚
拡散してく神戸市灘区
選択せまられるときはいつも
白か黒で片付けられないコト!
あなたを信じていーの?
それとも見捨てていーの?
決められないままでいーの?
まだ先送りにしよ!
そんなこんなで積み重なった議題
まとめて捨てちまいたい 
悩みと誓い繰り返したら
何かがいつか見えるのか

中学生のとき伝え聞いた話
で嫌ってきた人がひとり
実はなにもかもカンチガイ
10年経ってから気づいた私!
今更どこへ行こう
また同じ場所を堂々巡り
いつもリピートする曲も
みんなはきっと好きじゃないし?
だから私あっちこっち仲間を探しに行く
まー本当はあなたに分かってほしかった
けどそれは諦めたから、
私は代わりに原付飛ばす神戸市灘区
ぐるぐる 当てもなく
でも鼻歌は歌いつつ

ぅわー!
このままあなたを愛して
すべて上手くいくハズだったのに
今更そんなこと言わないでよ

諦めの果てにつかんだポリシー
こだわりもどうせ私たちまた
どこかでいつかは捨てるのか
この嘆きすら忘れるのか
きっとまた日々、をギリギリ
生きる一方依存しとる 何かに今も
どんどん のめり込んどる ずっと

イナイチの新曲はどう?
ピカイチ? イマイチ? 
みんな気にいってくれたらカンゲキ
構ってほしー的な企みだったり……
こんなナンバー作ってみました 
今日は冷えこむ神戸市灘区
眠れず抱え込む
ボロボロのレスポール!

あー!
このままあなたを憎んで
すべて上手くいくハズだったのに
今更そんなこと言わないで
優しくしないで
俺を信じないで


いっちょ前に歌詞の解説などを今から書くのだが、歌詞なんてものはリスナーの解釈が全てであって、書いた本人が書いたときにどう思ってたかなんてクソほどどうでもいいことだ。
私自身、ピノキオピーとか銀杏とかみたいに、めっちゃ具体的な話を、普遍的な出来事や心情の寓話として書いている歌詞が好きだし、そういうつもりで書いている。

だから、あなたが思っていた解釈と私の裏話とが違っていたとしても、一切気にしないでください。すき焼き用の肉を、鍋に使おうが、丼に使おうが、負い目を感じる必要はないし、鍋のために買った肉にすき焼き用の文字を見つけても、夕飯をすき焼きに変える必要はない。

それを踏まえて、「中学生のとき~」の部分について。
色々思うところがあるので実名は伏せるが、東京オリンピックに際して「過去に雑誌のインタビューでいじめ自慢をしていた」として大炎上騒ぎになった五輪関係者がいた。騒動の種となった元記事、実は昔から界隈で少々有名なものであり、私も2chかなんかに違法upされていたものを中学のときに読んだのだが、なぜかそのときには「甲本ヒロト氏のインタビュー記事」として紹介されていた。念を押しておくが、これは根も葉もない、多少ネット慣れした人なら瞬時に見破れたであろうデマだ。悪質な偽計か伝言ゲームの失敗か、ともかくその瞬間から私のひねくれたパンク人生が始まりを告げたのである。
今その記事を読んだら感想も違うかもしれないが、中学生の私は当時まぁいっぱしのいじめを受けており、多感な時期のいじめられっ子にとってあの記事は相当な破壊力を持っていた。
「この国を代表するパンクロッカーとされている人物が、過去に強烈ないじめを雑誌で自慢していて、にも関わらず世間では人格者の文化人という評価を受けている」という世界線で、私1人が甲本ヒロトの本性を、パンクロックというハリボテの裏側を知っているんだという聖戦の妄想に10年間酔いしれて音楽をやってきたのである。

ところが2021年になって例の記事が再炎上し、私の愚かなる勘違いは遅すぎる終着を見た。この10年、ブルーハーツも少しは聞いたけれど、どうしてもあの記事がちらついてハマることはなかったし、氏の歌詞に心酔している友人たちには、内心冷ややかな眼を向けていたかもしれない。
幸い、私はこの件を「隠し持っている爆弾」だと思っていたので、積極的にデマを風評したり、ブルーハーツファンに歯向かったりはしてこなかったものの、「あの頃はネットにも不慣れだったんだなぁ」とかではまとめられない重さをもった10年だった。

恐る恐る「甲本ヒロト いじめ」で検索してみたが、甲本氏がいじめられっ子に向けて送った優しいメッセージしか出てこなかった。 私の調べた限り、甲本ヒロトはただただ人格者の文化人だった。

この件を知った翌日、せめてもの贖罪にとカラオケでブルーハーツを歌ってみた。
「見てきた物や聞いた事 いままで覚えた全部 でたらめだったら面白い そんな気持ちわかるでしょう(情熱の薔薇 作詞:甲本ヒロト)」

この期に及んで、まだ自己の境遇に酔いしれている私にすら、手を差し伸べてくれるのか、と思った。この勘違いは許されてほしい、と思った。

前置きポエムが長くなった。ここからも長くなります。

「グレーゾーンの私たち」は、「本気出します」とメンバーに宣言して作った曲。みんなが好きそうな曲を作ってバズりたい!という悲願の成就を目指して作った。こういう書き方をすると眉をひそめる人もいるだろうが、違う言い方をするなら、171というバンドの魅力をアピールできる曲というか、名刺代わりにできる曲にしたかった。
なので個人的につけた条件は、ミドルテンポでノリがいいこと、カナの歌うパートがあること、初見で聞いて面白さがあること、サビはしっかり激しくなること。など? 
ラップとか鼻歌パートに関しては、入れたかったので入れただけだが、かなと私がオクターブユニゾンを一回やってみたかった、というのもある。

こうやって書くとなんか、嫌に野心的な戦略アピールみたいになってしまったが、作りたい曲を作ったというだけの話なので、嫌いにならないでください。

ラップに関して。2年前のコロナ流行初期、当時は独り者の私ですらスーパーやコンビニに行くこともはばかられるような世論だったので、長らくスタジオにも入っていない時期があった。
その時期に何度か寂し紛れに171でZOOM会議をした記憶があるが、一度「最近メンバーみんなヒップホップにハマってきたから、会えない期間にはリモートでヒップホップでも作ろう」という話をしたことがある。
結局当時は作らずじまいだったが、いろんなジャンルに手を出してみたいという気持ちはかねてからあり、かと言って「こんなんもできるんだぜw」的なノリのエセラッパーなんてWACK MCだと思うくらいには、私もヒップホップ文化をリスペクトしているので、まずは私の最も慣れ親しんだミクスチャーという形で手を出してみることにした次第である。いつかちゃんとしたやつも作りたい。

私と仲の良い人達は、多分ナンバガの「TOKYO FREEZE」やザゼンの「SIGEKI」、SOADの「Shame(ウータンクランのカバー)」などの影響を見るかもしれない。それはほんとにそうなのだが、「○○しとる」的な言い回しは別に向井へのリスペクトではなくて、私がラップにハマるきっかけになったシュガーヒル・ギャングの「rapper's delight」の歌い出し部を日本語歌詞でサンプリングしたく、元ネタの「you don't stop」と踏める日本語が「依存しとる」しか思いつかなかっただけ笑。
ラップを書くなら一箇所くらいはちゃんとサンプリングを入れたかった。(自分で解説するな! )

これはオルタナのプライドというわけではなくヒップホップへのリスペクトとして、今回はひとまず安易なラッパーっぽい英語は絶対使わず、思っていることだけで韻を踏みながら一曲仕上げてみたかった。むずかちかったです。
フローもしっかり大事にしようと思ったが、はじめに作ったラップはもう鎮座信者のバトルヘッズ丸出しフローだったので、一旦白紙に戻して作り直した笑
この曲を作り始めたのは5~6月だったので、「梅雨も半ばの神戸市灘区」というフレーズが当初は入っていたけれど、四苦八苦しているうちに半年が過ぎてしまい冷え込む季節になってしまった次第である。当初は「梅雨の曲ってあんまないなぁ」というのもこの曲のコンセプトだったのだが。多分今までで一番製作に時間がかかった曲である。

関西弁をどの程度入れるかにも悩んだ。ラップをするなら最低限リアルを感じさせたい。口語で私が使う自然な発音や言葉選びはもちろん関西弁だが、録音された関西弁のわざとらしさはあまり好きではない。そのへんのバランスは曲作りの中で見つけていきたいなあ…。

レコーディングはいつもの三宮246 8stでのセルフレック。 ギターは途中までオーバーダブを重ねているが、1番はいつものレスポール、2番はストラトを使ってみた。ギターソロは2本ともレスポールでオーバーダビングしている。

PVに関して、この曲はデモを作った当時から、実写PVを作ろうと決めていた。当時我々も、なんかいい感じのPVがほしいなぁとかねがね話しており、PVのために曲を作ったと言っても過言ではない笑 
デモをメンバーに送った時点で、演奏シーンの録画ではない、しっかりとした実写をDIYで作るということもほぼ決定していた。

この曲は2021年9月くらいからライブでやり始めた気がするが、ここ一年我々は結構限界のペースでライブを行っていたので、レコーディングもPV撮影も結構後ろ倒しになってしまった。待たせてスミマセン。

PVにどういうシーンを使うかは完全に一人一人決めて、お互いに撮りあうスタイルで録画した。私とカナは多少一眼レフの心得があったものの、こんなしっかりとしたPV撮影は初めてだったので、全体的にホームビデオ感は出てしまったが、、、笑
去年アー写用に中古で購入したCanon EOS70Dで全編撮ろうとおもっていたのだが、後ろ歩きで手ブレせずに撮るのが非常に難しく、歩いているシーンはほぼ全て私のiPhone 11で録画している。

予定の都合でモリモリ/田村撮影日と、カナ/田村撮影日の2回に分けた。モリモリとカナの撮影は全て私、私のシーンの撮影はモリモリとカナで半々といったところ。私は最初全編逆再生で撮ろうとか、スローで撮ろうとか無茶な映像技術を色々試していたのだが、上手く行かずに結局全ボツにした。いつかまたやりたいぜ。
ちなみに、ギターソロのシーンで使っている映像は実際に左chのソロを録音しているときの映像である。これ撮るのに2時間位かかりました笑
全員出演者でカメラマンで監督というスタイルは非常に我々にあっていると思ったし、これからもこういうPVは定期的に撮っていきたい。次の撮影までにちゃんとした機材と知識を仕入れます、、、 長文書きすぎました、最後まで読んでくれてありがとうございます!!


2022年3月7日 文責:田村晴信

インターネットを憎まないで

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

君はインターネットが嫌い
多分本当に嫌いなのは僕のこと
僕は君のことが好き
だからインターネットも好き

YouTube TikTok
ニコニコ動画 Twitter
Wikipedia ほかその他
悪質な何かしら
今日は何を君と見よう?
ふたりどこへ行こう?

みんなインターネットが嫌い
多分本当は世界全てが気に食わない
僕はみんなのことが好き
だからインターネットも好き

身の回りの許せないこと
とよく似ている何かを
見つけては 探しては
イライラが無限連鎖
それだけが全てじゃないと
君も分かってるだろう?

僕は君のことが好き
ふたり笑って過ごしたい
君と世界を歩みたい、だから
君とインターネットがしたい

みんなインターネットを信じ
裏切られたと涙する
僕は誰も信じちゃいない、でも
君とインターネットがしたい

みんなインターネットが下手
自分のことが嫌いだから
僕もインターネットが下手
自分のことが好きだから

僕は僕のことが好き
ひとりの夜も悪くない、ただ
孤独は君と見つめたい、だから
君といっぱいHがしたい

僕ら道を分かつそのときも
僕はインターネットをするだろう
孤独な時にこそ この世界にもっと
しがみつきたいの

もしも僕を憎んでも
この世界を嫌わないで
もしも世界を憎んだら
君もインターネットにおいで

僕のことが嫌いでも
できるだけ世界を好きでいてね
僕のことを憎んでも
インターネットを憎まないで

ただできれば僕も嫌わないで
できれば僕も憎まないで
なるべく僕を嫌わないで
なるべく僕を憎まないで
とにかく僕を嫌わないで

インターネットが批判されるとき、本当にDisられているのはインターネットじゃなくて人類の性質だと思う。
インターネットの匿名性とか、相手の顔が見えないシステムが人間を醜くした、なんて戯言が当然のように飛び交っているが、別に匿名性はインターネットとともに発明されたわけではない。今日(こんにち)にインターネットで行われている誹謗中傷や悪口、嫌がらせを、インターネット以前の人類は手紙に書いて郵送したり、夜中に家に落書きをしたり、井戸端会議で陰口を叩いたりしてたんちゃうか。
少なくとも、インターネットの功罪はもう少し別のところにあるような。

とかなんとか言うてますけどぉ!!!んなことまぁ最終どうでもいいんですわ!!って感じの曲です。宜しくおねがいします。

私は去年の2月くらいから突然スカ・パンク(というかJeff Rosenstock)に激ハマりし、The Arrogant Sons of BitchesのSpotify上位リスナー0.005%にランクインする(月間リスナー2万人なので、多分世界1位)などの快挙を成し遂げたのだが、残念ながらメンバーの誰もスカを好きではないというジレンマに苦しんでいた。
特にモリモリはスカパンクを憎んでいる節すらあったし、この曲と一緒にデモを渡したグレーゾーンに関しても、モリモリはあんまり気に入らないかもなぁと半ば知りつつ作っていたので、彼の顔色を伺いながら製作を進めていた笑

案の定初合わせスタジオなどでは「まぁ、バンドやるってそういうことやしな!」などと意味深なセリフを飛ばしていたものの、最終ミックスが出来上がった頃には「デモと全然印象変わって、かっこよくなった」との認定をもらえた。嬉しいです。

ということで、歌詞も曲も、一旦171らしさとかそういう制約を自分の中で外して、今一番やりたいものをやりたいだけ詰め込んで形にしてみようと思って作った曲である。結果的に結構171っぽい曲になったし?、PVまで作って両A面みたいになってしまったが、最初は3~4曲入れたepの中にこっそり忍ばせておこう…くらいの気持ちだった。

PVに関して。当時対バンしたRudoがライブでバックドロップを後ろに飾っているのを見て、俺たちもアレほしいなぁという話になっていた。そんな折にAmazonを徘徊していたところ、片面緑で片面濃青のバックスクリーンが2000円で売っているのを発見し、ポチってみた。
青の面に白ペンキで171って書いてみたらいい感じだったので、青面はいざというライブで飾るバックドロップにして、緑の面は撮影に使ってみよう!と思って試しに撮ってみたのがこのPVである。ちなみに青面はまだ一度もお披露目していない……。

そういう経緯なので、完成形も特に考えず、2人にはほとんど何も説明せずに素材を撮らせてもらって、お得意のB級動画編集でチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマ、一ヶ月弱くらいの時間をかけて作りながら構成を決めていったPVである。
途中で悪癖の凝り性が出てしまって、とてつもない作業量を行う羽目になってしまった……。

サイトの選定に関しては、ほぼほぼ私の独断。
APEXとワザップに関してはアクセスしたこともなかったので、カナとモリモリに色々聞きながら作った。
「こんなサイトを入れるなんて!」てやつも色々混ざっているとは思うのだが、キレイで良質なウェブサイトだけツラツラ並べて「インターネットって良いよね!」は絶対に違うと思ったので、少々露悪的なウザさが出ようと、「悪いインターネット」はちゃんと入れたかった。
普段インターネットだと思って使っていない電子メールとかから漫画村まで溢れているカオスこそインターネットであり世界であり僕ら自身だと私は思っているし、LiveLeak創業者の理念なんかも結構そんな感じで共感するものがあったのでねじ込んでみたり。
決して載せてるからと言って、私が使用を推奨しているWebサイトというわけではないのでそこんとこ!

コード譜サイトはバカにする感じで使ってしまったので釈明しておくが、このフォーマットはエレキギター博士というサイトのもの。本当はバカにしたいコード譜サイトもあったのだが、無料で上がってるものにケチつけるのも違うかなぁと思って、お世話になったエレキギター博士のフォーマットを使った次第である。
エレキギター博士はコード譜サイトではなくエレキギター全般の情報サイトであり、信憑性も内容もかなりオススメの優良サイトです。ちなみに私のオススメコード譜サイトは楽器.meです。
ちなみにここで「間違った例」として書いてるコード譜、何の曲か分かる人いたら嬉しいなぁ

ここまでいかなくても、こういうおもしろPVは定期的に作っていきたいですね。

2022年3月18日 文責:田村晴信

【NEW】

マイ セカンド カー

GO GO リトルカブ

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村 晴信
編曲:171

ずっと過ごしたあの街が あの日々が
霧に埋もれて消えていく
あれだけ捨ててこの街にやってきたのに
まだまだ荷物は多すぎるらしい

真夜中 貸切車線 とばして
誰にも見えないスピードで
この霧の向こうが見えるまで
こんな思いを今からふたりで吹き飛ばすには
もう歳をとりすぎたって言うのか

細かいことから知らぬ間に順番に
もやがかかって薄れてく
どこかで落としたものばかり気になって
今夜の目的地決めぬまま

真夜中 貸切車線 とばして
冷えたアスファルトひとりじめ
この日々の意味がわかるまで
ほんの束の間 見た幻に囚われたまま
だけどまだ、まだ! どうしてもまだー!

もしお前がタイムマシンで
ふたりあの頃に戻れたとして
何の意味もどうせないのかも
結局のとこ 何も昔と変わらないまま
ずっとただ俺の勘違いなんやろう!


大学生活を過ごした六甲の街をようやく離れて、京都の実家へ引っ越して……みたいな時期に作った曲。
本当はもっと引越しにフォーカスをあてた曲にするつもりだった。

「グレーゾーンの私たち」と「インターネットを憎まないで」を除けば、本アルバムで最初に完成した曲である。

これを作った2022年6月当時、私は少しスランプというか……
『爆風マグマ音相撲』の企画・編集や、PVの制作に追われているうち、「lovecall」の2曲を作った2021年8月から、1年近く過ぎようとしていた。

めんどいので固有名詞のカギカッコ外します。
このスランプ?マンネリ?は実はlovecallの2曲を作った時からで…

近況報告までの曲作りは非常にハイペースで、1ヶ月に1曲は新曲ができていた。
そんな私達だったが、近況報告で最後にできた曲(薄暮 2021年1月)から、lovecallの2曲(ともに2021年8月)までは半年以上ブランクがあいた。

ライブが増えたり就職したりで多忙になったことも勿論だけども、根本的には、私自身が近況報告に満足していたのだと思う。
そんな事情でlovecallの2曲は以前よりゆっくり作り込んだが、lovecallのリリース後はもっと満足してしまい、逆に少々焦りはじめていた。

東京行きの夜行バスで歌詞を詰めて、東京のスタジオでデモの歌を撮ったのを覚えている。
 

当時すでに構想していたレンチキュラー、インターセクション、ネットスターあたりを仕上げても良かったが、lovecallでは私の好きなことをやったので、久しぶりの新曲は「モリモリが好きな曲」をテーマにした。

着想は当時モリモリがハマっていたGEZANのAbsolutely Imaginationだった気がする…
イントロや最後のブレイクは、スモーキンビリーの丸パクリ。
大サビ最後の歌詞は、ピノキオピーの「Obscure Questions」の「全部後付けなんだろう」を意識した。

なのになぜかライブでやりはじめてみると、ナンバガっぽいナンバガっぽいと各所から声が届いた笑 おもしろい話である。

書いてみればかなりカブ推しの曲になったのだが、仮タイトルは「Lowway Star」だった。
「ハイウェイ・スター」と言ったら色々カッコいい車が浮かぶけれど、生活道路に群がる50ccたちが全部カブを原点として生まれたと思えば、ローウェイ・スターの称号はカブのものなんじゃない?と思いまして。

結局歌詞にカブは登場しなかったので、タイトルで提示しないと2人称が恋人だけを意味してる感じになるなぁ、とか考えて、このタイトルに落ち着いた。まぁこれが一番、自分らしい気がするし……。

既に巨大な文章量に達している気がするが、楽器の話もさせていただきます。

P90レスポールを10年以上使って、このギターの「正解」は、ミックスポジション×クランチだと痛感したが、これはP90のシングルコイル感が最も出るセッティングでもある。

私はずっと、シングルで綺麗な音楽をやっている人たちを憎んできたので笑、深く歪ませたリアPUでハードロックな音を出していたかったし、曲中で一回は必ず暴力的なエフェクターを踏みたかった。

しかしまぁ俺ピスをライブでやりはじめて気付いたが、私のギターはどう足掻いても暴力的なので、素直に私のセッティングで出せるベストな音を作ってみた。
前作までのギターの録り音が不満だったので、今作では満足いくクオリティとなって嬉しい限りである。

私が作ったデモでは終始シンプルなエイトビートだったのだが、その時期に対バンしたZOOZのドラマー「16ビートはやお」さんにモリモリが感銘を受けたため、サビは16ビートになった笑
そのためこの曲のサビのスピードはモリモリの体力によって決まる。

lovecallまでの曲には「歌ってて楽しくない」という大きなデメリットがあった。
たまにカラオケに行って好きな曲を歌うと、楽しくてビックリする。
爆音のライブハウスでは歌なんか聞こえないし、とか、あんまりポップなメロディはロックが薄まるし、とか色々考えていたけれど、結局メロディ作りに手を抜いていたなと反省した。

結果的に楽しく聴けるメロディができたので、「楽しく歌えるメロディ」はアルバム全体のテーマとなり、バンドの曲作りを新境地へ連れていく推進力になった。

今作の制作がスタートした曲であり、方向性を決めた曲でもあり、色んなしがらみを断ち切れた曲でもある。

アルバム制作初期から、1曲目はこれしかないだろうと決めていた。
胸を張ってこれを代表曲だと言えることが、今の私たちを表していると思います!

2023年4月27日 たむら

グレーゾーンの私たち

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村 晴信
編曲:171

ここんとこぼんやりなんだか
感情が遅くなってきた感覚
どうにも鈍くなった
夢の中にいるよーな
上の空って錯覚 拡散してく神戸市灘区
選択迫られるときはいつも
白か黒で片付けられないこと
あなたを信じていーの?
それとも見捨てていーの?
決められないままでいーの?
まだ先送りにしよう
そんなこんなで積み重なった議題
まとめて捨てちまいたい 
悩みに誓い繰り返したら
何かがいつか見えるのか

中学生のとき伝え聞いた話
で嫌ってきた人がひとり
実はなにもかも勘違い
10年経ってから気づいた私
今更どこへ行こう
また同じ場所を堂々巡り
いつもリピートする曲も
みんなはきっと好きじゃないし
だから私あっちこっち仲間を探しに行く
まぁほんとはあなたにわかって欲しかった
けどそれは諦めたから
私は代わりに原付飛ばす神戸市灘区、
ぐるぐる
当てもなく、でも鼻歌は歌いつつ

あー!
このままあなたを愛して
全部上手くいくはずだったのに
いまさらそんなこと言わないでよ

諦めの果てに掴んだポリシー
こだわりもどうせ私たちまた
どこかでいつかは捨てるのか
この嘆きすら忘れるのか
きっとまた日々をギリギリ生きる一方
依存しとる何かに今も
ドンドン、のめり込んどるずっと!

171のアルバムはどう?
ピカイチ? イマイチ? 
みんな気にいってくれたら感激 
構って欲しい的な企みだったり……
未だに俺は変われないまま
今夜は冷え込む神戸市灘区、
眠れず、抱え込む
ボロボロのレスポール!

あー!
このままあなたを憎んで
全部上手くいくはずだったのに
いまさらそんなこと言わないで
優しくしないで
俺を信じないで


ヤバい!1曲目から書きすぎた!
サラッと行きます、サラッと


ボーカルはフルで再録した。
フルアルバムを出す時代じゃない、と色んなところで言われているし、私自身フルアルバムって聞いてて集中力が続かないのだが、それでも私はアルバムが好きなんです。

賢い人たちは、アルバムを作る金と労力でPVをたくさん作ったり、EPで小出しにしたほうが良い、と口を酸っぱく言っている。私もそう思う。

それでも私はアルバムが好きだし、少しでも多くの人に私と同じ夢を見てほしいと思う。
音楽がやりたくて音楽をやってるわけやし!

そういう意味で、過去曲をそのまま入れるにしても、曲数稼ぎかなぁ、とは思わせたくないというか…。
工数が許す限り、アルバムのための曲として体裁を整えたいというか…。
この時代にアルバムを愛するのは虚しいことかもしれないが、だからこそ上手いことみんなを騙して、一人でも多くの人を引きずり込みたいなあと思う。

2023年4月27日 タムラ

タイムカプセル

Created with Sketch.

作詞/作曲:田村 晴信 
編曲:171

あれからどうした?

昔の俺は足元だけを見て歩いてた
誰よりも真面目に 誰よりも一人で
ある日突然叫び声が聴こえてきて
あたりを見回すとみんなが空を指差してる
そしたら高層ビルの最上階から
君が落っこちてきた
俺に向かって一直線
君の顔を一目見て俺は
死神やー!って叫んで
世界がスローになって
俺はすぐに虜になった
あん時はどうしても認めたくなかったけど
全部俺の自己満足やったんやろ
俺のやり方も俺が我慢してたことも
人間関係も何もかも全部
何もかも全部、何もかも全部!

今からどうしたい?
今からどうしたい?
結局どうしたい?

東京にないもの/東京ではできないこと
悪臭の原因はそこ
東京に この国に アメリカに
それぞれあちこち囚われて
みんなこの街を勘違いしてたし
俺は人以上にそれにぶら下がってたと思う
みんなが普通に通り過ぎることでも俺は
一回一回つまづいて、どっぷり浸かって
誰より深く調べ上げてきた、今
俺だけがこの街の本当の姿を知っているから
みんなが残したタイムカプセルを
俺が全部台無しにして、取り戻したる
いつかこの街に本当の永遠を!

お前はどうしたい?
本当はどうしたい?
お前はどうすんにゃ

あの頃お前はお前の頭ん中の俺と
勝手に喧嘩して
その鬱憤晴らしに目の前の俺を
まぁよー殴りつけてくれたな
あの頃俺は頭ん中でずーっとお前と喧嘩して
目の前のお前とはニコニコ過ごしとったね

お前は俺のそういうところが嫌やったんやろ
重々それは承知してたけどどうしようもなかった
ただ今思い返せば

ホンマに怖がってたんはお前の方なんやろ?
せやけどお前が仮想の俺に怯えて
現実の俺を殴りつけるたびに
仮想の俺が現実世界に現れていったな
んなことは身に染みてんにゃ
今になって周りがどう言って
慰めたって納得せん!
この怒り 無力感があの頃ふたりで埋めた
タイムカプセルやんか


私が共に青春を過ごしたすべての人たちへ贈りたい感じの曲です。
こういうことって、あるよね〜〜 あるでしょ?

恥ずかしい歌詞ですね。
でもあんまり、恥ずかしくないんです。

クソ長いので、章を作ります。全3章です。
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第1章 5/3のMCで喋った話

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去年から東京遠征をはじめて、弁天ランドとご一緒する機会が何度かあり、今回のツアーにも呼ばせていただいたが、この曲は本来弁天ランドの曲なんです。

と、いうのも。
彼らと初めて対バンしたちょっと後に、弁天ランドのライブを見ている夢をみた。

新曲やります、と夢弁天ランドがQRコードを配りはじめ、読み取ると歌詞が夢スマホに表示された。
「あっそれ俺がやろうと思ってたのに!」と悔しくなったが、やろうと思ってたから夢に出るのは当然である。

夢から覚めて唯一覚えていた歌詞が「高層ビルの最上階から君が落っこちてきた 俺に向かって一直線 君の顔を一目見て俺は「死神だー!」って叫んで」という部分だった。
言うまでもなく、この曲の中で最も恥ずかしい部分である。

歌詞を書くのを恥ずかしがっているようでは、良い歌詞もかっこいい歌詞も書けない。というか、書く資格がない。

しかしまぁ私はかなり恥ずかしがりやなので、近況報告以降はなるべく恥ずかしくない歌詞を作ってきたが、本来私は恥ずかしい歌詞が好きなのである。

「恥ずかしくない」を条件に曲を作っていては次のステージに行けないなぁという気持ちもあった。
自分の中で、「飽き性」の頃の音楽性と向き合わないとなぁ、というか。

そんな中、夢弁天ランドが夢ライブで、躊躇いなくカッコいい曲をやっているのを見て、夢はるぽん(私のことである)は「やられた!」と思った。

起きてすぐに、覚えてた上記の歌詞を現実スマホのメモ帳に書き留めて、そこから発展させていく形で1番全体の歌詞を書いた。

ので、上述のように、当初は「死神やー!」ではなく「死神だー!」だった。
弁天ランドは関西弁じゃないので……。

関西弁って録音すると関西弁すぎるので、最初の構想としては1番2番を標準語で喋って、最後だけヒートアップして関西弁、というつもりだった。
実際そのつもりで歌詞を書いて、スタジオにデモを録音しにいったのだが…

まぁ気持ち悪い。
普段喋り慣れていない言葉というものはどうしても、舌馴染みのなさが滲み出てしまう。
試し録りの1回でゲボ吐くかと思ったので、悩みに悩んで関西弁に寄せて歌を仕立て直した。

これ見よがし関西弁になるのもキモいのでなるべく歌詞は変えず、イントネーションだけの修正にしたかった。

が、「死神だ」という語彙が自分の喋り言葉の語彙になさすぎて、苦肉の策として「死神や」に変えることとなってしまいました。

見ての通り文章では「○○だ」も使うし、他の曲なら歌詞でもよかったが、喋っているだけに違和感が拭えなかった。

なので、死神やー の やー だけは夢弁天ランドじゃなくて現実はるぽんに責任が生じてしまい、やー って言ってる時だけ恥ずかしいです。

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第2章 関西弁について
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なるべくこれ見よがし関西弁ではなく、自分の自然な喋り言葉で歌詞を書きたかった。

最終的に少々ウザい仕上がりとなりましたが、標準語ノンネイティブのみ石を投げてください。

願望として、これからの関西人は、東京へのくだらない嫉妬心や、勝ち目のない対抗心のために関西弁を押し売りするのではなく、関西以外の方言のために戦ってほしいと思う。

今デカい顔でたこ焼きを撒き散らしている関西弁が1歩下がれば、他の方言は5歩下がらないといけなくなる。

別に東京で関西弁を話せというわけではなく、「方言で恥をかく」という概念は関西主導で消していきませんかという話です。
まずは関西を、別地方出身の人がのびのびと好きな喋り方ができるカオス空間にしなければならない。

聞き慣れない言葉にはどうしても違和感や不快感が生じるものだが、そこをなんとか受け入れられる懐の深さが関西には必要だと思う。

そういう意味で、私がTOKONA-Xを聴いてて感じる方言の面白さをこの曲で出したかった。
怒声の人が語尾「にゃ」だったらかわいいかなぁと思って、入れてみました。
いかがでしたか?

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第3章 パクリ元の話
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残りの部分はいつも通り、私の「こんな曲作りたいなぁ」リストからの寄せ集めである。

ドラムソロのところは、SiMのPaint Sky Blueとか、Weezerとかのデンデン ってやつ。
First TakeのCreepy Nutsの生業を聞いてカッケかったので笑、後半16分で歌詞を畳み掛ける感じを入れてみた。

レコーディングしてみたところ私の滑舌の限界スピードを若干超えてしまったため、あんまあの洋HIP HOPっぽいドカドカ感が出なかった…。これは反省。また同じようなことしたいです。

サビ?のシャウトは完全にRefusedのNew Noiseです。
なんならデモの段階では歌詞もそのまま丸パクリで「Can I scream?」だったが、初披露ライブの前日にギリギリで思いついた。

私は英語の歌を頑張って練習して、歌うのが好きなんです。
英語ってやっぱり発音していて楽しいがちだし、New Noiseの「Can I scream?」は中でも本当に楽しい笑

折角自分の喋り言葉で作ったのだから、シャウトの部分も自分の語彙にある言葉で、同じくらい歌ってて楽しいものを探したかった。

結果的に今度はナンバガの性的少女みたいになってしまったが、シャウトしてて楽しく、曲に深みを与える歌詞が思いつけてよかったです。

仮タイトルは時雨のオマージュとして「Les Paulic Reality Show」だったが、恥ずかしいのでやめました。
CDデータ入稿の1週間くらい前に「タイムカプセル」と決め、3番の最後の歌詞にも盛り込んで、ボーカルもそこだけ撮り直した。突貫工事です。

タイトルは本当に迷いに迷ったが、この曲が昔の恋を振り返る曲だしても、友情のテーマだとしても、被害を訴える曲だとしても、青春を総括した曲だとしても、どうとっても良いタイトルになったと思います。

2023年5月9日 タムラ

インターセクション

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作詞/作曲:田村晴信/カナ
編曲:171

ターミナル駅 人混みの中
身を委ねてる
足早に過ぎ去る人波に
上手く馴染んでる

いつも苦心した意固地な優しさは
あなたに言わせれば
正しぶりたくて押しつけていただけ
それじゃ嫌なのね

俺はいつもの場所を
ぐるぐるパトロール中
そろそろこっから連れ出して

なんだか全てをほっぽって
ここから逃げ出したい
逃げ出したい
誰にもわからない場所へ
誰1人わからない理由で

違和感を見つけて心が剥がれてくよな 瞬間を見つめて二人の不可能さを識る
素直に喋れないのを言い訳にするのは かなり微妙じゃない?
決まりきった中から選びたい 裏切られたら…
その目を真っ直ぐ見ることができない…でもここから私を連れ出して

近づくほどピントがずれてく
それでも ほんの少し分かり合えたなら
遠くまで行けるのかな

ターミナル駅 人混みの中
違和感を見つけて心が
剥がれてくのを待っていたくない / 誰かが来るのを待っていたい
もう少し試したい

今すぐ
全てをほっぽって ここから逃げ出したい 逃げ出したい
近づくほどピントがずれてく
君にもわからない場所へ 僕らの感情にはきっと
それでもほんの少し分かり合えたなら
遠くまで行けるはず

探してみても理由なんかない
離れてみてもぼやけて見えない
僕らの答えを一度捨てにいこうよ
僕らの答え持ち寄って話をしようよ

目的地探して


やばい!タイムカプセルで書きすぎた!
サラッと行きたいです。

私はツインボーカルのバンドが好き。
異なる音楽性や思想を持った人間がたまたま集まって音楽をやっているのがロックバンドの魅力だと思っているが、その極地がツインボーカルだと思う。

ので、アルバムに1曲はデュエット曲を入れてきた。
今までのデュエット曲は、エモの押し売りばかりだったので笑、今回はカッコいい曲にしたいと思っていた。
制作のコンセプトは「ライブの1曲目に持ってこれるデュエット曲」

音楽的に意識したのはレッチリのParallel Universe、N'夙川BOYSの24hour、弱虫倶楽部のpunk cat a go go、System Of A Down、フランツフェルディナンドなど…。

今回のアルバム制作は、当初から厳しいスケジューリングが確定していた。

中でもカナボーカル曲の制作には時間がかかりそうだったので、「収録できなくてもよし、カナが書いてもよし、俺が全編歌ってもよし」と思い、1番のみ歌を入れた状態でDEMOを作った曲。

結果的に、最後の最後まで私はこの曲に悩まされることとなった笑

最初に思いついたベースリフがマンウィズのFLY AGAINだと制作途中で気付き、DEMO完成直前に急遽ベースラインのみ適当なものに差し替えた。
Cメロ直前の三連符もどきのキメとかは、FLY AGAINの名残です。

制作当時我々は弱虫倶楽部さんにどハマりしていたので、『punk cat a go go』みたいな16分で畳み掛けるサビを用意していたが、この猿真似が全くうまくいかず笑

完成系が全く見えないまま楽器のレコーディングのみ済ませて、「制作が間に合えば収録しよう」という方針になった。これが良くなかった笑

結果的に、「ここまでに完成してなかったら収録は見送ろう」と決めていた細かな期限を全て「あとちょっと…!」て感じで半端にオーバーしたため、撤退の判断に失敗し、完成させる羽目になった笑

スタジオに入ってボーカルRECをしながらその場でメロディと歌詞を決めていくという、極めて非効率的な方法で作られた曲である。

本来は3/26にREC完了予定だったが間に合わず、4/1のライブのリハ前にRECを設定するも録りきれず、リハと本番の間でもう一度スタジオを抑えてREC→スタジオ練習→ライブのリハ→REC→ライブ本番という限界スケジュールをねじこんだが録りきれず、結局平日の仕事終わりに集合してようやくカナパートが完成した。

元々大サビは私とカナが全く別々に作ったメロディを無関係に歌うつもりだったが、本当に無関係に作ったらカオスすぎたので、カナパートが完成してから全てカナメロに合わせてはるぽんメロディと歌詞を作り直す羽目になった。家で作ればいいものを何故か1人スタジオで笑

そんなこんなで、最後の最後の田村ボーカルRECまで完成系が見積もれなかった曲だが、当初の想定よりずっといい曲になったと思う。

私自身、完成するまではもっとスベッた曲になるとしか思えず、この曲の制作とRECに時間を割くことが中々しんどかったのだが笑、頑張った甲斐はあったなぁ。

軽くトラウマになっているので、半年くらいこの曲のリフを聴きたくないけれども笑

今となっては我々の新境地というか、バンドとしての自信作のひとつになったと思う。
限界制作スケジュールでもがき苦しむ中、やけくそでリトルカブの歌詞から拝借した「目的地」という言葉が、このアルバムのテーマに定まった曲でもある。

2023年5月9日 タムラ

レンチキュラー

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レンチキュラー
作詞:カナ
作曲:カナ/171

知らない君に出会った
知らない国で出会った
知らない朝を見ていた
知らない街で見ていた

君と行こうどこまでも
君と行こう水面まで
道の向こう霞んでる
君の光

知らないままでしょう
あなたのことだから

私はできるのかしら
全部を無かったことに

知らない君に出会った
いつもの夜に出会った
知らない夢を見ていた
いつもの街で見ていた

君と行ける?どこまでも
君と行ける?水面まで
道の向こう霞んでる
街の光

知らないままでしょう
あなたのことだから

私はできるのかしら
全部を無かったことに
君はできてしまうのでしょう
全部を無かったことに


前作までのカナ曲は「アルバムの為の曲」って感じの曲が多かった。

元々はイントロのリフ、Aメロの進行、Bメロのギター、別々にストックしていたものをガッチャンコした曲。

リフは「良いの思いついたけど、レディヘのJustに似てるなぁ…」程度に思っていて、逆にAメロはビートルズを、Bメロはサザンオールスターズの「Cry 哀 Cry」を強く意識して作ったように思う。

ブリティッシュな感じの3つだから、と合わせてみたところ、結果的に全部Radioheadに丸め込まれてしまった笑

本当は自分で歌うつもりだったのだが、私の脳内にはトムヨークが幅をきかせすぎてしまい、歌詞が「Can't get the stink off」しか思いつかなかった。
イントロからBメロまで楽器ができた状態で「近況報告」期から私のCubaseに眠っていた。

本来今回のアルバムでは、カナの曲は全部最初から最後までカナに仕上げてもらうつもりだったが、制作日程が特大遅延したため、「こんなストックもあるけど…」とDEMOを聞かせたところカナに大好評だったので、そのまま作ってもらうことにした。

スタジオで合わせながら構成をまとめたりなんだり。

歌メロからは丸投げしたところ、カナがブリティッシュの雰囲気など微塵も感じさせない明るくパワフルなメロディを付けてきた。
スタジオで歌が入った瞬間に「この曲の完成系はこれか!」ということ、「このアルバムは近況報告を越せる」ということを確信した。

そんな顛末があって私も、躊躇いなく100%レディヘなギターを入れてしまった笑

2番Bメロのガキン!三連発は言うまでもなくCreepのドゴ!三連発のオマージュだが、同時に水平線の「ブルージー」のオマージュでもある。

この曲の初披露は23/4/1のthe Slumbersレコ発だったが、丁度水平線の田島が最前列で見てくれていた。
1回目のガキン!で「ん?」2回目で「そうやん!」3回目で「やりよった!」という、私がはじめて「ブルージー」をライブで見た時と同じ反応をしていて、すごく嬉しかったです。

ここのガキン!の音はアルバム通して一番こだわった部分かもしれません。

左chのギターはいつもBOSSのST-2をアンプがわりにLINE録音しているが、この曲ではフェルナンデスの家庭用アンプ(よくリサイクルショップにある緑色のやつ)のアン直にマイクを立てて録音してみた。

このアンプ、フットスイッチジャックとヘッドホンジャックとを半挿しで繋ぐとゲートファズっぽいブーストが乗ったり、その状態でシールドのグラウンド部分に触れるとちょっと感電する代わりに発振したり、端子の先っぽを握ってつまみを調整すると機械音みたいな発振をしたり……まぁ文章では伝わりにくいのだが、妙な裏技がいろいろある。(ちょっと感電するので真似しないで欲しい)

このアンプの荒々しすぎる歪みとヘンテコ裏技を使いたかったので、曲に使えてラッキーだった。

カナのパワフルなボーカルを録れたのも個人的な嬉しポイント。
ライブと音源でボーカルのテンションが違うってのはある程度避けようのないことだし、ロックバンドの魅力だとも思うが、ライブのカナのパワフルさをずっと録りたかった。

2023年7月25日 タムラ

インターネットを憎まないで

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作詞/作曲:田村晴信 編曲:171

君はインターネットが嫌い
多分本当に嫌いなのは僕のこと
僕は君のことが好き
だからインターネットも好き

YouTube TikTok
ニコニコ動画 Twitter
Wikipedia ほかその他
悪質な何かしら
今日は何を君と見よう?
ふたりどこへ行こう?

みんなインターネットが嫌い
多分本当は世界全てが気に食わない
僕はみんなのことが好き
だからインターネットも好き

身の回りの許せないこと
とよく似ている何かを
見つけては 探しては
イライラの渦の中
それだけが全てじゃないと
君も分かってるだろう?

僕は君のことが好き
ふたり笑って過ごしたい
君と世界を歩みたい、だから
君とインターネットがしたい

みんなインターネットを信じ
裏切られたと涙する
僕は誰も信じちゃいない、でも
君とインターネットがしたい

みんなインターネットが下手
自分のことが嫌いだから
僕もインターネットが下手
自分のことが好きだから

僕は僕のことが好き
ひとりの夜も悪くない、ただ
孤独は君と見つめたい、だから
君といっぱいHがしたい

僕ら道を分かつ日が来ても
僕はインターネットをするだろう
孤独な時にこそ この世界にもっと
しがみつきたいの

もしも僕を憎んでも
この世界を嫌わないで
もしも世界を憎んだら
君もインターネットにおいで

僕のことが嫌いでも
できるだけ世界を好きでいてね
僕のことを憎んでも
インターネットを憎まないで

ただできれば僕も嫌わないで
できれば僕も憎まないで
なるべく僕を嫌わないで
なるべく僕を憎まないで
とにかく僕を嫌わないで


「グレーゾーンの私たち」同様、ボーカルは全て再録した。
もっともこの曲に関してはlovecall収録バージョンに不満が残っており、純粋に録り直したかったという形。

近況報告を出した頃に、私のルーツofルーツである「あらいやかしこ」さんのイベントに呼んでいただき、これまたレジェンドボカロPのアゴアニキ氏が我々を見てくださっていた。(すごい話です)

終演後「サビのメロディもうひと押し欲しくなる」とアドバイスをいただき、痛いところを突かれたなぁと思った。

ポップなメロディが好きだし自分も作れると思っていたが、「ロックバンドはポップすぎなくてもいいか」という思想を言い訳として、手を抜いていた節がある。

その点やっぱりボーカロイドってのは、音楽に詳しくない人にターゲッティングした界隈であるし、なにより音源が99%の世界であるからして、「メロディ」にかける情熱とこだわりを話の節々から感じた。

その当時からこの曲の構想はあったので、せっかくインターネットの曲を作るならと、メロディのキャッチーさ/サビのわかりやすさには結構こだわって作った。

我々がバンドとして成長し、尖ってますアピールが不要になったこともあり、メロディのキャッチーさやポップさという部分は今作の大きなテーマとなった。

あれ?この話前にも書いたかな。書いたかも。書いてたらすみません、重要な話なんです。

lovecallを出して以降、この曲の歌詞はどういう意味?と結構聞かれた。
私としてはかなりストレートに書いたつもりだったので、意外だった。

なんというか……
誰かが世界への不平不満を述べているとき、「それ要するに俺の悪口ぢゃん!」と感じることがある。
この人の世界嫌いを俺が加速させているな、というタイミング。

そういう表に出さない不満は、やっかみだったり私に非のないことだったりが多いから、思い返すとムカついてくる笑

インターネットという場所にはその手の、直接言えない悪口が渦巻いているし、インターネット自体がみんなのサンドバッグでもある。

インターネットという場所はこの世界の複雑さを思い知らされる場でもあるが、私はそういう、世界の複雑さをこそ愛したいし、友達や恋人の中の複雑な部分をこそ愛したい。

自分の愛と怒りと冷たさをバリいい感じに織り交ぜられたと思う。
この曲のPVのアップロード予約を済ませたとき、「これでいつ死んでも大丈夫だ」と思った。

2023年7月25日 タムラ

Internet Killed The Internet Star

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作詞/作曲:田村 晴信
編曲:171

物知り顔の知識人達は
しかめっ面で僕らを見て
好き勝手言い合ってた
今や変わりきったこの場所に
あふれんばかりのセンセーション
ロールオーバー・チャックベリー
疑うこともせず

こここそが居場所
21世紀初頭
学校に行けない僕らは
ネット上ひしめきあったろう
今や変わりきったこの場所に
寂し紛れの永遠を
重ねたこともあったろう
時の流れはそれすらも
なかったことにするの?

僕らずいぶん普通に喋って
普通の愛を持ちはじめたね
自分に似合ってる服なんて
いつの間にか見つけちゃって
夕方のワイドショーが
手のひらを返したときには
みんなして大人になっていた

データの海をかき分けて探しても
どこにももう見つからないなんて
今まで気付きもしなかったなんて
もう年寄り気取りの僕たち
苦し紛れ路線変更
夢見た日々も過去の自分も
諸行無常と銘打って
お酒の肴に飲み干した

見たいものだけ見れる世界は
見られないもの消える世界に
美化するほど年老いちゃないけど
忘れ去るほど若くもないかも
何か守るには無力な
僕らとパーソナルコンピュータ
諦めたふりをして
情報化社会のせいにした

"internet killed the internet star"
"internet killed the internet star"
"internet kills the internet star"
"the internet is killing the internet stars"

永遠を願ったこの場所は
移り変わりの象徴に
みんなの悩みに寄り添った果て
この場所も俗っぽさ身につけた
どうしようもない生き物集まって
普通が作られていくのなら
僕もまた普通に生きて
普通に死んでくまでさ

何も変わっちゃいないよ
僕らは元々そんなもの
インターネットのせいにしとけよ


俺ピス→憎まないでと続くインターネット3部作ですから(?)、この曲のギターはすべてPlaytech※のテレキャス(貰い物)でレコーディングした。

 ※Playtech:音楽系の激安通販サイト「サウンドハウス」のオリジナルブランド。バンドマンはサウンドハウスに足を向けて寝られない 


この新品7000円の激安テレキャス、まぁ弾きやすいとは言えないが私好みの音で、今までもかなりレコーディングに使ってきた。
しかしスタジオでアンプに繋いでこのギターを録音するのも、このギターだけで曲を作り上げるのも初めてだったので、なかなかおもしろい体験だった。

この曲のサブタイトルは「ネットスターの悲劇」とします。
 

私はインターネットの曲を、ご当地ソングの感覚で作りたい。
ので、同じネット観を共有していない人にも聞いてほしい。

よくできたご当地ソングは、その土地で生きる人の生活や感情にフォーカスを当てているので、縁もゆかりもない土地の話でも沁みるものがある。

元ネタにした「ラジオスターの悲劇」もそういう曲だと思う。
ラジオ好きでも世代でもない私だが、ラジオスターの悲劇を聞くと、当時の人々の生活に思いを馳せたり、自分の持つなにかを重ね合わせて感傷に浸ったりできる。

ので。
この曲にはインターネット以外にも色んな、かつての自分の居場所への思いを盛り込んだし、みんなが自分の重ねたいものを重ねてくれたらいいな、と思う。

Video Killed The Radio Starの、いわば「自分バージョン」を作りたいという構想ははるか昔、高校生のときからあった。

当初はもっと替え歌的なノリだったが、今回腰を据えて全編を作ってみて、思ったよりもVideo Killed The Radio Starとは違う角度の曲になった。

出発点としては勿論、Internet Killed The Video Starという曲を作るつもりだったのだが…
正直ヒカキン氏なんかもど直球でビデオスターだと思うし、なにより私はインターネット大好きすぎて、「ラジオスターの悲劇」ほどのテンションでTVを懐かしんで、ネットへの恨み節を歌うことはできなかった。

私たちは全員1997年度生まれだが、我々が中高生で経験したインターネット世界には、ロック黎明期やパンクロック黎明期と重なる、革命の香りが漂っていたように思う。

エレキギターとギターアンプというツールは、ロックミュージックというカルチャーおよび、ロックコンサートという居場所とともに、相互的に発展した。
それと同じように、Digital Audio Workstation(パソコン音楽)と動画サイトと通信速度の発展によって生まれたのがボーカロイド界隈だった。
ボーカロイド界隈とは、音楽の新ジャンルというだけでなく、今までになかった音楽の提供の形であり、今までになかった音楽の聴き方であり、今までになかったコミュニティそのものであった。

70年代にNYやロンドンのグレた若者がロック・クラブに集まってパンクロックが生まれたように、00年代後半〜10年代前半のネットには社会に馴染めない中高生たちが押し寄せ、動画サイトも掲示板も目まぐるしい変化を遂げた。

ボカロの人気動画ランキングは毎日投稿され、当時かなりの数の学生たちが、1日単位1週間単位でシーンの動向をチェックし、新曲を聴いていた。
今考えると物凄いスピード感である。

日本は蚊帳の外?だったパンクロック・ムーヴメントと比べても劣らないほどの熱量が、この国で独自に生まれ、自身がその渦中にいたことを幸せに思う。

その反面、ネットの世界に刹那的な流行り廃りを広めたのも、やはり我々「デジタルネイティブ第一世代」なのかも、という自意識過剰気味な思いもある。

90年代〜00年台前半まで、ネットへのアクセスには専門的な知識と経済力とコンピュータへの愛情が必要だったと思う。
彼らによって形成されていた「玄人のためのインターネット」を、擁護できない若さと親のパソコンで蹂躙し、過去のものとしたのは紛れもなく我々だ。
そしてもう、インターネットの主役は我々ではなくなった。
インターネットの主役などいなくなったといった方が正しい。

ノートパソコンの普及が「玄人のためのインターネット」を「陰キャのためのインターネット」に作り変えたのだとしたら、スマートフォンは「現実とリンクしたインターネット」の発展と共に普及した。

個人情報を公開することへの抵抗は薄まり、我々の世代が物知りおじさん達から奪い取った居場所や価値観は、我々の世代が推し進めた非匿名性によってあっという間に塗り替えられ、時代の先鋒をZ世代に譲ることとなった。

ケータイとパソコンの境界線も曖昧になった。
1人1台、そこらのノーパソより高性能なコンピュータをポッケに入れて持ち歩く時代。
「パーソナルコンピュータ時代」と呼ぶべきだろう。

「ラジオスターの悲劇」で私が1番好きな部分は、Cメロの最後の"Put the blame on VCR"という歌詞だ。
「ビデオデッキのせいにしよう」とでも訳しておく。
「ラジオスターを殺したのはビデオでもTVでもなく、ラジオを聞かなくなった自分たち自身」という裏テーマを暗に示す一文だと私は解釈している。
それこそを表のテーマとした曲を作りたかった。

2023年7月25日 タムラ

Suagari

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作詞:カナ
作曲:171

信じるということはとてもとても難しい
白い目に張り付いた虚勢も本当になってく

悴んだ歪な手を取ってよ
窓越しの日差しのような遠さが憎い

どれだけ深く潜っても何も見えない
今日も私は
本当のことが言えずに
そのまま冷えて固まってく

人並みにすら眩暈うのに
誰かに触れる夢を見る
遠くに霞んでる横顔に嘘はないみたい

喉らへん黒い穴に手を入れて調べてみたい
秘かな悲しみの声を知っても

欲しいものはなんなのか
恥ずかしがらずに見せてよ
分からないなら中に入って
探してあげる

むやみやたらに触れて噛み付いてみたら
遠い遠い遠い
本当の心がちょっと見える気がしたのに


やばい!ネットスターで書きすぎた!

カナの家に3人で集まって1から作った曲です。
コード進行と曲の雰囲気はカナから貰い、ドラムのビートはモリモリに打ち込んでもらって、3人で話し合いながらパソコンで構成を組み立てた。

ギターも、フレーズ自体は私が作ったが、それ良いじゃんとか、こんなの入れよう、みたいなアイデアや方向性はほぼモリモリとカナが決めてくれた。

我々はセッションから曲を作らないので、こういう形で3人で1からフルスクラッチした曲は初めてだったし、良い経験になった。

「エモいカナの曲を作ろう!」が全体的なコンセプト。

本当は「君の瞳に恋してる」とか「不可抗力」みたいな、サビが2段階ある曲にしたかったのだが、私の腕ではBメロが2段階ある曲にしかならなかった笑

これもレンチキュラー同様、歌録りの段階ではじめてメロディと歌詞を聞いたのだが、アクロバットなアップダウンを繰り返す旋律に面食らったのを覚えている

自分のメロディのつまらなさというか、Popさをセーブしていた部分にも気付かされたし、やっぱり作る人が違うとこうも新しい風が吹くなぁ、と思った。

これからも積極的に取り入れていきたい、そもそもこのバンドのコンセプトとして、フロントマンは私とカナで50:50にしていきたいし。

このアルバムの色が濃く出た曲でもあり、キャッチーさも出たし、なにげに個人的なお気に入り曲である。

2023年7月25日 タムラ

 

NEW! さよならパッソくん

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作詞:モリモリ / 田村晴信
作曲:田村 晴信 / 171
編曲:171

忘れても思い出せるほど
きっかけを作ってきたから
大切にしてたものを
簡単に捨てられたな

空を飛べない
僕らが右往左往してる姿は
そこそこ似合ってたろ
それなりに悪くはなかったろ


意識した曲はもちろん、銀杏BOYZの「人間」

私の魔改造アコギ(アイバニーズのハムバッカー搭載)で全編録音した

爆音のMARSHALL 1959にアコギを繋ぎつつ、直接マイクも立てて、チューナーでミュートした状態で弾き語り部を弾いて、そのまま全員入って最後まで全編通し。
3人でせーの!で録音した。
バンドが入って以降もアコギに直接立てたマイクはONのままだったが、爆音レコーディングなので当然のようにアコギの音なんか一切拾えていなかった笑

弾き語り部でサーってなってるノイズはもちろん、マーシャルがミュートスイッチの解除を待っている音です。

モリモリの作った曲をアルバムに入れたいという構想はずっと前からあった。

本当はlovecallのときに3人でラップを回す曲、ガッツリhip hopな曲を作ろうとしていて断念したのだが(今作でも無理だったけど、いつかやりたい)

なんとしてでも3人全員の作詞欄を解禁したかったので、工数的に現実的に制作できる方法を探した。

一旦私が全体の曲と歌詞とテーマを仮で作ってモリモリに送り、作れるところだけ歌詞を作ってもらった。
余った私の歌詞はPassengersで吸収した笑 (高速は大渋滞〜あたり)

結果的にAメロ?の部分がモリモリ作、サビの部分が田村作です。
自分の語彙とか思考回路の延長線上では出てこない言葉だし、この曲のコンセプトとしてのリアルさ、深みが出たと思う。

パッソくんというのは、「まどのそと」「グレーゾーン」「憎まないで」のPVなんかにも登場した、モリモリのファーストカー・トヨタパッソ2016年式(青色)である。

友達が車を買ったこと自体もそうだが、バンドの機材車ができたことは我々の活動にとって革命的な出来事だった。

それまでは阪急や御堂筋線なんかでアンプとボードとギターをひいひい言いながら運んだり、スタジオのロッカーに入った機材を朝早くレンタカーで回収したり、ライブ会場に到着するまでにヘトヘトになっているような状態だった。

唯一ストレートで大学を卒業し、1年目で車を購入したモリモリへの思いは、感謝とかリスペクトとかでは語れないほどである。

もちろんそれと同じくらい、パッソくんへの感謝も尽きることはない。

京都大阪神戸から、実に東京まで、パッソくんが連れて行ってくれた場所は数知れない。

道ゆく車に舐められながら、辛酸を舐めながら、地べたを這いつくばって我々は走り回った。(モリモリが1人で運転して。)

自分が車の免許をとって、パッソくんを初めて運転したとき(初東京遠征の帰りだった)、酷い渋滞に捕まった。
もしこの車が空を飛べたらよかったのにな、と考えた。

このアルバムのレコ発2本目、首都爆走編で話した話をリピートさせてもらう。

171を組んだ頃は、アッという間に売れると目論んでいた。
汚い手も、こっすい手も存分に使って、この国の音楽シーンの階段を2段飛ばしで駆け上るつもりであった。

しかしまぁ、甘くなかった。
甘かった、とも言える。

アルバムを出すたびに、ライブをするたびに、これで生活が一変するんじゃないか、と期待している。

実際ジワジワと見える世界も変わって、バンドを始めた当初から考えれば想像もできないような場所に来たと思う。
それはひとえに、応援してくださる皆様一人一人のおかげです。ありがとう。

あの頃の自分が今の自分を見たら、「売れてる」と思うかもしれない。
でも、あの頃思い描いてた夢物語は夢物語だったとも思う。

それでも、最初の1人、友達だからじゃなくて、音楽で僕らを見つけてくれたファンができたときの気持ちは、忘れられないなぁと思う。
(応援してくれてる友達のありがたさは、骨身にしみている上で、です。ありがとう)

いつのまにか1人が3人になって、10人になって、数えることができなくなって。

てんでいなかった「友達のバンド」が一組できて、三組になって、レコ発ツアーで網羅できないほどに膨らんで。

地べたを這いつくばってやってきた、という自信ができてしまった。

我々はプライベートジェットで飛び去ることができなかったけれど、アンダーグラウンドを気取るつもりもない。

アンダーグラウンドでも、雲の上でもなく、オンザグラウンド。
不本意ながら、現場叩き上げのロックバンド、171です。

空を飛べない僕らが右往左往、というのはそういう意味でもあってほしいなぁ。

そういうのが似合うバンドになれたのは、間違いなくパッソくんのおかげです。

2024年1月15日 タムラ

NEW! Passengers

Created with Sketch.

作詞:田村晴信
作曲:田村 晴信
編曲:171

すしづめのJR 人身事故で立ち往生
再開の見込みは立っておりません
こんなときに限って
どうすりゃ良いか分からない
現実感に圧迫されて
身動きひとつとれない

高速は大渋滞
このままじゃ間に合わない
今までに裏目を引いてきた履歴と
他に選べた道のことを忘れたくて
俺だけのせいじゃないでしょって
叫んでみたって誰にも届かない

時間は戻らない
俺だって変われないし
世界は変わんない

いつも俺だけ損をする
いつも俺だけドジを踏む
これもきっとバカを見る
分かってたって今日だけは

会いに行くから待っててよ
諦めやしないから
どれだけ遅くなったとしても
何やってもダメな1日も
あなたに会えたなら
俺はこの日の為だけに
生まれてきたってことでいい

秒速1秒 タイムマシン地球号
たまたま隣に座った人を
目の敵にしたりひそかに羨んでみたり
たまたま近くで泣いてる人が
頭から離れないまま

街は変わって
君だって変わって
世界は変わってく

俺は今から大爆発して
ここを吹き飛ばすことにします
今度ばかりは本気なのに
どこで聞きつけてきたのか

君は家を飛び出して
ここへ飛んでくる
バカを見るために全速力で
君はタクシー捕まえて
俺を連れ戻す
問題が山積みな俺たちの現実世界へ

満天の星を見上げてみたところで
目の前の悩みは大きく見えたまま
結局この星の上で出会ってくものと
なんとか付き合ってくしかないだろ

だから
いつでも連絡をしてくれていいから
取れなくたってかけなおすから
LINEでも手紙でもなんでも
朝までだっていいから
渡せるだけのものを渡すから
また返してよ


とにかく、言いたいことを詰め込んだ曲。

The Flickersの、「love in the music」に多大なる影響をうけた。

純粋なラブソングを作ろうと思って作った曲だが、まぁもちろんラブソングなんだけれども、しかしまぁ100%恋人への曲的な感じではない、と思ったりもする。
友達を思う曲という気持ちも凄く大きい。

というか、自分の作る曲は全部ラブソングだし、全部ラブソングではない、と思って作っている気がする。

秒速1秒 タイムマシン地球号、のくだりは、昔東京旅行に行ったとき、1人で吉祥寺のハードオフのまわりを散歩してて思いついた。
あまりにもお気に入りフレーズだったので、無意識下のパクリなんじゃないかとググりまくったのを覚えている。

まぁ、言いたいことは全部歌詞にできたので、解説はしません。(ここまで書いといて今更)
優しさのためには強さが必要で、もっともっと強くなりたいなぁと日々考えています。

ギターに関しては、「サビでビッグマフ」は外せないポイントだった。

やっぱ、「love in the music」に影響を受けたからには、脳みそをジャックしてくるような迫力がほしかったし、安島さんほどの歌力を俺は出せない、となったら俺の足元に転がっているのはやはりビッグマフだろうと思う。

この曲を作っているときはハードスケジュールに結構参ってしまっており笑、自分を鼓舞する気持ちで曲を作った。
恥ずかしい曲ができたな、と思ったし、今聞いても恥ずかしい曲だなと思うのだが、それでもこのアルバムには必要な曲だったと思う。

2024年1月15日 タムラ

NEW! ドライブの終わり

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作詞:田村晴信
作曲:田村晴信
編曲:171

知ってる景色がちらほら流れて
このドライブもそろそろ終わり
見飽きた街に吸い込まれたら
明日からまたいつもの暮らし

華やかなネオンも のどかな匂いも
いつしかもう記憶の彼方に
短かったような長かったような
特別な時間はあと少し

この毎日にも新しい部屋にも
だんだんと慣れてきたみたい
いつもの街といつもの匂いと
明日からまたあなたとわたし

いつもの暮らし
あなたとわたし
いつもの暮らし
あなたとの暮らし
明日から気だるい
それぞれの暮らし

これが運命だって思い込みたくて
僕ら証拠を集めてたね
今からそれを諦めたくて
粗探しをしてるんでしょう?

思い込みたくて 諦めたくて
四六時中 理由を探して

思い込みたくて 諦めたくて
四六時中 理由を探して
後付けでも納得したくて
僕らずっと目的地探して

知ってる景色がちらほら流れて
このドライブもそろそろ終わり
見飽きた街に吸い込まれたら
明日から

インターセクションのPV撮影なんかも混ぜて色んなオフショットと、レコ発ツアーの映像を混ぜたPVを制作した。

インターセクションでは初めて俺のDIYではないPVを作ったので、自分が背伸びせずに作れる最高のものを作ってみよう、という気持ち。
良いPVができたと思う。

ツアーに関して。

今作で3枚目のアルバムになるが、初めてのレコ発かつ初めてのツアーを組んだ。

本当に大変だった…笑

ブッキングあたりの連絡は全部モリモリがやってくれたので、ライブ運営に関しては彼が本当に大変だった。

ライブハウスで開かれるイベントには、大きく分けて2つのパターンがある。
業界用語で言うところの、「箱ブッキング」と「持ち込み企画」だ。

要するに、出るバンドにオファーを出したり、お金の勘定をしたり、タイムテーブルを決めるのが、ライブハウスなのか、イベントの主催者なのかということ。

今回僕らは、ツアーの7公演を全て持ち込み企画で回ることにした。

7月の東京編だけは、神々のゴライコーズのお兄さんたちが半分バンドを集めてくれて、かなりおんぶに抱っこで企画をしてもらった。
感謝してもしきれません。

まぁ身も蓋もない言い方をしてしまえば、好きなバンドを好きなだけ呼んで、好きなことできる代わりに、大赤字の際は僕らがケツを持たないと行けない、ということ

ハッキリ言って大破産を覚悟して組んだツアーだったのだが、レコ発に呼んだ人々はみんな、とても気合の入ったライブをしてくれて、身の引き締まる思いだった

僕らの予想以上にたくさんの人がレコ発を見に来てくださって、本当に7公演全てが、かけがえのない思い出になりました

僕たちのわがままツアーに土日祝を任せてくださったライブハウスのみなさん、一組残らず凄まじいライブをしてくれた対バンのみなさん、CDを買ってくれたみなさん、何よりも、安くないチケット代を払って、貴重な時間を割いて、ライブを見に来てくれたみなさんに、この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたく思います。
本当にありがとうございました。

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ゆうらん船の『鉛の飛行船』を聞いて、「俺も童謡みたいなメロディの曲が作りたい」と思ったのがきっかけ。
どうでもいいことだが、お正月に作った。

私は元々リードギターをずっとやっていた人間だし、飛び道具もいっぱい持ってるし、平均的なギタボよりも多くのリソースをギターにつぎ込んでいる。

もちろんそれはイナイチのセールスポイントではあるが、「ややこしいギターで誤魔化してるんじゃないか?」という疑問が自分の中で段々と大きくなってきた。

そんなこんなで最初は、「BIG MUFFを踏まない、ローコードしか弾かない」というチャレンジをしていたのだが、いつの間にか普通にややこしいギターになってしまった。

カナとモリモリには、「メシアと人人の『ククル』みたいな感じで」と注文したように思う。
あと、the coopeezの『無力な瞬間』も。

このアルバムの裏テーマは、「ドライブチューン」だった。
アルバムタイトルが決まる前から個人的にそういうふうに決めていた節がある。

当時私は車の免許を取り立てだったのだが、自分が車を運転するようになって、ドライブの最後に聴く曲ってのが世間には少ないなぁと気付いた。

「童謡っぽいメロディ」というテーマとともに、「小学生が合唱できる曲」を作ってみようという気持ちもあった

まぁ合唱はしんといてほしいけど笑、小学生が聞いても「好きな曲」って言ってくれる曲というか、小学生でも書ける歌詞の曲というか。

なんかこう漠然と、「子どもは楽に生きてて、大人は子どもより辛い世界を知っている」という価値観が世の中にはある。
全部が全部そうってわけでもない。

少なくとも言えることとして、タームの終わり、この生活の終わり、子どもたちはそういう時間制限付きの日常を、大概の大人より激しいスパンと深刻さで経験している。
旅の終わりの寂しさも、子どもの頃の方がダイレクトに辛かったような…

結局私が悩んでいるのは今も昔も人間関係で、小学生相手に人間関係を実施することは、小学生の私には非常に難しかった。

そんなこんなで、真正面から恋愛の曲って感じにはしたくなかった。
昔から思っていることだが、「ラブソングなんて作った覚えはない」という気持ちと、「ラブソングしか作っていない」という気持ちが同じだけある。

「これが運命だって〜」のくだりは、私の中では恋愛の文脈でもあるし、友人に対しての気持ちでもあるし、自分に対しての思いでもある。

この辺の部分の歌詞の種は、私が就活をしていたときにできた。
「この会社で働く運命だ!!」と思っていた会社にアッサリ落とされたり、とてもやりたかった仕事を悩みに悩んで断念したり。

そんなとき私は、「いや、ここで働いてたら○○だったしな」と脳内論破することで精神衛生を保っていた笑
その行為のアホらしさには自分で呆れつつも、まぁ皆ずっとそんなもんだったな、とも気付いたり。

最後の一節、「目的地探して」は、レコーディング作業の、最後の最後になって歌詞を変更した部分。
リトルカブのAメロからの引用(のつもり)でインターセクションの歌詞に入れた一節だが、アルバム最後の曲の終盤にピッタリとハマって、「ドライブチューン」という裏テーマにも沿っているし、ちょっとコンセプトアルバムみたいな香り付けができた。

「後付けでも納得したくて」は、ピノキオピーの「Obscure Questions」の終盤の歌詞、「全部後付けなんだろう」への、自分なりのアンサーという気持ち。
リトルカブを書くに当たっても意識した曲なので、最後に回収できて気持ちがよかった。

私の中でピノキオピーはとても大きな存在で、「近況報告」からは特に、ピノキオピーのような歌詞を書きたいと意識し続けてきた。
この曲の歌詞は、そんな自分の歌詞書き人生の一里塚になったというか……かなり自信がついた曲。

「アルバムの最後に相応しい曲」が沢山ある贅沢なアルバムになったが、やっぱりこの曲がラストで良かったと思う。

2024年1月15日 タムラ

制作スケジュール

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2021年
8/4 『グレーゾーンの私たち』『インターネットを憎まないで』デモ完成
12/5 『グレーゾーンの私たち』『インターネットを憎まないで』 楽器REC
@246WEST
 

2022年
3/5 『グレーゾーンの私たち』 PV公開

3/12 『インターネットを憎まないで』 PV公開

サブスク限定2曲入りシングル『lovecall』リリース
6/24 『GO GO リトルカブ』デモ完成
10/1 『Internet Killed The Internet Star』『タイムカプセル』デモ完成
11/30 『ドライブの終わり』デモ完成
12/18 『GO GO リトルカブ』『Internet Killed The Internet Star』『タイムカプセル』楽器REC @246WEST 

 ※パッソくんの、機材車としての最後の仕事
合間合間でボーカル録音、ミックス

ここからは鬼スケだったので、全部書きます
2023年
1/4 本来のデモ完成期限
※なお、『レンチキュラー』のデモは最後まで作られなかった。
『インターセクション』のメロディが決まったのは4/5である。

1/7 パッソくんお別れ 2代目モリカー日産ティアナくん 納車 → 練習
1/9 『インターセクション』『さよならパッソくん』デモ完成
1/12 田村ボーカルREC @Antonio
1/14 ライブ@京都MUSE
1/21 カナ家にて3人で曲作り『Suagari』デモ完成
2/2 田村ボーカルREC @ハナマウイ

2/3 田村ボーカルREC @ハナマウイ
2/11 『Passengers』デモ完成 → ライブ@京都GROWLY
2/12 練習
2/19 練習
2/23 ポスター写真撮影 → 練習
2/25 練習
2/26 爆マグ
3/5 ライブ @新宿Marble
3/11 『さよならパッソくん』『ドライブの終わり』『レンチキュラー』楽器REC @246WEST
3/15 田村ボーカルREC @ハナマウイ
3/18 練習
3/19 『インターセクション』『Suagari』『Passengers』楽器REC @246WEST
3/21 ライブ @神戸D×Q
3/25 カナボーカルREC @246JUSO
3/26 カナボーカルREC @246JUSO 
※本来のREC完了予定日だったものの、カナ歌50%程度で時間切れ
3/30 田村ボーカルREC @ハナマウイ
4/1 カナボーカルREC → 練習 → ライブのリハ → カナボーカルREC →ライブ @Antonio & GROWLY
※それでもREC終わらず…
4/2 田村ボーカルREC @ハナマウイ
4/3 カナボーカルREC @梅田ベーオン
4/5 田村ボーカルREC @ビートフリー
4/8 田村ボーカル&ギターREC @ハナマウイ 
4/9 本来の完パケ予定日 デザイン音源ともに完成せず
4/13 CDデザイン入稿完了 (深夜26時) 
4/14 データ不備により再入稿
4/15 マスタリング完了 → 練習 → マスターCD入稿 → サブスク申請 →ライブ
4/20 アルバムデモ動画完成
4/21 アルバムデモ公開
4/22 サブスクリリース
4/29 CD発売開始

空いてる時間は全部作業してました。死ぬかと思いました。褒めてください。

NEW! クレジット&機材紹介

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制作内訳


171
モリモリ:ドラム/リーダー
カナ:ベース/ボーカル
田村 晴信:ギター/ボーカル

制作期間:2022年6月〜2023年4月
ロケーション:スタジオ246 WEST / スタジオ246 JUSO / music studio Hanamauii / Sound Studio BeatFree西院店 / music studio Antonio / BASS ON TOP 大阪 梅田店 / 自宅
レコーディングスタッフ:田村 晴信 / モリモリ / カナ
ミックス/マスタリング:田村 晴信
サポート:スタジオ246WEST 西村さん / スタジオ246WESTの皆様
ジャケット/歌詞カード制作:カナ
予定管理:モリモリ
運転:モリモリ
初代モリカー:TOYOTA PASSO
2代目モリカー:日産 TEANA

スペシャルサンクス:スタジオの皆さん、ライブハウスの皆さん、友達の皆さん、手に取ってくれた皆さん

使用機材

動画にしてみました。

ドラム
https://www.youtube.com/watch?v=ePZoASNH5Kc

ベース
https://www.youtube.com/watch?v=lGOiZ5lMwOE

ギター
https://www.youtube.com/watch?v=XhBM7qYbg30
あと、パッソくんではYAMAHAのFS820(無理やりネジ止めしたハムバッカー付き)
ネットスターは全編Playtechのテレキャス。
今作の左chギターはほとんどレスポールで撮った…と思う。

ボーカルマイク : AT4040 
ポップガード : STEADMAN Pro Screen。

PC : Raytrekの12万くらいのノートPC

AI : Roland Duo-Capture EX、Focusrite Scarlett OctoPre Dynamic (セルフレック時)

Software : Cubase Pro(ミックス、マスタリング)、AviUtl(動画制作、ジャケット画像編集)、procreate(歌詞カード制作)、MediaBang paint(歌詞カード制作)、ペイント(CDレーベル制作)、GIMP(各種画像処理)


NEW! アルバム制作に当たって

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アルバム制作に当たって、を、制作期間から1年経って書いています。すみません。

このアルバムの第1回レコーディングが、初代機材車/モリカーのパッソくんの最後の仕事となった。
車を買った友達は今までに何人もいたが、同い年で車を買い替えたのはモリモリが初めてだった笑
自分はお金もまともに貯められていないのに。。。恥ずかしい限りである。

私は2023年にようやく車の免許を取り、途端に車の曲をたくさん作りたくなった笑 
バカ丸出しである。

いやいやとはいえ、「ドライブチューンがほしい」というのは「近況報告」で実現できなかった、171の課題だった。
僕にとって。

近況報告のミックスがだんだん仕上がってきたある日、ライブかレコーディングかの帰り道、夜の43号線のパッソくんで「六甲シティ」を聴いた。
なんだかすごくドラムのミックスが上手く聞こえて、モリモリが「これ俺ドラム、タイトやな笑」と呟いていたのを覚えている。

ドライブチューンって難しいんだ、と私はそのとき思った。

曲も大事だし、演奏も大事。歌詞も大事。そしてミックスが、めちゃくちゃ大事。

次のアルバムは絶対、全曲ドライブチューンにしなくっちゃ…とそのときから心に決めていた。
まだまだ精進中です。

今作の制作はとにかく大変だった笑

大きく大変だったポイントは2つ。

レコ発のツアーを半年前には組んでいたので、スケジュールの遅延が許されなかったこと。
そして全員が社会人の状態で作る初めてのアルバムだったこと笑

モリモリは近況報告制作時には既に就職していたが、あのアルバム制作においてはほぼニート同然だった私の暇人さをかなり活かすことができていた。今作はそういうわけにも行かない…。

締め切り直前、全員次の日仕事の状態で深夜3時位まで通話しながら制作をしたりとか、本当、途中で171が爆発するかと思った笑

とにかくミックスに割ける時間がなくて、ドシロウトのわたしは大苦戦した。
本当に奥が深いし私は入り口にしか立っていないけれども、でもやっぱり自分でやってよかったなとも思う。

メンバーの総意として、2nd Albumの「近況報告」はまごうことなき自信作として完成した。
実際あのアルバムで私たちも大きな飛躍を遂げたし。

だからこそ私はアルバム制作中盤まで、近況報告を超えることができるのかがずっと不安だった。

結果的には、とてもとても、私達にとっては大満足のアルバムとなった。

本格的に名曲だけのアルバムを作れたし笑
舐達磨がインタビューで言っていた、「良い曲を作れば曲がどこまでも連れて行ってくれる」という言葉の意味がやっとイナイチにもわかってきたような気がする笑

少し踏み込んだ話をたまには書いてみる。

オリジナルアルバムを3枚出すって、ヤバい事態である。ピストルズなんか1枚しか出してないのに…笑

世の中アルバムを1枚も作ってないのに売れている人たちなんて山程いるわけで、自分たちと見比べてしまうようなときもあった。

このアルバムを作って、ツアーも回って、飛躍的にたくさんの人がイナイチを知ってくれた。
いつからか自分たちの曲を知っているお客さんがいて、このアルバムのツアーからは特に、自分たちの曲を歌ってくれる人がいたり、コピーしてくれる人がいたり、ライブがソールドアウトしたり。
バンドを始めたことに喉から手が出るほど望んでいた景色をたくさん見せてもらった。

もしかしたら今、バンドマンとして一番幸せな時間を過ごしているんじゃないかなんて思うようなライブもたくさん経験させてもらった。

だからこそ現状に甘えたくないなと思う。

これからも前を向いてというか…。胡散臭い言葉しか出てこないが笑
ここまで 無我夢中でやってこれたのはやっぱり、メンバー3人の共通認識として「バカほど売れたい」という気持ちがあったからだと思う笑


このアルバムでやり残したこともある、こんなこともやりたい、あんなこともやりたい、こんなバンドになりたい、たくさんある。
若い僕らには夢がある!

飽き性ができたとき、「これが新しい私達の門出になる」と思った。
近況報告ができたときもマイセカンドカーができたときも、「これが新しい私達のファーストアルバムになる」と思った。

次のアルバムができたときも、そう思うつもりです。
そのくらいいいアルバムです。マイセカンドカー!

2024年1月15日 タムラ